割安成長株の破壊力:新指標!
こんにちは😊
清原達郎さんの著書「わが投資術」に触発されて、割安小型成長株を探す方法を追い求めています😊。おじさんのトレードは情報分析がベースなので情報が入手しやすい大型株が中心だったのですが、ここ最近は中小型株の情報も入手しやすくなってきたので中小型銘柄の分析も楽しくなってきています。
前回の記事では、キヨタツさんのネットキャッシュフロー比率(NCR)の考え方と、TradingViewでNCRを簡単に調べるインジケータの紹介をしました😊。今回は、具体的に割安成長株を探す方法を考察してみます。
「割安成長」の定義
キヨタツさんの割安成長株の指標がPERとNCRであることは前回記事で紹介したとおりです。「PBRは役に立たない」というところが一般的な考え方とは異なるところで、「わが投資術」の読了直後からおじさんはあっという間に心変わりして全面的に賛同しています😅笑。
この考え方をベースにして、割安成長株を探す指標を考えてみます。
株価が「割安」というのは、現在の株価が
① 企業の資産価値に対して割安
② 企業の収益力に対して割安
という2つの観点がありますよね。
①の資産割安度については、一般的にPBRが指標として用いられますが、キヨタツさんの言うことを聞いて、PBRではなくNCRを採用してみます。
ネットキャッシュ:NC(円)
=流動資産-(棚卸資産✕0.3)+(投資有価証券✕0.7)-負債
ネットキャッシュ比率:NCR(%)
=ネットキャッシュ÷時価総額✕100
前回の記事にも書いたように、「有価証券を現金化する際は簿価の70%程度で売れるものと考えて資産価値は0.7を掛ける」という考え方と、さらに「流動資産は全部簿価で売れるわけではないので在庫は簿価の70%で評価する」という考え方もキヨタツ流にして、流動資産から棚卸資産の30%を引いて計算します。
つまり、「短期間で現金化できて借金を返済しても使える資産」の価値を現実的な数字にして、それが時価総額に対してどの程度あるかをネットキャッシュ比率:NCRとして評価します🤔。
次に②の収益割安度ですが、これは言わずと知れたPER(株価収益率)を使います。利益に対して株価の割安度を示していますね。
収益力については③経営効率(資本から効率的に利益を得る力)も大切です。資本に対して効率よく利益を得ているかを示す指標としてROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)がありますが、次のような違いがあります。
ROE :株主の拠出した資本(株主資本)に対する収益
ROIC:株主資本に有利子負債を加えた資本(投下資本)に対する収益
どちらも似たように見えますが、ROEは総資産を減らす、または負債を増やして株主資本を相対的に減らすことで、数値を上げることができてしまいます(意図的な操作が可能)。つまり、高ROE=高収益とは限らないのが問題点です。ROICはこのような操作ができないので経営効率を良く示すことができるのですが、逆に、不採算事業を切り離して事業を縮小する(資本規模を小さくする)と数値が良くなるので企業の成長力を示した数値とは限らない、という問題点を持っています。
悩むところではありますが、今回の「割安株を探す」という目的に合致した指標を考えるため、成長力を示す指標はPERに譲って、③についてはROICを用いて経営効率を評価することにしたいと思います😉。
評価方法
割安成長銘柄の破壊力を示す評価指標として、NCR・PER・ROICの3つが揃いました。この3つの指標は、
NCRとROIC:株購入時に大きい方が割安
PER :株購入時に小さい方が割安
ですね。
つまり、3つの指標をミックスして
『 新指標=(NCR✕ROIC)/PER 』
という新指標を作れば、新指標が大きければ大きいほど割安で破壊力があるということになります。この新指標を時間軸で見ることができれば、割安度の高いタイミングを狙うことができます。
ところが、この新指標には重大な欠点があります🥹。それは、ROICもNCRもマイナスになりえる指標なので、両者が同時にマイナスになると実際には収益も悪く負債が多い状態でも指標の数値が大きくなって「割安」という評価になってしまう点です。これはまずいです😭。
そこで登場するのがまたしてもキヨタツさん🤩。キヨタツさんはPERとNCRを統合して「キャッシュニュートラルPER:PER(CN)」という概念を導入しています。PER(CN)はNCRの割安度で補正されたPERのことで、これによってPERとNCRを統合して評価することができるようになります。算出式は、
キャッシュニュートラルPER(PER(CN))=PER✕(100-NCR)
です(NCRは%)。これによって、NCRが大きければPER(CN)が小さくなり(割安)、NCRが小さければPER(CN)が大きくなり(割高)、NCRがマイナスになってもPER(CN)は常にプラスの数値になります。(なお、NCRが100%よりも大きい時は割安すぎてPER(CN)は計算できませんので注意してください!)
このPER(CN)を用いて上の新指標を改良しまして、新・新指標(ややこしくてごめんなさい😣)は、
『新・新指標=割安破壊力指標(DPUP)=ROIC/PER(CN)』
とすることができます。新・新指標は割安破壊力指標:DPUP(Destruction Power of Undervalued Potential stock)という呼称にしています。これで、DPUPがマイナスになるのはROICがマイナスになったときに限定されるので、欠点が解消されますね🥰!
DPUPはどれくらいの数値になるの?
割安な銘柄の例を考えて、DPUPの数値がどれくらいの大きさになるか見てみましょう。
ROICはセクターによって差が出るものの「8%」が優良な数値として認知されています(2014年 経産省レポート)。割安なPERとしては「10倍」、標準的なNCRは「20%」を想定すると、DPUP=8/(10✕80%)=1.00 が目安となることが分かります🥸。
例えばDPUPが同じ1.00でも、ROICがもっと小さいケースは考えられますが、そのときは逆にPERが10倍よりももっと小さいことになるわけですから割安なことに違いはありませんよね。
日経平均構成銘柄のDPUPをセクター別に算出してみると次のようになりました。
日経平均構成銘柄のような大型株には割安株がほとんどありません。海運セクターが突出した数値になっている以外は、DPUP=1.00が割安株の目安になっていることは何となく納得いただけるのではないでしょうか。
まだまだ検証が必要だとは思いますが、ここまでの感触としては次のようなイメージです。キヨタツさんの教えのとおり、『500億円以下の中小型株』を対象にすることがよいと思います😊。
DPUPの大きさ
~1.00 :さほど割安ではない
~3.00 :数値が大きくなるほどかなりの破壊力
3.00以上:破壊力抜群
もちろん、DPUPの大きさを考えるときは、PERと同様に同業他社との比較検討は必須ですよ。
時価総額500億以下の銘柄をDPUPを使って絞り込む。これで中小型バリュー株(割安株)を狙えます😎。
検証してみよう
昨年度のブレイク銘柄のひとつ、野村マイクロサイエンス(コード:6254)で検証してみました。野村MSはJPX日経中小型株の構成銘柄で、半導体製造設備向けの純水製造装置で大きなシェアを持つグローバルニッチメーカです。いまや時価総額が2千億円を超えましたが、少し前までは時価総額約400億円の「中小型バリュー株」だったのです。これに気付いた人はみんな良い思いをしました(おじさんも!🤩)。
チャートを見てください。このチャートは週足ですのでかなり長期のチャートです。水色の線がNCR、橙色の線がDPUPです。
2021年まではDPUPは2.0以下で、割安水準ではあるものの株価の変動はあまり大きくありません。2022年に入って、DPUPが一旦3.0を超えて2022年の終わりに株価が1.5倍に上昇します(このチャートだと小さな変化に見えます)。株価が上がると割安感が減ってDPUPは減少しますので再びDPUPは3.0以下で推移しますが、キヨタツさんの言う「割安小型成長株の破壊力」が発揮されたのは「A」のポイントです。突如DPUPが跳ね上がっています(NCRも)。DPUPは9.0を超えて「破壊力抜群」になっていることが分かります。
この後、株価は約2倍に上昇しました(このチャートだとこれも小さく見えます)。株価が上昇したのに「A」以降はDPUPがずっと4.0を超えて高水準でした。次の割安破壊力ポイントは「B」ですが、この「A」から「B」の期間が見逃してはいけない購入チャンスだったと思います。「B」を過ぎた後は見てのとおり。株価は4倍の水準に達しました。「A」ポイントで購入していれば6倍超です。百万円が6百万円。破壊力ありますね!
このようにDPUPは長期で変化する指標なので、定期的な観測でしっかり割安株を見つけるために使用するのがよいと思います😉。
でも調べるのが面倒ですよね?
そうですね。DPUPを計算するのは手間がかかりますよね!🥹
今回もそんな皆さんのために割安破壊力指標(DPUP)を表示させるTradingViewのインジケータを作りました! 😘
このインジケータを使えば、銘柄を選ぶとチャート上にDPUPの推移が表示されます。上の野村MSの例では、前回紹介したNCRインジケータとDPUPを表示させていますが、今回のインジケータには同時にROICとPERのグラフも表示されるようにしてあります(スケールが一つなので邪魔なときは設定で非表示にしてください)。いろいろな指標と組み合わせて、成長力の推移と同時に評価してください。
なお、NCRと同様で、金融セクター(銀行、保険、など)と不動産セクターは、DPUPが表示されません。ご注意ください。
それから、NCRが100%よりも大きい時は割安すぎて計算できなくなるのでNCRを99.99%としています。また、ROICがマイナスのときはROICを0として、DPUPがマイナス表示になることを避けています。(DPUPが小さい場合の評価はされないと思いますので、実用上の問題は無いと思います。)
いつもXやnoteを読んでくださっているフォロワーの皆さんには、今回もこのインジケータのコードを期間限定で無料配布します。
改良したい😊
今回のインジケータはまだ改良が必要だと思っています。例えば、時価総額によって割安度の感じ方は異なるので、時価総額で重みづけを変えたり、セクターによるROICの違いを反映することが必要ではないかなと思っています。読者の皆さんの意見を反映して改良していきたいと思いますので、ぜひご意見を聞かせてください。
時価総額500億円以下の東証全銘柄から、ROICが8%以上の優良銘柄をスクリーニングして、全銘柄のDPUPを示したリストを作成しています。でき次第、読者の皆さんにお知らせしますね。
お願い🥹
インジケータ使用にあたってのお願いです。
使用は自己責任でお願いします。おじさんは関連する損失や不具合の責任を負いかねます。これまでのnote記事(基礎編、実践編、TV使用方法)を読んでいただいていることが使用の前提です。
設定値や色表示はお好みで変えてください。
コード変更は自由ですが、無断流用や有償化はやめてください。
ではまた!😊
コードの配布(動作検証済)
今回の配布も期間限定にしますのでご理解いただければ幸いです😊。
改良にご協力いただいた方、交流のある方には期限が過ぎてもご提供しますので遠慮なく連絡下さい!
ダウンロード可能期間:2024.4.28のみ(終了しました!)
[コードの再配布]
このページのコード無料配布期間は終了しました。
配布ページ:現在配付していません