見出し画像

おじさん投資術実践編:利確ラインと損切りラインを考えてみよう

 こんにちは😊

 皆さん、2024年の投資成績はいかがでしたか?
 おじさんは2024年も何とか目標を達成しました。おじさんの毎年の目標は「過去の平均利回りを上回るパフォーマンスを上げること」です🥸

 昨年、おじさんは損切りの大切さなかなか利益が増えない初心者の皆さんに向けた記事を書きました。
 新年を迎えて「今年こそは!」と意気込んでいる皆さんに向けて、もっと具体的な作戦を立てるお手伝いをしたいと思います😊


利確ラインと損切りラインの設定

 皆さんは利確ラインと損切りラインをどのように設定していますか?
 「利確はなんとなく10%」「本に書いてあったから損切りは-10%」のように何らかの数値を設定している人もいると思いますが、「特に決めていない」という人、多いですよね🥹。
 初心者の皆さんの中には、むやみやたらに取引を繰り返して小さな利益確定と大きな損切りによってなかなか資産を増やすことができない人がたくさんいます。投資初心者が安定して利益を上げることができない理由のひとつは「率を計算していない」ことなんです😣。

 この年末年始に「数年で2千万貯めて、そのあとは倍・倍・倍で億り人」なんていう所信表明をXで見かけましたが・・・無理です!
 年間利回りを100%にすることの難しさを算数で理解しないと、この方は資金と時間を無駄に遊ばせることになります。資金がないのに高配当銘柄で短期の収益を狙うのも同じです(戦略に基づく高配当株投資は良い選択肢ですよ)。計算すればわかることなのですけど・・・😭。

 新年早々、また算数の話か・・・と思われた皆さん、残念ながら算数ができないと投資では負けます。逆に、算数が出来れば大きなアドバンテージになるので頑張って読んで下さい😉!

 投資で資産を増やす効果は、様々な率の掛け算で決まります。
 「銘柄を選ぶ成功率」✕「取引の勝率」✕「利益率」✕「取引回数」✕「投入資金」・・・のように、掛け算の中に出てくる一つ一つの要素の率(パーセンテージ)を上げることが大切です。足し算ではないんです。何かを1%改善すれば全体も1%改善します😉

 これだけ聞いても何が言いたいのかよく分かりませんね🤔。まずは「率が大切」ということだけ頭に入れてください。利確ラインと損切りラインをまじめに考えないといけないというお話をしていきます。

リスクリワード(Risk-Reward Ratio)

 投資ではリスクリワード(リスクリワードレシオ:RRR)を考えながら売買をすることはとても大切です。
 リスクリワード(リスクリワードレシオ)とは、リスク(損失の可能性)とリワード(利益の可能性)のバランスを数値で表したもので、想定する利確ラインと損切りラインのバランスを示しています。この指標を理解しましょう😊。

リスクリワードは次の式で計算されます。

※分母と分子を逆にしているケースもありますのでご注意を

 もっと具体的に見ていきましょう。例えば、ある銘柄で以下のように想定した場合:

  • 購入価格:1,000円

  • 損切りライン(リスク):900円(損失幅100円)

  • 利確ライン(リワード):1,200円(利益幅200円)

 この場合のリスクリワードは次のようになります。

 リスクリワード=利益幅/損失幅 = 200円/100円=2.0

 これは、1円の利益を得るために1/2.0=0.5円のリスクを取っていることを意味していて「200円の利益を狙うけれど100円の損失までは覚悟している」と表現すると分かりやすいですね😉。

 初心者の方はなかなか損切りができず、想定する利確ラインと損切りラインを明確にしていないのでリスクリワードが小さくなりがちです。プラスのときの利確額が小さいのに、マイナスのときは損切りできずに含み損が膨らんでしまうような投資傾向があると、リスクリワードは小さくなっていきます😭。

 まだ何が言いたいのか分かりませんね。まずはリスクリワードを理解してください。大切なことなのでガマンして読み進めてください🥸。

リスクリワードと勝率

 リスクリワードの大きさだけでは投資の効率は決まりません。ここで「勝率」という概念が登場します😎
 勝率というのは、同じ取引を繰り返した際に利益がプラスになる割合のことをいいます。例えば、同じ条件で100回の売買を繰返して(分散して100銘柄を買うことをイメージしてください)、60回プラスで40回マイナスになれば勝率は60%ですね。

 この「勝率」を「リスクリワード」と組み合わせてみると皆さんの投資の修正点が見えてきます。ご自身の取引を振り返って、リスクリワードと勝率がどれくらいになるか調べて下さい。「そんな記録は無い」という方は今からでも記録を付けていってください。データは大切です。

 リスクリワードを高く設定していると、勝率が低くても長期的にはプラスになります。逆に、リスクリワードが低く設定してあると高い勝率を出さなければ長期的にはプラスになりません。感覚的に分かりますよね。一回の勝ちで得る利益が大きくて負けの損失が小さければ勝率は低くても資産は増える、逆に一回の勝ちで得る利益が小さくて負けの損失が大きめなら勝率を上げないと資産は増えないということです🤔。

 あるリスクリワードを設定したときに収益のプラスとマイナスの分岐点になる勝率のことを「損益分岐点(BEP:Break-Even Point)」と呼びます。

 算数の式では、次のようになります。

 もっと具体的にどういうことなのか見ていきましょう😊。

 利確ラインと損切りラインを同じ金額幅(例えば10%で利確、-10%で損切り)にするとリスクリワードが「1.0」になりますので、この場合のBEPは50%になって「勝率50%以上の取引を繰返せば結果はプラス」になります。逆に、勝率50%ではいつまで経っても利益が増えないことを意味しています。
 利確ラインを大きく・損切りラインを小さく設定して、リスクリワードを2.0としたとき、BEPは33.3%になりますので、「勝率が33%以上の取引を繰返せば結果はプラス」になります。でも、そんなに都合よく利益は出せないですよね。
 逆に、利確は早いのに損切りがなかなかできなくてリスクリワードが0.5になってしまっているような場合(初心者にありがちです)、BEPは66.7%になりますので勝率67%以上の取引を繰り返さないと結果はプラスになりません。

 リスクリワードが小さいということは1回の取引で得られる利益が小さいので勝率を高くしないといけません。勝率が小さいということは1回の利益幅を大きく(リスクリワードを大きく)しないと利益が出ません。
 つまり「リスクリワード」と「勝率」のバランスがおかしいと利益は増えないのです😱

リスクリワードとBEPの関係

 お分かりいただけたでしょうか。

 リスクリワードが低くなってしまうと(損切り許容度を大きく取る)と勝率を高くしていかないと長期的に収益はプラスになりませんでもリスクリワードを高くしすぎると利益の実現性が低くなるので勝率の達成が難しいですね。🥹

[注意]
 元金を転がしていく投資法では複利計算になりますので、このリスクリワード計算は成り立ちません。例えばリスクリワード1.0で勝率50%でも、100回取引をすると1.1^50✕0.9^50=60%となって、この設定では資産がどんどん減っていきます!ここでの説明は複利ではありませんので複利計算はしません。この説明は別の記事にありますので読んでみてください。

自身のリスクリワードと勝率を分析してみる

 初心者が陥りやすい失敗はここです😣。

リスクリワードを全く考えていなかったり、考えていてもリスクリワードが小さくて勝率も低ければいつまで経っても資産は増えません。それから、勝率が高くてもリスクリワードが低いと資産は増えません😭
 初心者のうちは勝率を上げていくのは難しいですよね。となれば、リスクリワードを上げるしかありません。でも、選んだ銘柄の株価が上がっていく自信がないから利確ラインは低めに設定せざるを得ない・・・。
 となればやることは一つ。損失幅を小さくした損切りラインを設定することです。これが経験者が口酸っぱく言う「損切が大切」というやつの正体です。

 リスクリワードは「3」を目指すのがよいと言われていますが、初心者の方はまずは「2」を目指してみることをおすすめします。
 数値でいうと、利確ラインを10%に設定しているなら、損切りラインは5%です。これなら勝率は33%(3回の取引で1回勝つ)でも収支はマイナスになりません。
 ここから利益を増やしていくには、最初に書いた通り「銘柄選定の成功率を上げる」「取引の勝率を上げる」「取引回数を増やす」をしていけば自ずと利益が出るようになってきます🤩
 軽視されがちなのですが、取引回数は重要です。
勝率60%でも、6勝4敗と60勝40敗では積み重ねる利益に差が出てきます。

リスクリワードを考えよう

 これまで利確ラインや損切りラインを設定してこなかった人、ぼんやりとした設定しかしてこなかった人、たくさんいると思います。おじさんの職場の初心者も、最初から利確・損切りラインを気にしている人はまずいません。
 やるべきことは利確・損切りラインを設定して、自分ルールを守ること。
 このルールを設定したうえで、買った銘柄の株価が上昇していく場合は、例えば10%を利確ラインに設定しておいて、株価がこれを超えるようなら10%の株価に逆指値をしながらさらに上を目指すようなことはやってもいいと思います。株価が下落する場合には損切りラインを超えたときにナンピンのような方法もありますが、これは長期戦略がしっかりしていないと損失が拡大してしまう方法ですので、初心者のうちはスパッと損切りしましょう😎。

 自身のリスクリワードと勝率が把握できるようになると計画や意思決定が定量的かつ効果的になって、投資の幅が広がります。

 自分の目標と、実力(勝率)に合わせたリスクリワードを設定できれば、勝率が低くても利益を得られる可能性が上がります。損切りや利益確定の水準を実力に合わせて適切に設定することが大切です。これが分かってくると、

  • 勝率重視のスタイル ➡ リスクリワードが低めでも可

  • リスクリワード重視のスタイル ➡ 勝率が低くても可

のように、取引のスタイルを変化させることもできてきます。

 注意してほしいのはリスクリワードが常に一定である必要は無いことです。金融商品の種類、短期取引と長期取引、投入資金の大きさ などからリスクリワードは変えるのが通常です。デイトレと長期投資のリスクリワードが同じではおかしいですよね。デイトレのような回数を重ねる取引ではリスクリワード重視、長期のように勝率が高い取引では勝率重視、のように柔軟な設定ができるようになりましょう。

 おじさんは以前の記事で長期的な目標設定の重要性と設定の仕方をお伝えしました(計算ツールも配付しています!)。

 ご自身の目標に対して、現在の実力を冷静に考えてリスクリワードを設定してみてください😊。


 参考までに、おじさんの「短期」売買では利確5%・損切り8%くらいが基本で、リスクリワードは0.625です。このリスクリワードでは勝率61.5%を達成すれば収支がプラスマイナスゼロになります。おじさんが短期売買するときはモメンタムを見て確実に5%が取れそうなタイミングで買いますので勝率は70%くらいで、回数を多くすることでトータル利益が増やせています。(※ 複利だと1.05^61.5✕0.92^38.5=81%となってこの設定では大幅なマイナスです。ここでは元手を転がしているわけではないので複利計算にはなりません。)

 例えば毎週5銘柄の売買をすると1年で240回の売買回数になって、勝率70%ですので1年では168勝72敗です。1取引が200万円だとすると、利益は168回✕200万円✕5%=1680万円で、損失は72回✕200万円✕8%=1152万円となって、税引前でトータル528万円のプラスということになります(負けが多いと思った方、これでもかなり良い方なんですよ)。元手が1000万円だとすればすごい利益率ですが、実際には回数がもっと少ないのでこんなに良い成績にはなりません😭笑

 取引額・利益幅・勝率・回数が増えればトータル収益は増えますね。こうやって計算してみると、リスクリワードと勝率と回数の関係がよく分かるので目標設定がしやすくなることがお分かりいただけると思います。
 この例は短期取引の場合で、おじさんがメインにしている取引回数の少ない中長期のリスクリワードは2以上で、かなり高めにセットしています。


まとめ

 リスクリワードレシオは、リスクとリターンを客観的に評価するための指標です。株投資では適切なリスクリワードを設定して資金管理と組み合わせることで、より安定した成果を目指すことができます。
 投資におけるリスクマネジメントは、取引期間・ロット・手法・ボラティリティ・地合いといったリスクを考慮してリスクリワードの設定を行うのが理想です。
 初心者の皆さんには難しく感じるでしょうから、まずは上に書かれている事項を理解して、ご自身の利確ライン・損切りラインがどうあるべきかを考えてもらえたらいいなと思います😉。

 2025年も株式投資を楽しみましょう!

 ではまた!😊

おまけ

計算シートを作りました😉
(ウィルスチェック済ですが、ダウンロード後に念のためウィルスチェックをしてください)

こんな画面になりますので、下の手順で操作してください。

  1. ご自身の想定する利確ライン・損切りラインを%で入れてみてください。

  2. リスクリワードと収支ゼロとするのに必要な勝率が出てきます。

  3. 目標勝率を入れてみてください。

  4. 投入資金を入れてみてください。

  5. 1年間の取引回数を入れてみてください。

  6. (税率はデフォルトです。税引前利益が見たいときは0を入力)

 どうでしょうか?
 長期目標から算出した1年間の目標に達していますか?

※ たくさんのダウンロードありがとうございました。無償配付は終了しています。(2025.2.1)

画像ですのでDLできません!



 いつもおじさんのnoteを読んで勉強をしてくれている方のみを対象に、PW付ファイルで配付をしています。

DLリンクはこちら ➡ リンク


いいなと思ったら応援しよう!