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IR取材レポートの活用について(初心者・初級者向け)
はじめに
新年あけましておめでとうございます。
まずは生き残って経験を積む事、まずはこれを第一にポジション管理やリスク管理を規律をもって行えるように経験を積んでいくのが今年の目標です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回はIR取材レポートについて感じた事や活用法について私なりの考えを述べたいと思っております。
こちらは塾内のコンテンツやIR Agents(有料投資家サービス)の利用者などIR取材レポートを読む方を想定した記事となりますので、かなり限定的な読者をターゲットとしております事、ご了承くださいませ。
また、IR取材やメールで問い合わせを頻繁に行われている様な中級者の方には当たり前の事ばかりかと思います。これからIR取材を始めて行おうと考えている方や、どこから始めれば良いか分からない初心者・初級者を意識しております事ご理解下さい。
IR取材の効用
動画セミナーで何度も述べられいる事ですので、今更ではございますが実際にIR取材を行ってみて感じたメリットについて何点か述べさせて頂きます。
①時間の短縮
決算説明資料や動画など一通り確認した上で、取材を実施するものの、全ての資料を過去までさかのぼってみる事は時間効率の観点から現実的ではありません。
ある程度の量の資料を見ても分からない点は直接IRに問い合わせしてしまった方が確実かつ時間を効率的に使う事が出来ます。
②資料に載っていない情報について得る事が出来る可能性がある
公に晒される資料である以上、発表時点で確度が高い内容以外は資料に載せる事が現実的には難しいと考えられる。そのため、どうしても保守的・曖昧な記述になる事も多い。
しかし、企業活動は日々進んでおり、資料作成時に未確定であった情報がIR取材を実施したタイミングでは確度が高い状態になっている事も十分起こりうる。
いつも有益な情報が得られる訳ではないが、資料に記載の材料について突っ込んで尋ねてみると新しい情報を入手する事ができ、他の投資家の一歩先を行く事が出来る可能性があると考えており、その点で非常に有意義なものと認識しております。
③企業理解が深まる
IR取材(特に電話取材)を行うためには、対象企業のビジネスモデルの理解が不可欠となる。IR担当者の貴重な時間を使って取材をしているという意識も働くため、しっかりと企業分析をしようという意識が働き、怠け心を抑える事が出来る。
これは直接的な効用と言うよりも、副次的な物である。
日々の目標に組み入れると効果的と考える。
例えば、「1週間に1社企業分析を行う」という目標を立てるよりも、
「1週間に1社、IR取材をする」という目標の方が自分自身のファンダメンタルズ分析力を高める意識付けとしては有効なのではと感じました。
(言葉遊びの様な小さな差ではございますが、、)
IR取材の課題
初心者・初級者にとってIR取材の課題となるのは、
そもそも何を聞いたら良いのか分からないではないかと考えております。
これは私の考えですが、「何を聞いても良い」 と私は思っております。
勿論、直近の資料を読めばすぐに分かる様な内容ばかりですと、どうかと思いますが、それ以外であれば何でも良いと思っております。
そもそもIRはInvestor Relationsの略語、つまり投資家との関係性を構築するのが仕事だと思っているので、その企業に関する定量的・定性的な質問に対して回答する役割であるので、あまり物怖じしないで良いと考えております。
また、聞きたい内容が浮かばない(疑問点が出てこない)という声も上がってくるのではと考えております。
これについては、「疑問力」を上げる事を意識すると良いのかなと思っております。
「なぜ、〇〇の数字が直近改善してきているのか?」
「会社は〇〇の事業が伸びると説明しているが、本当だろうか?」
会社が投資家に対して開示する情報の裏を探るのが投資家の仕事の1つであると考えております。
会社が開示する資料や情報を鵜呑みにするのではなく、必ず一度疑ってみる意識は持つ必要があるのかなと思っております。
対人関係において、優しい(いわゆる「良い人」)ほど、投資家として向き合う際には意識の切り替えを強く行う必要が出てくるかと思います。
また、疑問を抱く事に留まらず、そこから派生して結果に至るプロセスについて自分なりの仮説を立てる事がもっと重要だと思っております。
仮説を立てるにあたり、必要な情報が足りていなけば適宜IRに問い合わせをしたり、電話取材であれば自分がたてた仮説そのものをIRに直接ぶつけてみても良いと思っています。
そして、DUKE。さんも仰っておりますが、これらは特定のスキルと言うよりも「経験」によって培っていくものだと考えています。
私も始めたばかりで辛いなと感じる事もありますが、ショートカットは無いと感じておりますので愚直に続けていきたいと思っております。
IR取材レポートの使い方
私なりに考えたIR取材レポートの使い方について、説明いたします。
①自分で一度、決算説明資料や短信など一通り資料を読んでみて、自分がインタビュアーだと思い込んで、経営者にどんな事を質問するか箇条書きでっ書き出す。その際、どんな些細な事でも良いので気になった事は筆を止めずに書き出す。
どんな些細な事でも良いというのは自分自身の経験による所があるからです
銘柄分析①であげたMTIについて、私の疑問リストにこんな物がありました
・セキュリティアプリ事業のスライドの縦軸の目盛りがない
・決算説明会動画についての感想(説明会のスタイルが淡泊)
通常であれば、将来の業績とはあまり関係がないこの様な事をリストに挙げるのをつい躊躇う方もいるのではないでしょうか?
しかし、実際にはインタビュアーの方が同じ疑問を抱いていたのか質問をされており、この時の経験から少しでも「違和感」が生じたら、メモを取りIRに問い合わせをすべきだなと学びました。
②レポートを読む
③読み終わったら、自分が用意した質問リストとインタビュアーが行った質問で被っている質問がないか? (被っていたら自分の「疑問力」が上がったと判断できる)
逆にインタビュアーがしている質問で、自分が思い浮かばなかった質問(特にその企業を理解する上で、自分が役に立ったと感じた質問)をなぜ最初に自分は思いつく事が出来なかったのか、少し考えてみる
また、「同じ様な質問を角度を変えて聞く」という手法はDUKE。さんのIR取材の動画とも通じるものがあり、テキストベースで上記のテクニックについて確認する事が出来るので、ただ流して読むのではなく聞き方や話の流れについても意識しながら読むとさらに良いのかなと個人的に思いました。
この一連の流れを繰り返す事で、自分が実際にIR取材を行う際のコツが少しずつかもしれませんが、確実に身につくと考えています。
結び
初めての銘柄分析を行った際に、IR取材レポートが自分にとっては役に立ったのでブログ用の種にメモを取っており、時間を見つけ記事にした次第です。
DUKE。さんは1つの決算説明会資料を読むと10も20も疑問点が湧くと仰っておりましたが、最初はどうやって疑問点を出したらよいか分からないかと思います。
私もさすがにそこまでの数の疑問点の数が浮かばないので、経験値が少ないのだと思っております。
同じ業種、似たようなビジネスモデルの企業を何社も分析しているとポイントもつかめるでしょうし、また会計の知識など不足している知識によって、目の前にある数値が意味のある数字として捉えられていないという可能性もあります。
また、そもそもその企業との相性が悪い(ビジネスモデルが全く理解できない、興味が持てない)と言うケースもあると思うので、無理に疑問を出そうと考えるのではなく、理解できる企業から始めると良いのかなと思います。
本日はここまでにしたいと思います。
次回は保有株のアシロについて、2回目の銘柄分析を発表予定です。