配当金の受け取り時期はいつ?スケジュールと受け取り方の詳しい解説
株式投資の魅力の一つに、「配当金」があります。
定期的に受け取れる収入として、お小遣いや副収入として楽しみにしている人も多いようです。
ただし、配当金を受け取れるタイミングや条件は銘柄によって異なります。
配当金狙いで投資したにもかかわらず、期待したタイミングで配当金が受け取れないという事態に陥らないように事前に確認しておくことが重要です。
配当金はいつもらえる
【投資戦略、将来性、分析】
配当金とは、企業の株式を保有している株主に分配される現金配当のことです。
株主は保有株式数に応じて、企業の利益の一部を配当として受け取れます。
企業の利益の状況で配当金額が決定されるため、経営方針の変更や業績の悪化などがあると配当が減ったり支払われなくなったりする場合もあります。
年に1〜2回が多い
日本企業の場合、年1回の本決算と中間決算の2回でそれぞれ配当を支払うのが一般的です。
配当金が支払われる時期は企業の決算期や配当回数によって異なりますが、通常は決算の2〜3ヶ月後に支払われることが多いです。
具体的な配当金の支払い日程は、各企業が作成する「決算短信」で確認できます。
米国株の場合は年4回の配当
日本株は年1〜2回の配当ですが、米国株銘柄の場合は年4回の配当が一般的です。
銘柄ごとに時期が異なるため、配当時期をずらして銘柄を所有すれば、毎月配当をもらうことも可能です。
決算から2〜3ヶ月後が一般的
3月期決算の企業は、4月〜3月末までの1年間の中で何度か決算発表を行います。
基本的に決算発表は3ヶ月ごとに実施され、第1四半期、第2四半期、第3四半期、本決算の4回です。
年2回配当を行う企業の場合は、1回目は9月の第2四半期の決算タイミング、2回目は3月の本決算タイミングで配当を受け取る権利を得られます。
ただし、決算発表の時点で配当を受け取れるわけではなく、実際に配当を受け取れるのは決算から2〜3ヶ月後です。
期末配当/6月〜7月ごろ
3月期決算の企業の場合、4月下旬から始まる本決算発表と6月の株主総会を終えた6月下旬〜7月頃に配当が支払われます。
これを「期末配当」と呼び、配当が年1回の企業はこの期末配当を毎年1回受け取ることになります。
中間配当/9月〜12月ごろ
決算期末を基準に支払われる期末配当に対し、中間決算を基準に支払われる配当を「中間配当」といいます。
第2四半期の決算発表が行われた後、9月〜12月に支払われることが多いです。
営業年度途中で支払われるため、企業によって配当金を出すタイミングが異なります。
そもそも中間配当金を支払わない企業もあり、配当が年1回と定められている企業の場合は、本決算時の期末配当のみというのが一般的です。
配当金をもらうための方法
配当金をもらうためには、いくつか条件があります。
順番に確認していきましょう。
「権利付最終日」までに株を保有する
「権利付最終日」とは、「この日までに株式を保有すれば、配当金や株主優待などの株主としての権利を得られる日」のことです。
権利付最終日までに株の購入を完了しなければ、配当金を受け取れないため注意しましょう。
ソフトバンク(9434)での配当金受け取り例
配当金をもらうためには、「権利付最終日」までに株の買い注文を発注し、「権利確定日」時点で株の受け渡しが完了している必要があります。
配当金をもらうスケジュールを以下の表で確認しておきましょう。
こちらは、3月決算企業であるソフトバンク(9434)の配当を受け取るケースです。
配当金をもらうためには、権利確定日である3月31日時点で株主名簿に名前が記載されている必要があります。
株式は「購入してから実際に受け渡しが発生するまでに2営業日かかる」という点に注意が必要です。
権利付最終日の3月29日時点で株を購入しておけば、3月31日の権利確定日に株主名簿に名前が記載されるため、配当を受け取る権利が得られます。
3月30日に株を購入したとしても、3月31日には受け渡しが間に合わないため、この日を「権利落ち日」と呼ぶのです。
権利落ち日に株を売却しても、配当金をもらう権利は得られます。
振り込まれるのは決算日から2〜3ヶ月後
配当金が実際に振り込まれる日は会社によって異なりますが、決算日から2〜3ヶ月後となるのが一般的です。
3月決算の企業であれば、決算が終わった後5月〜6月頃に開催される株主総会で配当金の支給について承認を受けます。
その後、配当金の支払いが開始されるため、実際に株主の手元に配当金が振り込まれるのは6月頃となります。
日本株の配当スケジュール(いつもらえるか)
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日本の企業の多くは3月期決算となっているため、配当も3月末・9月末を基準として支払われることが多いです。
それ以外の月についても、どのような企業が配当基準日(権利確定日)に設定しているか確認してみましょう。
配当金の受け取り方
上場企業の配当金を受け取る方法は4種類あります。
株を購入する証券会社によっては、全ての受け取り方法が用意されていない場合もある点に注意しましょう。
株式数比例配分方式
「株式数比例配分方式」は、保有している全ての銘柄の配当金を一つの証券会社の口座で受け取る方法です。
源泉徴収ありの特定口座を開設していれば、株式数比例配分方式を選択することで、特定口座内で発生した損益と受け取った配当金の損益通算を証券会社が代わりに行ってくれます。
自分で確定申告をする手間が省けるため、損益通算の必要がある人にとっては便利です。
ただし、複数の証券会社で株を保有していて損益通算するような場合は、確定申告が必要なケースもあるため注意しましょう。
NISA口座やジュニアNISA口座で購入した株の配当金を非課税で受け取るためにも、この方式を選択する必要があります。
配当金領収書方式
「配当金領収書方式」は、自宅に郵送される「配当金領収書」を郵便局等へ持参して配当金を受け取る方法です。
配当金領収書は、証券会社からではなく発行会社の事務手続きを代行している信託銀行から郵送されます。
特定口座を開設しておらず、一般口座のみを保有している場合、この方法がよく利用されます。
個別銘柄指定方式
「個別銘柄指定方式」は、銘柄ごとに配当金を受け取る金融機関を指定し、届出があった分の配当金を登録口座で受け取る方法です。
銘柄ごとに受け取る口座を分けて管理したい方向けの受け取り方法です。
登録配当金受領口座方式
「登録配当金受領口座方式」は、指定した一つの金融機関の口座で保有しているすべての株式の配当金を受け取る方法です。
特定の口座でまとめて配当金を受け取りたい方には、この受け取り方法が適しているでしょう。
一度届出を出せば、すべての銘柄の受け取り方式を指定できるため、一つ一つの配当金の受け取り先を登録する手間が省けます。
受け取り方は変更可能
配当金の受け取り方は、「証券保管振替機構(ほふり)」を通じて各証券会社間で共有されているため、いつでも変更することが可能です。
複数の証券会社で口座を保有している場合、一つの証券会社で配当金の受け取り方法を変更すると、他の証券会社で保有している銘柄の配当金受け取り方法も変更になります。
例えば、比例配分方式を選択したとしても、その後登録配当金受領口座方式を指定すると上書きされてしまうため注意しましょう。
配当金を出す銘柄を選ぶ際に意識すること
配当金目的で株を購入する場合は、以下の点に注意しましょう。
配当利回りを確認する
まずは「配当利回り」を確認しましょう。
配当利回りは、1年間で受け取る配当金が投資金額の何%に相当するかを表す指標です。
配当金額が高い水準で継続して支払われている場合、安い価格でその株を購入するほど配当利回りは高くなります。
例えば、ソフトバンク(9434)の2022年3月期決算の予想年間配当は86円です。
仮にソフトバンク株を5,500円で購入した場合、配当利回りは86円 ÷ 5,500円 × 100 ≒ 1.56 %となります。
ソフトバンクの株価が5,000円に値下がりしたところで購入すれば、配当利回りは86円 ÷ 5,000円 × 100 = 1.72%です。
このように、同じ株を購入したとしても、その時の株価と配当金によって配当利回りが異なる点を認識しておきましょう。
増配を続けているかどうか
毎回増配が続いている銘柄は、投資対象として魅力的です。
以下は、連続して増配を続けている日本企業の例です。
花王(31期連続増配)
小林製薬(22期連続増配)
KDDI(19期連続)
ユニチャーム(19期連続)
ニトリホールディングス(18期連続)
長期保有を前提にするなら、現在の利回りだけでなく、増配を続けているかどうかに注目するのもよいでしょう。
企業業績が悪化していないか
配当金ランキングを見た際、記念増配などで配当金が一時的に上がっている企業も存在します。
配当狙いで投資をするのであれば、安定して配当を出し続けているかが大事なポイントです。
業績が悪化している企業は、次回の決算タイミングで減配となるリスクもあるため、銘柄選びの際は企業業績もしっかりとチェックしましょう。
まとめ:配当金は権利確定日から2〜3ヶ月後にもらえる
日本株式の配当金は、権利確定後すぐに振り込まれるのではなく2〜3ヶ月後の株主総会後というのが一般的です。
配当金をもらうためには、「権利付最終日」までに株式を保有している必要があります。
株式を購入するために必要な資金は銘柄によって異なるため、自身の余裕資金の範囲内で購入できる銘柄を選ぶようにしましょう。