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チャートパターンのお勉強(4):カップウィズハンドル

 こんにちは😊

 チャートパターン分析の4回目、いよいよチャートの形から何が起きているのかを想像して売買のタイミングを計るお勉強です!
 ここまで学んできた点がつながって線になりますよ、チャートだけに📈笑
 栄えある1つ目のチャートパターンはもちろん「カップウィズハンドル」(Cup with Handle)です😉。

[注意]
 記事はおじさんの手法の紹介ですので、他の手法を否定するものではありません。記事内容や図表を無断で転載・流用することは厳禁です。

 ここからのお勉強は第1回第2回第3回の学習内容が必須になりますので、先にこれらの記事を読んで理解してもらっていることが前提になります。


カップウィズハンドル

 この超有名なチャートパターンをご存知でしょうか。かの有名な故W・J・オニールが提唱したこのチャートパターンは取手(ハンドル)付きコーヒーカップのような形に似ているのでこのような呼称になっていて、次のような形をしています🥰。

コーヒーカップ(GroKさん作画)
カップウィズハンドルの形状

 「リップ」はコーヒーカップのフチ、「ハンドル」が取っ手の部分に当たります😊。

 おじさんは、この形がチャートパターンの最重要形状と言っても過言ではないと思っています。高頻度で現れるだけでなく、高確率で株価の動きが想像できて売買のタイミングが計れるパターンなのです🤩。もちろんここまで学んできたとおり、出来高もセットで分析します。
 このチャートパターンは、オニさんが提唱した後、株だけではなくコモディティや為替などの多くの金融商品でも有用性が検証されたパターンです。

チャートパターンの特徴

 ここまで学んできたとおり、チャートパターンは大口投資家と市場参加者の需給の結果ですから、「なんとなく形状が似ているから」といって無理やりチャートパターンにこじつけてしまうと失敗します。いわゆる「ダマシ:偽物」です。
チャートパターンの特徴は「なぜそのような形になるのか」という本質的な理由とともに理解することが大切で、おじさんのこのシリーズ記事はこれが目的です🥸。

 では、カップウィズハンドルの株価・出来高の動きの特徴を見ていきましょう。典型的なチャートパターンは下の図のようになります。

チャートパターン:カップウィズハンドル

カップウィズハンドルの特徴

  • 多くは12~25週かけて形成される(最小7週~最大65週)。

  • 丸い底(V字底ではない)、両端のリップ、ハンドルで構成される。
    カップ底で十分に調整されるのがよく、V字底ではない方がよい。

  • 右側リップはカップ全体の上半側にあることが条件で、左側リップの 0~10%下落側の範囲に生じる。

  • ハンドルは右側リップまで一旦上昇したあとの調整期間を意味していて、ここでは振るい落としが行われている。十分な上昇圧力を得るためにリップから10%程度の下落がよい(ハンドルが浅いと上昇力不足になる)。

  • 多くの場合、スローバックが発生する(図)。

 もう少し解説を加えていきますね。
 カップウィズハンドルは比較的長期のチャートパターンです。但し、数年単位のチャートパターンではありません(そこまで超長期的な仕掛けをする大口投資家はいません)ので注意してください。
 実際のチャートでは株価のジグザグは継続しますので、滑らかな丸底になることはまずありません。日足だけではなくて週足でもチャートを観察すると形状が見えてきます。
 例えば右側のリップ位置がカップ下半の低い位置になったり、カップの底がV字型になったりするとこのチャートパターンは崩れていると考えるのがよいです。
 カップの左側は下に凸の下落で、右側は下に凸の上昇です。出来高の動きと合わせてしっかり思い出してくださいね。

大口投資家と個人投資家の動き

 ここまで読んで既にお気づきの方も多いと思いますが、カップウィズハンドルのパターンは、第2回で解説した「需要と供給の力学」の図と同じなのです(下図)。よく見ると同じ形をしていますよね。これこそが典型的な需給のパターンで、ここで学んだ考え方でチャートパターンのほとんどが理解できるんです。冒頭で「最重要形状」といった理由です😎。

第2回から抜粋

 前提として、買う側にも売る側にも「強気メンバー」と「弱気メンバー」の両方がいるということは理解できると思います🤔
 上の図で出来高を見ると、A地点で買った人もB地点で買った人もたくさんいます。株価というのは買う人と売る人の両者がいないと成立しませんから出来高が多いということは買った人も売った人も多いということですね。
 この後で株価が上がって橙色の点線で囲ったC地点に達したとき、この銘柄保有者の「心理」はどうなっているでしょうか😎
 A地点で買った人は大きく値下がりして含み損となった株価がまた上昇してきたので、含み損が解消したこの辺りで手終いしたくなっています。いわゆる「やれやれ売り」です。B地点で買った人の中にも株価が上昇したのでそろそろ利確しておこうという人が増えています。この人達はC地点から大きく株価が上がらないと見ている「弱気メンバー」です🥹
 「弱気メンバー」の手終い売りと利確売りが生じますので株価はなかなか値上がりしづらくなって押し目を作りながら株価は停滞します。ピンクで囲った出来高を見てください。これは「弱気メンバー」の売りが終わって売買が減少してきた様子を示しています。
 この期間を過ぎると「強気メンバー」だけが残っていますので株価は再上昇を始めたというわけです。皆さんが新たにこの銘柄を買うなら、C地点から上昇を始めたときがもっとも確実ですね😉

 前回の繰り返しですが、チャートパターンは「原因」ではなく「結果」ですので、C地点に達した時点では株価が上昇するのか下落するのかは分かりません。でも、注意深く観察することで「何が起きているのか」を推定して「買う/売るならどのタイミングなのか」を計ることはできます。上の例なら、「C地点から上昇を始めたら買う」というのがチャートパターン分析の成功例になるわけです。

基礎編 第2回より

 そうとなれば、既に勉強してきた読者の皆さんは大口投資家と個人投資家の動きがわかりますよね😘。
 改めての詳細説明は割愛しますので、大口と個人、出来高、強気メンバーと弱気メンバーといったキーワードと、上図のCエリアで一旦調整が生じる理由をしっかりおさらいしてください!

機関投資家の動き
 左側リップまでの好調な上昇から利確・空売りで下に凸のカーブで株価を下落させた後、長期の調整(カップ)での買い集めをしています。カップの底で発生する複数回の小さな出来高変動は大口投資家の買い集めと考えられます。弱気メンバーを減らす振るい落としの調整は回数が多いほど有効です😉。
 十分な調整が行われたところで買いを仕掛けてきます。下に凸の急上昇でイナゴを集めながら右側のリップに達したところで利確や「やれやれ売り」をする弱気メンバーの振るい落とし(ハンドルの部分)が始まって、調整が十分にできて強気メンバーだけが残ったところで再度買いを仕掛けて大きな上昇を狙ってきます。

個人投資家の動き
 左側のリップまでの上昇で売り遅れた個人投資家は、大きな下落で含み損が生じてしまいカップの底で我慢できずに損切りする、または塩漬けにするケースが増えます😭(このとき大口は買い集めをしています)。長期間の株価低迷が続きますので再上昇時の下に凸の上昇でイナゴ🦗が集まってきますね。右側のリップでは左側のリップ水準が意識されてこの辺りで天井になるのではないかという思惑から「やれやれ売り」と急上昇後の利確がかなり多くなります。右側のリップでまた下落が始まったとき、弱気メンバーは再下落の恐怖でハンドルの底でも損切りしてしまうケースが多くなってきます。
 カップウィズハンドルのような長期のチャートパターンは、進行中にこのパターンが形成されていることに気付きにくく、振るい落としで脱落する個人投資家が多いのが特徴です。カップもハンドルも深い丸底で調整がしっかり行われると強気メンバーの濃度が上がって上昇圧力が高くなります。

チャートパターン戦略

 このチャートパターンで個人投資家はどんなタイミングを狙うことができるか考えていきましょう😉。
 大切なのは出来高の動きです。大口の動きは必ず出来高に現れてきますので、これまで学んだ出来高とチャート形状の関係からしっかり状況を把握したいところです。

(再掲)チャートパターン:カップウィズハンドル

 買いを狙いたいのはハンドルの底からの反発が始まったタイミング、もう少し慎重にいくならブレークアウトポイント到達時です😊。
 スローバックといって、急激な上昇に対して利確勢の売りによる下落が生じますが、図のようにリップを下回らなければ再上昇するケースがほとんどです(リップを下回ったら売りです)。
 決してやってはいけないことは、カップの底やリップを狙うことです🥹。カップの底になったとき、再び上昇するかどうかは誰にも分かりません。そのまま下落していってしまうのか上昇してカップ形状を形成するのか、個人レベルで予想することは困難ですので危険を冒す必要はありません。
 但し、この銘柄のファンダメンタルズが良いケース(バリュー銘柄)で、カップの底で大口の動きが読めた上に資金力がある場合、カップの底で買いを入れて大きなゲインを狙う戦略も採用できます(初心者はやめておきましょう)🤑。
 ブレークアウト以降の目標株価は、「リップからカップ底の値幅」だと言われていますが、これは諸説ありますのでご自身で設定された方がよいと思います。

参考:目標株価

検証

 実際の株価チャートで検証していきます。カップウィズハンドルは大きなものから小さなものまで、たくさん見つかるチャートパターンです。
 今回は、新生銀行の再上場や住信SBI銀行の買収といった思惑材料で株価が大きく上昇中のSBIホールディングス(8473)で確認していきます。

 まずチャートですが、綺麗なカップウィズハンドルが描かれていますね。上で説明した条件を満たしていることがお分かりいただけると思います。
 2024年12月の中旬にカップの右側のリップを形成して、約1ヶ月後にハンドルの底ができて大きな上昇となっています。Xではこの銘柄がハンドルを形成していることをお知らせしている方もいました。

 注目してほしいのはやはり出来高です。8月の急落騒動のところは事情が違うので目をつむるとして、上の解説とこのチャートを見較べて確認してみてください。

SBI HD(8473)

逆のパターン
(インバースカップウィズハンドル)

 ここまでは株価上昇時に出現するカップウィズハンドルを説明してきましたが、株価下落時にはインバースカップウィズハンドル(インバース:「逆」の意)というチャートパターンができるときがあります😱。
 このパターンはカップウィズハンドルの株価下落バージョンで、上昇時とまったく逆のパターンだと理解すれば問題ありません。大口投資家は買いの代わりに空売りを想定しているということですね😎。
 このパターンで、株価がひっくり返したカップの底にあるとき、個人投資家は売りも買いもせず保持してしまい、利確のタイミングを失ってじわじわと下落に巻き込まれるケースがよくあります。逆さまになったカップの底では緩やかに株価が下落していきますので、ここで逃げられるようにチャート形状と出来高をしっかり観察しましょう。

インバースカップウィズハンドル

まとめ

 チャートパターンの具体的な例の1つ目として、カップウィズハンドル(インバースカップウィズハンドル)を解説しました。

 あとで簡単に見返すことができるように、チャートパターン別のまとめ資料を別ページで公開する予定です。今回の分はサンプルを付けておきますので、まとめ方など、皆さんのご意見いただけたらうれしいです😊。

カップウィズハンドル

 次回はこれも株価上昇をつかむ基本中の基本、ダブルボトムを解説しようと思います!😉

 ではまた!😊


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