2025年のテーマ別投資:Part②インド関連銘柄の日本株〜
前回は資産運用会社の2025年見通しと日本株へのインプリケーションをまとめた。本レポートでは米中対立の間で、インド市場の成長によって恩恵を受ける日本企業に注目。
コーセー(4922):東南アジアやインドなど新興・途上国での事業拡大を目指し、2024年12月にタイの高級化粧品ブランド「パンピューリ」の買収を発表。同社の株価はここ数年の底値圏にあり、買収が反転のきっかけになる期待が市場の一部が持っている模様。また、買収先は今後成長が期待できる天然素材を活用したハンドクリームや香水、入浴剤など高級化粧品が強み。加えて、同社製品の日本国内における拡大も注目、すでに伊勢丹新宿本店(東京・新宿)や阪急うめだ本店(大阪市)などで取り扱っている。
配当利回りは2.0%、PERは52倍、PBRは1.5倍と足元のバリュエーションの割安感は限定的。ただ、11月には2024年12月期の連結純利益を126億円→80億円に下方修正し、消費が低迷する中国店舗閉鎖等の構造改革費が一過性のマイナス要因となり、悪材料は出尽くした可能性。今後中国の赤字幅の縮小による収益性改善も今後期待できる。主なリスクは中国事業の事業改革の遅れ、好調な日本や北米の減速等。
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クボタ(6236):同社はインド市場の農機・建機に集中にするため、同国の鉄道事業から撤退すると2024年10月に発表。特に同社の強みである小型トラクターの需要増へ期待。過去6か月の株価パフォーマンスは-19.3%と市場を大きく下回っている。円高による為替影響の逆風、欧米でのトラクター販売減等のネガティブ材料が株価に織り込み済みの可能性。また、北米の小型トラクターの市場が25年以降には底打ちする予想を会社が出しているが、資本市場は慎重なスタンス。PER9.6倍、PBR0.9倍、配当利回り2.7%は一定程度魅力的な水準、2024年上期のPBR1.3倍程度に対してアップサイドがあり、ダウンサイドリスクは限定的。主なリスクは中国事業の事業改革の遅れ、好調な日本や北米の減速等。また、同社の輸出率・為替感応度が高く、円高に振れたときに収益が減る効果が機械セクターでも相対的に大きいこと、引き続き同社日本以外の売上(約8割)が現地通貨ベースで減収し続けること。
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ダイキン工業(6367):インドでは猛暑を受けてエアコンの販売が伸びる予想、特に需要の高い冷房専用のビル用空調機器による収益拡大が注目に加え、同国の住宅用エアコンの普及率が8%程度にとどまっていることが伸びしろ。完成品だけではなく、空調部品事業に関しても台湾メーカーとの合弁を2024年12月に発表。合弁会社はインドのサプライヤーも活用しながらインド国内での開発や製造も視野に入れ、高いコスト競争力へつながる可能性。また、ダイキンは省エネ技術に強みを持ち、中長期的に省エネ性能が高い同社製品が売れる土壌ができることがインドでも見込める。株価が過去6か月に-18.7%と円高傾向によってやや低調。PER 20.6倍、PBR 2.0倍は2024年上期同27.5倍・2.8倍から一定程度調整し、まだ魅力的な水準とはいえないが、ダウンサイドリスクは限定的。
インド以外では生成AI(人工知能)向けに米テック大手などにデータセンター・半導体工場、電気自動車(EV)用バッテリー工場、などに提供する大型空調が追い風となる。主なリスクは売上高が過去最高となった北米空調市場の減速、物流費や原材料の高騰を予定通りコストダウンにて吸収できないこと。
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ディスクレーマー:
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