見出し画像

「巾木」について

巾木(はばき)は建築において床と壁の取り合いに取り付ける「部材」です。この巾木のパターンはいくつか考えられ、木造で床がフローリングの場合、木製巾木ならば、通常フローリングを貼った後に巾木を取り付けてからPBボードをのせて貼っていく場合と、フローリングを貼り終わった後に最初にPBボードを貼ってその後に巾木を取り付けるパターンがあります。

そもそも目的は

巾木の目的は住んでいる人の利用側とつくっているときの施工側でそれぞれあります。巾木があると掃除機を使用する際に壁の仕上げが傷ついてしまったりということを気にせずに掃除をすることができます。また、子どもたちがいるときに足元が傷だらけになりにくいということもあります。逆に巾木がなければ、繰り返す掃除機の跡が残ってしまったり、足元の壁が汚れてしまったりします。

施工の時は巾木を取り付けることで施工のスピードが上がります。巾木があることで「逃げ」が効くので作業が早く進みます。

木製の巾木

木製で塗装の巾木とする場合、壁の仕上げにもよりますが材料はコストなどから栂(ツガ)を使用する場合が多いです。綺麗にいくよう巾木を取り付ける前に塗装をしておきます。ただし工程により順序が入れ替わる場合もあります。巾木の高さは任意により決定します。天端に見えてくる幅である「ちり」は極力小さい方が見えは良いですが3㎜以上とします。以前に3㎜であっても使用する木の状態によりしばらくしてから割れてしまったことがあります。壁に12.5㎜のPBボードを差し込む場合は差し込む幅を少し大きく13㎜としています。

掃除しやすく壁が汚れにくい利点がありますが、幅木の天端に埃が溜まってしまうという問題もあります。壁が左官の場合は天端のチリを0㎜とし埃が溜まらないようにするということもあります。

画像1

アルミ入り巾木

既製のアルミ入り巾木を使用する場合もあります。これを使用すると壁と床の間に12㎜程度の隙間ができ、透けて見えるようになります。

施工の手順は、フローリングを貼った後にこのアルミ巾木を柱と間柱に接着とビスで固定し、その後にボードをのせながら貼っていきます。

T字型の既製品を使う場合が多いですがL字型を使用する場合はきちんと固定することが大切です。ボードで固定できない分、後に剥がれてしまったことがあります。アルミ入り巾木を使用する場合は出隅や入隅は双方の部材を斜めにカットしてから組み合わせる「留め」とし精度を出すことが大切です。また出隅の場合は角が鋭利になりますので後にサンダーなどで研磨しておく必要があります。

画像2

コンクリートの場合

内部がコンクリートの打放しで床がフローリングの場合は巾木を取り付けない代わりにフローリングを壁から3㎜程度透かして貼り、隙間をコーキングとします。この3㎜はコンクリートの躯体の状況により変更します。躯体が少し湾曲している場合は3.4㎜としても良いかもしれません。

画像3

コンクリート入り巾木とする場合もあります。これはコンクリートを打設する段階で予めフローリングと壁の取り合い付近に「ヌスミ」という凹み部分をつくっておきフローリングを壁にひっついた状態で施工するものです。施工の段階でかなりの精度が求められ、フローリングと入り巾木の幅は15㎜以上が限度だと思います。またこの方法はコンクリート打設後にこの「ヌスミ」部分をサンダーなどで研磨しておく必要があります。コンクリートはそのままだと鋭利で足元なので気を使うことが大切です。この方法は大工さんもフローリングを正確に壁一杯で貼るので施工泣かせの仕事となります。

画像4

巾木無しとする場合

巾木無しとすることもできます。壁の仕上がりによりいくつかのパターンがありますが壁が塗装や土壁などの左官仕上げの場合はフローリングを貼った後にボードをフローリングにのせるかたちで貼っていくことにより巾木無しとすることができます。

画像5

壁の仕上げがクロスの場合は考慮が必要でクロスの施工の際にクロスを貼り床際でカットする時のことを考慮しなければなりません。クロスを貼る時に床側で一度長めにクロスを貼りその後カッターで切っていくのですが、フローリングの長手方向であれば良いですが短手で継手の凹の部分になると綺麗にカットできないためです。

そのため、クロスを使用する場合はボードの下にアルミのフラットバーを入れてクロスを施工しやすくすることもあります。階段などの施工が細かい部分であれば、逆に何も入れない方が綺麗にいくので、状況により判断します。

画像6

最後に

和室では畳と同じ高さの「畳寄せ」を用いて畳を敷いてしまうと巾木は見えなくなります。巾木は使用する場所により一長一短があるので目的により決定するようにします。


いいなと思ったら応援しよう!