ジャパンディスプレイの希望
ジャパンディスプレイはソニー、日立、東芝と日本のトップメーカーの中小型液晶事業を統合して2012年に発足した会社です。一時は小型LCDで世界一位のシェアを握ってましたが、携帯のOLED(有機EL)化が進んだ事や中国勢の台頭などで現在まで10年連続の赤字となってます。
多くの人にとって、ジャパンディスプレイは倒産前のゾンビ企業だと思われていると思いますが、そんな中でいくつか希望も見えてきているので良い部分のみを紹介したいと思います。
1. OLED事業の黒字化
去年からOLEDの部門は黒字化できています。
2. 新世代OLED技術"eLEAP"の量産開始
今年の12月から従来のOLEDから寿命3倍、輝度2倍、CO2半減、コスト競争力も高いeLEAPディスプレイの量産が開始されます。既に60%の歩留まり率を達成していて量産に向けて順調に進んでいます。
3. eLEAPのライセンス収入
ジャパンディスプレイは2020年にいちごが経営参加してから、単独では巨額の設備投資を行わず、アセットライト化を目指しています。今回の独自技術のeLEAPもARMのように他社に開放してライセンス収入を得る事を狙っています。実際今期の予算にもライセンス収入が載っており、一定の確度があると思われます。
4. 中国安徽省蕪湖市と大規模eLEAP事業立ち上げ
中国の経済自治区である、蕪湖市と共同で大規模eLEAP工場の建設を行うMOUを結んでいます。計画通りに進めばeLEAP生産能力が50倍以上と大きく高まります。通常工場の建設には数千億円規模の設備投資が必要ですが、多くの部分を地方政府の補助金や現地企業が行うと思われます。
5. 複数工場の生産停止による固定費削減
着実な固定費削減により損益分岐点が下がってきており、今後eLEAPの生産が始まり、需要が高まってきた場合には利益が出やすい体制になってきています。
6. JDIが得意とする高性能LTPS LCDパネルの需給逼迫
ジャパンディスプレイが得意な高性能LTPS LCDパネルの需給逼迫しており、今期の予想でも数量増を見込んでいます。
7. 米中デカップリングの流れの中、サプライチェーンの分散化
米中のデカップリングの流れで、米国が関税を掛けたり、中国の過剰生産が批判されています。EVや半導体、鉄鋼などでは大きな影響が出てきています。
もし、中国が大きなシェアを握るディスプレイ業界も中国に頼るのはまずいということになれば、韓国と日本しか作れる国がいないためジャパンディスプレイにはかなりプラスになってくると思われます。