【詩】愛の夢
夢の中で神を呪った
神の無慈悲を呪った
けれど神に敵うはずもなし
粉々になって死んでしまおうと
壁に体を叩きつけていた
するとかたわらにミルテの木が生えでて
美しい花を咲かせた
私はその花の美しさに感嘆し
気がつくと神への怒りがすっかり消えてしまった
ミルテ ミルテ 愛の花
なんとも不思議な夢
「一人の人を愛する心はどんな人をも憎むことができません」
ゲーテの言葉を思い出す
確かにそう
人を愛する幸せでいっぱいの時は
そんな気持ちは忘れている
ならば私は
私を傷つけた人間の幸せを心より願おう
温かく 明るい家庭に恵まれることを願おう
そしてふと私のことを思い出して
「かわいそうなことをしたかな」
と ちょっとだけ思って
忘れてしまえばいい