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目的地はTOKYOでした

わたしは旅行が好きだった

過去形
長引くコロナ禍で旅行を楽しみにしていたのは
もうずっとずっと昔の話のような気がする


アメリカ人旦那と出会ったのは
トルコ カッパドキアで奇岩を巡る旅を満喫し
60万円もの大金を払いラグを買い充実した旅を終え帰路に就く途中
トランジットで降り立った韓国インチョン空港喫煙室

カウボーイハットを被った背の高い男性が近づいてきた
(こういう時は絶対に火を借りたい人ので)
さっとライターを差し出した

空港での荷物検査の時にカブトムシがカバンにいたんだよ
まだ手荷物の中にいるかもしれない
と、よくわからないことを話しかけてきたので
それはそれは大変ですね・・・

彼は煙草を1本吸い終わっても
隣で話し続けたのでライターを彼と私の座っている間に置いた

休暇をプーケットで過ごしてきた彼の滞在中の出来事を
デジカメの中の写真を見せ順に説明してくれた(された)

私は英語が得意ではないので
欧米人と積極的にコミュニケーションをとることなく旅してきた
現地英語グループツアーに参加するときも
大体、静かに微笑んで話を聞いているふりをしていた
この時もそんな風に彼の話をにっこりと聞いていたと思う

しばらくすると、荷物からコンピューターを取り出し
これまで彼が訪れた世界各国の写真の説明がはじまった
彼はニコンD3を使用していたので写真は驚くほど美しかった

その中の一枚

世界写真集の説明が終わったら家族写真が始まった

とてつもなく長い間彼は話し続けた
恐らく2時間以上ずっと話していた

普段はギターとロックのギークな話題以外話さない人なので
いま考えると嘘みたいに話していた
あの時のことを話すと彼は5時間くらい話していたという

(ようやく)彼の飛行機の出発時間となり
それじゃあ良い旅を!と別れを告げた時に
彼がHugしていい?と聞いてきた
あっ、どうぞどうぞって

え?
え?
えーーー? なんだこの目は?

どうしてそんなに悲しそうな目で見つめているの?

この時にわたしはなにかを感じてしまったのだ

これが私と旦那の出会いの話



実は飛行機は違ったものの彼も私も
目的地はTOKYOでした

彼は仕事で日本へ2か月ほど滞在する予定だったのです
あの時の彼の眼差しの意味を探してみようと
1週間後に彼と再会したのでした








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