PBRの意味は? なぜ重要? 注意点から活用方法まで、元証券マンが簡単解説!
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※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)
普段は「割安株の探し方シリーズ」と銘打って、割安株中心に株価分析記事を書いています。
本記事では、株価分析とは少し趣向を変えて、投資判断における指標として超重要なPBR(株価純資産倍率)について、意味の説明から注意点、具体的な活用方法までご紹介いたします。
①PBR(株価純資産倍率)の意味は?
PBR(株価純資産倍率)とは 「price book-value ratio」の略で、計算式で示すと「PBR=株価÷1株当たり純資産」となります。
どちらも一株当たりベースで、株価と純資産の金額を比べています。
よって、PBRを正しく活用するためには、どうしても「純資産が何なのか?」という理解が必要になります。
純資産とは企業のBS(バランスシート、貸借対照表)における区分のことで、計算式で示すと「純資産=資産ー負債」となります。
あえて1人のサラリーマンで表現すると、以下のようなイメージです。
【資産】住宅(不動産)、自動車、銀行預金残
【負債】住宅ローン、自動車ローン
【純資産】住宅及び自動車の想定売却価格 + 銀行預金残 ー ローンの未返済額
純資産とは言葉通り、純粋に手残りになる資産がいくらなのかを示しているわけですね。
②PBRはなぜ重要なのか?
PBRが重要なのは、純資産が「企業の解散価値」を表しているからです。
企業が何らかの理由で事業活動をやめて解散する場合、負債を全て返済して残った財産を株主(会社の所有者)の間で分けるのですが、どれぐらい株主に資金が返ってくるかを示す数値が解散価値です。
つまり、株主にとっては言葉通り自分の取り分を示す金額になりますので、超重要な数値と言えます。
③PBR1倍が示す意味は?
PBR1倍が割安かどうかの目安とされていますが、PBR1倍とは何を意味するのでしょうか?
PBR1倍とは、株価と一株あたり純資産が同額の状態を差します。
つまり、投資額=解散時の自分の取り分という状態ですね。
この場合、計算上は投資元本がそのまま戻ってくることになりますので、PBR1倍の企業の株を買うことは割に合う投資と言えます。
よって、PBR1倍を下回る企業の銘柄は、(PBRという観点だけでみれば)割安であると考えられているのです。
④PBRを見る際の注意点! 企業の純資産額は本当に信用していいのか?
PBRとは株価と純資産額の比率なので、PBRを投資指標として正しく使うためには、純資産の正しい理解が必要不可欠です。
そして、純資産を理解するためには、資産・負債の内容を正しく把握できなければなりません。
一般に純資産は、BS(貸借対照表)に計上している資産から負債を控除すれば計算できますが、現実には必ずしも実体を表したものにはなっていません。
それは、帳簿上の資産や負債は時価に比べて過少または過大に表示されていることが多く、実際にどの程度なのかは厳密に再評価してみなければ分からないからです。
具体例を2つ挙げてみます。
<具体例1>有価証券の場合(ベンチャー企業への投資時など)
総合商社やソフトバンクなど、企業への投資活動を積極的に行っている会社をイメージしてください。
それらの企業がベンチャー企業へ1億円の投資を行ったとします。
その時、総合商社の貸借対照表(BS)には、資産の1項目として【有価証券】1億円が計上されます。
ただし、この有価証券は本当に1億円の価値があると言えるのでしょうか?
投資先がベンチャー企業よなると、当然、業績の波は大手企業より激しいです。
何かのきっかけで、大幅な赤字になるかもしれません。
そのような場合、たいてい、当初の投資額である1億円の価値よりベンチャー企業の価値が落ちることになりますが、その事実が客観的に認識できない場合は、【有価証券】1億円のままBS(貸借対照表)に残り続けてしまいます。
これでは、資産の価値が適切にBS(貸借対照表)に反映されているとは言えず、当然純資産の額も信用できるものではなくなります。
総合商社のPBRが割安になっているのも、こういった点が一つの要因になっていると考えられます。
※過去記事『商社株って買うべき? 割安株の探し方 vol.2』
<具体例2>貸付金の場合(企業への融資時など)
例えば銀行がわかりやすいですが、銀行は消費者からの預金を元手に、企業に対して融資(貸付)を行っていますね。
仮に1億円の融資を実行した場合、この時手元のキャッシュが1億円無くなる代わりに、BS(貸借対照表)には【貸付金】という資産項目で計上されます。
なので、貸付を行った時点では資産の合計額は変わりません。
ただし、貸付金は元本が全て戻ってくるからこそ資産としての価値があるのです。
仮に融資先の業績が悪化して、借入金が返せませんということになってしまうと、銀行側は貸し倒れ処理をするしかなく、資産として見ていた貸付金の価値は0円となります。
この場合、資産及び純資産が1億円減少することになります。
つまり、銀行の純資産は、貸付金が貸し倒れないことが前提の金額であると言えます。
(厳密には、ある程度の貸倒れを見込んで、予め貸倒引当金として資産をマイナス処理しています)
よって、不景気の際には他の業種よりも急激に純資産額が毀損すると思っていた方がいいでしょう。
以前、銀行株の分析記事でも記載しましたが、このリスクがあるので銀行株は総じてPBRが割安(2019.10月末の銀行セクター平均PBR 0.3倍)になっております。
※過去記事『銀行株はなぜ割安で放置されるのか? 割安株の探し方 vol.5』
⑤PBRはどう活用するのが正解か?
では、PBRは投資指標としてどのように活用すればよいのでしょうか。
結論から申し上げますと、PBR 1倍超というのはやや危険です。
なぜなら④で記載した通り、現状の純資産(資産)は実体の財務状況を正しく表しているとは限らないからです。
また、企業の全資産を正しく評価することは誰にも不可能ですので、予め保守的に見ておいた方がいいと考えます。
よって僕自身は、PBR 1倍を割安かどうかの目安としておいておりますが、実際は0.8倍以下だとより安心感があります。
↓の過去記事の通り、割安株の分析記事においてはPBR 1倍をスクリーニングの基準の一つに入れております。
※過去記事『どの株を買えばいいの? 割安株の探し方 vol.1』
ただ、当然業種によって主たる資産の性質は異なりますので(銀行業は貸付金が多いなど)、各業種によってPBRの割安基準は変わります。
個人的には0.8倍という基準で全業種に対してスクリーニングをかけて、その後、業種ごとの平均PBRと比較しながら各銘柄の割安度を判断していくのが良いと思います。
⑥まとめ
以上、PBRの意味、なぜ重要なのか、活用にあたる注意点及び具体的な活用方法を見てきました。
注意しなければならないポイントは多いものの、投資判断における重要な指標であることは間違いありません。
僕はPBR 1倍を一つの基準にして銘柄スクリーニングを行っておりますが、皆様も、自分にとってわかりやすい数値を基準にするのが良いと思います。
今回はPBRについて解説してきましたが、今後もPERやROEなどその他の指標についても解説を行っていきたいと思います。
※これまでの記事はこちら⇒割安株の探し方シリーズ(記事まとめ)
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わかりやすく読みやすい文章を心がけて、自分にとっても皆様にとっても投資判断の一助になるように、日々情報発信をしていきたいと思っています。
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