第131回 オプション取引
オプション取引とは、将来の決められた期日にあらかじめ決められた価格で、対象商品を「買う権利」や「売る権利」を売買することです。
主な特徴として、レバレッジを効かせられる、買い手は損失を限定できる、売り手は証拠金差し入れが必要などの点が挙げられます。
先日の日経平均の急落のような動きに対する株価変動「risk」の「hedge」等に利用できます。
さて、前回の先物取引は、期日に先に決められた価格で売買するというものでした。
オプション取引は、期日に「買う権利」や「売る権利」を売買するということで、かなり意味不明なものになっていると思います。
今回は、その辺りを分かりやすく説明したいと思います。
オプション取引が先物取引と違うのは、商品そのものを売買するのではなく、商品を売買する権利を売買するということです。
つまり先物取引では、売り手、買い手に関わらず、期日が来れば商品を必ず売買しなければならないのです。
しかし、オプション取引では、買い手が「買う権利」を放棄することにより、その売買は無効になります。
つまり、オプション取引では、売り手が親になり、買い手が子になるというイメージです。
子は、期日にある商品を100万円で買うという権利を、10万円で買ったとします。
その商品は、日々の値動きが激しく、80万円から120万円の間を動いています。
期日になり、子は権利を行使するか、どうかを決めます。
権利を行使すると、その商品を100万円で買うことが出来、行使しなければ100万円で買わずに済むのですが、最初に払った10万円は戻ってこないことになります。
つまり子は、その商品が100万円を超える価格で売ることが出来るなら、権利を行使してその商品を手に入れた方が得をします。
しかし、100万円を超える価格で売ることが出来ないなら、最初に支払った10万円を諦めて、その商品を買わない方が良いという訳です。
一方の親は、買い手となる子に対して、買う権利を売ります。
先の例で言えば、10万円で権利を売るのですから、直ぐに10万円が手元に入ります。
ところが、親の問題は、ここからなのです。
その商品自体を親が作っていたり、持っていたりしていれば良いのですが、そうで無ければ子に買う権利を行使されたときに、買って渡さなければならない義務が発生するからです。
その商品が100万円以上で売れないなら、子は権利を行使しないので問題はありません。
ところが、権利を行使するのは100万円以上で売れるからであり、その時に親が買おうとしても、既に100万円以上の値が付いているのは当たり前です。
つまり、親は100万円以上の自腹を切って、子に渡さなければならない訳です。
ですから、子である買い方の損失は限定的、親である売り方の損失は無制限的と言われるのです。
子の損失は、最初に渡す契約金が損失の最大額になります。
権利を行使して更に損失が膨らむようなことがあれば、権利を放棄したら良いだけなのですから、当然の結果です。
しかし親は、権利を行使されたときに、その売買に必ず応じなければなりません。
もし、その商品が突飛高して、200万円や300万円という価格にまで値上がりしていても、子の権利行使には応じなければなりません。
だから親の損失は、無制限と言われるのです。
期日の商品価格が決定するまで、損失が確定しないからです。
- それなら、親である売り方になる人はいないだろう・・・ -
そう考える人は、多いと思います。
ところがそうでもないのです。
売買は、売り方と買い方の意志の合致によって成立します。
しかし、実際のところは、売り方が主導権を握っているのです。
あなたがこの銘柄を買いたいと思っても、誰も売ってくれなければ買うことが出来ません。
これはある意味、売り方の言い値で、買い方が買っているみたいなものなのです。
ですからオプション取引の売り方は、自分が損をしないように考えて、オプションを売りに出します。
そう言う意味で、買い方は最初から儲からないオプションを買わされていることになります。
ところが、経済等に何らかのトラブルがあり、売り方の予想を大きく逸脱してしまう状況が起こることがしばしばあります。
こう言うときに、買い方は利益を手にできる、ある意味トラブル待ちのギャンブルとも言える商品なのです。
ところがこのオプション取引の買い方ですが、我々のような株式投資家にとっては、「risk hedge」になる有難い商品なのです。
それは、経済等に何らかのトラブルがある、例えば数年前の新型コロナによる大暴落相場を思い出して下さい。
持ち株は軒並み暴落して、一気に評価損が膨らみました。
ところがこの時に、オプション取引で買い方になっていたら、大儲けできていたはずです。
通常は、放棄するしかない権利を行使し、大きな利益を得られたからです。
ちょっと長くなったので、この辺りのことは次回に説明します。
ついでに、「コールオプション」と「プットオプション」も説明します。