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チャートパターンのお勉強(1):基礎編

 こんにちは😊

 Xでポストしたチャートパターンに関する記事に反響をいただいたので、チャートパターンについて書いてみようと思います。新シリーズです😊!

 おじさんはもともとファンダメンタルズ重視の投資法なのですが、ほとんどの方がそうされているように売買のタイミングはチャートとRSIやRCIといった指標を使って判断しています。既に記事にも書いたとおり、このテクニカルな分野の知識が弱いなと感じたのは昨年のことで、フジコ投資法を作っていく中でテクニカル分野の知識をもう一度整理しました。
 テクニカル手法の中のチャートパターンというのはよく知られているようで実は本質が理解されていないものではないかなと感じていて、皆さんのお役に立てたらいいなと思っています。

[注意]
 記事はおじさんの手法の紹介ですので、他の手法を否定するものではありません。

 チャートパターンというのはその名のとおり、株価(その他の金融商品では商品価格)のチャートが描くパターンのことです。少しでも勉強したことある人は知っていますよね😊。

チャートパターン

 有名なところでは、三角保合い(三角持合い)や三尊天井のようなものがありますが、パターンをすべて覚えるのは難しいですし判断基準も曖昧です。おじさんはチャートパターンによるテクニカル分析をほとんどやらないのですが、その理由は「パターンだけを覚えても役立たないから」です🥸。

 チャートパターンで一番大切なのは「なぜそのように動くのか」ということなのですが、意外にこの点が置き去りにされたまま、「パターンを覚えているだけ」の人が多いのではないでしょうか🤔。

 チャートというのは、ある銘柄の売り手と買い手が売買をしているときに何が起きているかを見える化したものです。つまり、売り手と買い手が何を考えているのか、どんな判断をしているのか、チャートパターンから見えてくるはずです🤩
 
もう一つ重要なのは、「チャートパターンは原因ではなく結果である」ということです。

 おじさんの記事ではこの点に主眼を置いて、『パターンを丸暗記するのではなく本質的な仕組みを理解する』ことを目的にして解説していこうと思います。チャートパターンの数は多いので、何回かに分けて解説しようと思います😉。

 先にお伝えしておくと、「チャートパターンで市場を予測することはできません」しかしながら「チャートパターンでタイミングを計ることはできます」。ここを混同しないようにしてください🥹
 「株価を予測するのではなく、自分がどう動くべきか」を考えるのがチャートパターンの分析です
😉

 今回は第一回ということで、チャートパターンの基礎を説明していきます。


基本はジグザグ

 株価チャートは上に行ったり下に行ったり、ジグザグに動きます。チャートパターンというのはこのジグザグの特徴的な動きを分類して整理したものです。意外に分かっているようで分からないことなのですが、どうしてジグザグになるか理由が分かる人、どれくらいいるでしょうか。
 「需給バランス」と答えた人は70点くらいです。値段の上下ですから需要と供給から価格が決まる資本主義の基本ですね。でも、需給バランスだけで価格が変動しているのに、急上昇していた株価が翌日に急落するような動きは説明が付きません。今日100円で売っていたバナナが翌日に200円になってさらに翌々日に100円になるのは考えにくいです。企業の価値はそんなに急に変わらないですし、東証だけで4千社近くある上場銘柄の価値が毎日変動すること自体が不自然ですよね。
 ではなぜこれほど価格が変動するのでしょうか。それを理解するには市場の参加者を考える必要があります🤔。

市場の参加者

 実はここが最重要の内容です。
 株市場の参加者と株価の上下は、一般的には下の図のように理解されています。

理論上の市場

 突然ですが、仮に皆さんが100億円の資金を持っていて時価総額50億円・平均出来高1億円/日の銘柄の売買をするとします。この銘柄で儲けるにはどうしたらいいでしょうか。
 決算発表をきっかけに皆さんが10億円分の買い注文を出せば、通常の10倍の買い注文でこの銘柄の株は暴騰します。売れば売っただけ買ってくれる人がいるわけですから、値段は上がりますよね。そうなると便乗する大口投資家や個人投資家の中からいわゆるイナゴが群がってきます。株価はどんどん上がります。その間に皆さんは価格の上がった株を売り抜ければよいのです。そうすると間もなく買い手を失った株価は下がり始めます。そこに皆さんが大口の空売りを仕掛けたらどうなるでしょう。大口の売り注文が入れば株価は下がって、イナゴは我先に株を売るので株価は急落します。下がり切ったところで皆さんは空売りを決済します。
 結果として皆さんは大儲け。これが大口投資家の仕掛ける売買の仕組みです。実際にはこんな簡単にはいかないのですが、時価総額と出来高が小さい銘柄であれば仕掛けやすいですね。このように意図的に株価が上げたり下げたりされている銘柄は仕手株と呼ばれます。

 最近の東証の取引金額は1日当たり5兆円くらいです。日本の投資人口は3千万人を超えたと言われていますが、ほとんどが米国を中心とした投資信託への投資で、直接的に個別株投資をしている人は半分の1500万人と言われています。仮にこの全員が毎日33万円の東証株を売ってさらに買うと5兆円になるわけですが(株取引は売る人と買う人の両方がいないと成り立ちません)、この額の売買は毎日やりませんしそんなわけないですよね。海外の個人で日本株を買っている人もこんなにはいません。
 では誰が売買しているのでしょうか。実際の株市場は、上の図とは違う構図をしています。そうです。投資の主体は個人ではなくて、大口投資家(いわゆる機関投資家:金融/証券会社、大手ファンド、大口個人投資家、企業、政府 など)なのです。実際の売買高の70%以上を大口投資家が動かしています😱。

実際の市場

 株価は大口投資家が動かしています。大口投資家は金融商品の取引でビジネスをしていますから、行き当たりばったりの博打ではなく、明確に「この銘柄の株価を上げたい/下げたい」という意思を持って取引をしています
 単純な需給だけではなく「株価を動かす意思」が加わっているところがポイントです。

仕手株のしくみ

 「これは株価操作ではないのか」と思った人、株価操作は法令で禁止されています。でも、例えば決算発表に合わせていたら、理由があって売買しているのか操作しているのかは見分けが付きません。上で説明したような取引はグレーゾーンなのです。だから大口投資家は決算情報や関連ニュースのような「きっかけ」を待っていて、それを理由に売買を仕掛けるのです。何もないときに仕掛ければ相場操縦になりますが、理由さえあれば正当な売買と主張できますから😣。
 好決算や好IRでも株価が下がると「織込み済みだった」とか言われますが、あれは後付けの説明です。その銘柄できっかけ待ちをしている大口投資家の意思が「売りたい」であれば、株価は下がります。
 ウソみたいに聞こえる人もいるかもしれませんが、これが金融市場です。冷静に取引額を分析してみてください。億り人が束になってかかっても全く足りない規模の取引が毎日行われていることが分かるはずです。

 もちろん、時価総額が大きくて出来高もそこそこあるという銘柄ではこんな簡単にはいきません。大口も1社ではありませんから利害がぶつかることもあります。ですので、通常の銘柄では大口はあの手この手で仕掛けてきます。

 ここまでよろしいですか。
 市場の主役は個人投資家ではなく大口投資家(機関投資家)で、大口投資家の意思が株価の上下の要因であるという事実がこのあとのチャートパターンの学習ではとても大切です。

※ 都市伝説のように聞こえた皆さん、著名な投資家の書いた本で勉強してみてください。必ず機関投資家が需給に及ぼす影響が解説してあります。例えば、有名なオニールのCAN-SLIM投資法の「I」は機関投資家のことです。

悲しい現実

 これを知ってしまうと、個人の短期株価予想なんていうものは全く当てにならないことが分かります。いわゆる短期のトレードやテクニカル分析は、市場における大口投資家の動きを分析していることに他なりません。これを知らずに個人レベルで行う短期予想(例えば決算予想)は大口投資家にとっては狙いやすいカモでしかないのです😭。
 一方、長期では企業の成長率と業績が企業価値(時価総額=株価)に反映されていきますから、長期の値動きは個人レベルで予想できますファンダ分析や長期保有/高配当株の強さはここにあります。おじさんがたまに記事にするキヨタツさんを参考にした「破壊力のある割安株」はこれを意図したリストです。

インデックス投資

 もう一つ重要なことを覚えておいてください。大ブームのインデックス投資です。S&P500やオールカントリーのようなインデックス投信が人気です。このようなインデックス銘柄を買うと皆さんの支払ったお金はどうなるでしょうか。

 TOPIXやS&P500のような加重平均型のインデックスは株価を時価総額の比率で補正して算出されていますので、例えばS&P500を100万円分購入すると、下の図(時価総額の大きさで示したヒートマップ)のように上位約30社に約半分のお金が流れて、残り470社にもう半分のお金が流れることがわかります。つまり、広い銘柄に分散しているつもりでS&P500インデックス投信を買っても時価総額上位の銘柄にどんどんお金が流れているだけで500社に均等に分散されているわけではないのです。(日経平均は算出方法が異なりますがウエイトが掛かっているので結果は同様です。)

S&P500(時価総額順)
日本の上場銘柄(時価総額順)

 これによって何が生じるでしょうか。
 インデックス投信によって大型株にマネーが集中するということは時価総額の大きい銘柄はますます株価が上昇して、時価総額の小さい銘柄やインデックスに選定されていない銘柄には投信マネーが流れてこないという構図になりますね。投信マネーは大規模ですので、インデックスに採用されている銘柄の株価や出来高は影響を受けるのです。

大口投資家の動き

 皆さんご存知、ミネさんことミネルヴィニ師匠は大口投資家の動きまで見込んだテクニカル分析をしています。出来高変化率分析やレラティブストレングス(RS)が指標です。

 冒頭にも書きましたが、「チャートパターンで市場を予測することはできません」が「チャートパターンでタイミングを計ることはできます」。
 「大口投資家の動きが読めない」と悲観するのではなくて、こういうテクニカル手法で機関投資家の動きを読んでやろうじゃないかっていうのがミネさん流で、おじさんの考えたフジコ投資法はミネさん流がベースです😉。

 高速コンピュータによるアルゴリズム取引全盛のいまでは、単純にチャートだけを見て分析するテクニカル手法で市場に臨むのは無理があります。最新の株取引プログラムは株価や出来高以外にも為替、金利、他の金融商品価格や、気温までもビッグデータとして解析していると言われていますので、例えばハーモニックパターンのような比較的新しい手法であっても通用するのはデイトレのような超短期だけだと言われています。

 つまりテクニカルなチャートパターン分析は株価の動きを予測するのではなく、「大口投資家の動きを読んで売買のタイミングを計る」ことだけを目的として割り切った方がよいというのがおじさんの考えです。テクニカルな分析はファンダ分析を補完するツールとして利用するということです😊。(当然、異論はあると思いますが、何が正しいかは答えがないので議論するつもりはありません)

 フジコ投資法でも解説したとおり、ミネさん流では株価の動きを出来高とセットで次のように考えます。

ステージ

 第2ステージが大口投資家が仕掛けているタイミングです。第2ステージでは大口投資家が株を買い集めて株価を上昇させており、第3ステージで売り抜け、第4ステージでは空売りを仕掛けています。この「ステージ」を見分けることが基本ですが、大口投資家が参戦してくると買いでも売りでも自然と出来高が増えますので、出来高の変化に注目しておくことが重要なのです(次回説明します)。
 この動きは主に数ヶ月単位で見ることができますので、長期のチャートで分析するのが良いですね。

まとめ

 まだチャートパターンの説明まで達していませんが、チャートパターンを分析するのに大切な前提条件について説明しました。
 大口投資家について理解していないと、株価チャートの動きが正しく理解できません。
 次回も基礎編が続きますが、実際のチャートの解釈と、パターンを読む上でのテクニカルなスキルについて説明します。

 ではまた!😊


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