見出し画像

クライマックスシリーズ第1戦。明暗を分けた2つのポイント

この試合、ライオンズの攻守において2つのポイントがあった。守備の面では言うまでもなく森の捕逸が致命的な失点につながった。また平良のホームベースへのカバーがもう少し早ければ、タイミング的にはアウトだったかもしれない。これらのプレーは確かに痛かった。でもこれはあくまでもミスである。もう振り返っても仕方がない。


次戦以降を見据え、もっと重要なポイントだったと思うのは平井の起用法だ。シーズン終盤は明らかに打ち込まれる場面が増え、それまでの安定した内容からは程遠い状態だった。3人で抑えるときもあるが、一人でも走者を許すとそのまま崩れ失点する、というシーンが目立っていた。そんな不安がある中で、8回はシーズン通りの「型」として平井を送ったが、連打を許したところで平良にスイッチ。平良は「ミス」もあり逆転を許すものの、球威で押し込めていたし、今後も十分に通用するところを見せた。結果から振り返ると、そして今後を考えると、現在の状態で平井に1イニングを任せるのは厳しいだろう。7・8回は左右の打順を見ながら小川・平良の起用になっていくのではないか。しかし平井が必要な戦力であることには変わらない。この2人がピンチを迎えたり、右の強打者をどうしても抑えたいとき、ワンポイントとしての平井なら十分に効果的な働きができると思う。短期決戦は「型」にこだわっていると命取りになる。どれだけ早く、使える / 使えないの見極めができるかが重要だ。2戦目以降の終盤の投手起用に注目したい。


そしてもう一つ、攻撃でのポイントとなったのは8回裏。先頭の山川が二塁打で出塁した場面。相手投手はモイネロ。リーグで最も失点しない投手と言ってもいい。実際にシーズンでも西武戦は8.2回で自責点はわずか1。ここで西武は「強攻」した。結果は栗山・代打メヒアが連続三振、金子はファーストフライと完全にねじ伏せられた。この場面、山川に代走を送り、栗山に犠打を命じることも選択肢としてあったはずだが、その作戦はとらなかった。リリーフ投手の層の違いもあり、辻監督は同点ではなく逆転までを狙いにいったのだろう。無得点に終わったことを責めるのは結果論でしかない。しかし被打率がわずか1割台のモイネロが相手と考えれば、何かしらの策があってもよかったのではと思わざるを得ない。ソフトバンクの工藤監督が、このCSでは次々と「型」にこだわらない勝負手を打ってきている。結果以前に「自分が後悔しないように」というコメントが印象的だった。同じく西武の黄金時代メンバーとして短期決戦を何度も経験している辻監督が、これからどんな勝負を仕掛けるか。期待して観ていきたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?