見出し画像

【今年上場】フィットネスジム企業「フィットイージー」の競合に勝つための戦略とは?

こんにちは!今回は今年上場したばかりのフィットネスクラブ企業「フィットイージー」について調べてきました。

この企業は今年の7月末に上場したばかりなのですが、上場時の株価1213円から大きく上昇し、2024年11月1日には1510円とかなり注目を浴びているようです。

フィットイージーはフィットネスジムを直営およびFCで展開する企業なのですが、同社のジムはよくあるフィットネスジムとは一味違ったものとなっており、後述する戦略もあってか会員数、店舗数ともに急速に伸びています。

この記事では、私がフィットイージーの有報、決算等から同社のビジネスが他社とどう違い、どういう風に優位性を持たせようとしているのかを考察していきます。

フィットイージーの業態

フィットイージーは自社の展開するジムを「アミューズメントフィットネスクラブ」であるとしています。
トレーニングマシンやスタジオのみを設ける一般的なフィットネスジムと違い、店舗ごとに多様なサービスを導入しているのが大きな特徴です。
具体例として、同社ホームページには次のようなものが挙げられています。

  • サウナ

  • 酸素ルーム

  • シミュレーションゴルフ

  • エステ

  • ボルダリング

すべての店舗にこれらが存在するわけではなく、店舗ごとにサービスはことなるようですが、例えばゴルフが趣味の方であれば、ジムで体を鍛えて更に同じ場所でゴルフも練習できるというのは魅力的に思えるでしょう。

また、フィットイージーのジムは入場時の認証を顔認証で行うことができ、会員であればすべての店舗が利用可能なため、手ぶらで全国の店舗を利用することができます。自分の最寄りの店舗に目当てのサービスがなくとも、そのサービスがある場所を探せばそこで利用できるわけです。

フィットイージーの経営戦略

フィットイージーの業態は24時間利用可能なフィットネスジムに含まれます。つまり競合にはRIZAPグループのちょこザップやFast Fitness Japanのエニタイムフィットネスになってきます。
この二つは既に日本国内で1000をゆうに超える店舗を出しています。対するフィットイージーの店舗は2024年10月時点で179しかありません。
フィットイージーはこの大規模競合にどうやって太刀打ちしようとしているのでしょうか?

それはずばり「ドミナント戦略」です。

ドミナント戦略とは、あるエリアに集中して店舗展開することで経営効率を高め、さらにシェア拡大により競合他社より優位に立つ戦略のことです。

フィットイージーは毎月、店舗数と会員数を自社のIRページにて発表しています。最新の10月のものを見てみると、店舗数、会員数の他に「エリア別店舗数の状況」も掲載されています。
これを見てみると、全店舗数179のうち、東海エリアの店舗数は108もあります。対して最も人口の多い関東エリアには20店舗しかありません。
フィットイージーは競合ひしめく関東で争うよりも、東海地域に集中し、このエリアでのシェアを握ることに注力しているのです。

事実、ちょこザップとエニタイムのエリア別店舗数を見てみると、東海エリアの店舗数は東京に比べかなり少ないと言えます。

ちょこザップ/エニタイム店舗数

全体:1151/1133
愛知:83/58
岐阜:7/13
三重:7/7
静岡:19/11
計:116(10.0%) / 89(7.8%)
参考:フィットネスジムの出店エリアを比較

このように、東海エリアだけで比べた場合、フィットイージーの店舗数108はこれらとかなり伯仲しています。
さらに、フィットイージーは179店舗中108店舗をこのエリアに出店しているため、当然経営リソースもこのエリアに多く注がれることになります。
これによりエリアに特化したマーケティングや適切な価格設定が可能になり、経営の効率を上げることができるわけです。

また、これは私の勝手な推測ですが、フィットイージーが関東にあまり進出しない理由として、地価の問題もあるのかなと考えています。
フィットイージーのジムはトレーニング器具以外にも独自サービスを設置するために追加のスペースが必要になってきます。
当然ですが東京をはじめとした首都圏の地価は他より高く、これらのスペースを確保するのが難しい、逆に言えばそれ以外の地価がある程度安いエリアであれば、会員数が確保できれば独自サービスのスペースを入れても採算が取れるということになります。

このような戦略をとることにより、現在フィットイージーは東海エリアで急速にシェアを伸ばすことができているわけですね。

直近の業績

最後に、フィットイージーの直近の業績を紹介します。
現時点での最新の決算は2024年10月期の第3四半期のものとなっています。

今四半期の売上は47.3億、営業利益は11.9%で利益率は約25%、経常利益率11.6億、純利益は7.6億円でいずれもYoY+55%ほどとかなり大きく伸びています。
また、B/Sに関しても上場したことにより現金が増えて自己資本比率48.5%と問題ありません。
店舗数は前期末から今期末にかけて139→179、同会員数は10.0→14.0万人まで増加する見込み。
また、フィットイージーはこの業績を受けて通期業績予想をこのように上方修正しました。

当決算資料より


これで当記事は以上になります。24hフィットネスジムを2社が席巻する中東海エリアで急成長中のフィットイージー、少しでも面白いなと思っていただけたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。これからもこういった面白いビジネスを行う企業について記事を更新していきますので、フォロー、そして記事へのスキをよろしくお願いいたします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?