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11月29日の東京株式市場:日経平均反落、円高とCPIが影響
2023年11月29日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比141円03銭(0.37%)安の38,208円03銭で取引を終えました。反落の背景には、為替動向や経済指標の発表があり、特に円高進行や消費者物価指数(CPI)の上昇が市場全体に影響を与えました。
主な要因
1. 円高進行
ドル円相場は一時150円を割り込み、149円台まで下落。これにより、輸出関連株が軟調に推移しました。特に、自動車メーカーやハイテク株が大きな影響を受け、トヨタやソニーなど主要銘柄の株価が下落しました。輸出企業は円高により利益が圧迫される懸念が強まり、売りが先行しました。
2. 消費者物価指数(CPI)の上昇
東京都区部の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る結果となり、日銀の追加利上げの可能性が意識されました。これを受け、為替市場では円買いが進み、円高基調が一段と強まる要因となりました。インフレ圧力の持続が投資家心理に不安を与えた形です。
3. 半導体関連株の利益確定売り
東京エレクトロンをはじめとする半導体関連銘柄が利益確定売りの対象となり、市場全体に波及しました。半導体業界は依然として好調な需要が見込まれていますが、短期的な利益確定の動きが顕著となりました。
市場の動き
日経平均株価は一時38,000円を割り込む場面もありましたが、下値では値頃感からの買いが入り、終盤にはやや下げ幅を縮小しました。TOPIX(東証株価指数)も反落し、終値は0.24%安の2,680.71ポイントとなりました。市場全体では、プライム市場において931銘柄が値下がりし、663銘柄が値上がりしました。
売買代金
売買代金は約3兆5,973億円と、5営業日ぶりに4兆円を下回る結果となりました。これは、週末を控えた慎重姿勢や主要経済指標を控えた動きが影響したと考えられます。
業種別の動向
1. 輸出関連株
円高の影響を受け、特に自動車や半導体関連株が軟調に推移しました。トヨタやホンダなどの自動車株が売られる一方で、部品メーカーの一部には買いが入りました。
2. 金融株
円高による輸出関連株の下落に対し、金融株は比較的堅調な動きが見られました。金利上昇の可能性が一部の銘柄にプラス材料として働いたようです。
3. ハイテク株
全体的に軟調で、半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロンなどの主要銘柄が下落しました。
先物取引の活発化
主要証券会社では、日経225ミニ先物取引が活発でした。特にSBI証券での取引高は66,081と高い水準を記録しました。先物市場では、今後の経済指標や為替動向を睨んだ投資家の動きが活発化しています。
今後の展望
市場参加者の関心は、経済指標や米国の金融政策に向けられています。特に、米国雇用統計やGDP成長率の発表が市場動向を左右する可能性があります。また、日銀の金融政策に関する議論が円相場や株価に影響を与える場面も予想されます。
一方、月末・週末を控えた投資家の慎重姿勢が続く中、目先の動きとしては、下値を模索する展開が続くかもしれません。しかし、企業業績や経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き市場を支える要因となるため、大きな下落には至らないとの見方もあります。
日経平均株価が38,000円台で推移する中、為替や経済指標の動向に引き続き注意を払いながら、市場の底堅さを確認する局面が続きそうです。