DeNAがヘルスケア事業に見出す活路とは?
私、名前にも入っている通り、毎日少しずつ四季報の写経をやっているんですが、先日DeNAのページを読みました。
個人的にDeNAのイメージと言えば「モバゲー」か「ベイスターズ」だったんですが、モバゲーの方は最近名前さえも聞かないので、苦しい感じなんだろうなーという浅いイメージだったんです。
しかし、実際に読んでみると業績記事にヘルスケア事業についての言及があり、「DeNAってヘルスケアにも進出してたんだ」という驚きを覚えました。
四季報によると、DeNAのヘルスケア事業が全体に占める売り上げの割合は7%、セグメント単位でみると赤字となっています。
また、過去の決算を見てみると、2018年の決算まではヘルスケアは新規事業というくくりの中に入っていましたが、2019年からはそれ単体でセグメントとして言及されるようになりました。
業績記事においても育成中であると書かれているので、DeNAはヘルスケアをこれから更に成長するための伸びしろととらえていそうだなと思い、リサーチを行いましたので、その内容や個人的な考察を以下に共有したいと思います。
ヘルスケア事業
まず、DeNAのヘルスケア事業には2つの領域があり、一つはヘルスケア領域、もう一つはメディカル領域となっています。
現在どちらの方が主となっているのか、実際の数字としては分かりませんが、最新の決算短信のセグメント情報によると、主要サービスは「ヘルスビッグデータ関連サービスの提供、「Join(ジョイン)」を はじめとする医療DX関連サービス等」であると書かれています。
今回は具体的なサービス名が出ているメディカル領域の医療DXサービスについて特に調べてみました。
Joinとは?
「Join(ジョイン)」というのは、2022年にDeNAの子会社となったAllm(アルム)が提供するサービスです。
Allmは主に遠隔医療へのソリューションを提供する企業で、コロナ禍で入国者の隔離が行われていた時期、その行動の追跡に使われていたMySOSというアプリも同社のプロダクトとなっています。
しかし、遠隔医療とはいうものの、同社のプロダクトは医師・患者間をつなぐというよりは物理的に距離のある医師同士の連携へのソリューションを提供するものが中心となっています。
医師同士の連携とはいってもその内容は多岐にわたりますが、例えばMRI・CT等の画像や患者の情報を共有したり、医師同士のコミュニケーションを円滑に行ったり、離れたところにいても専門医の支援を受けやすくなるようにするためのものがあります。
現在DeNAはこのJoinを中心とした遠隔医療ソリューションを医療機関に提供することをメディカル領域の主柱においており、実際導入している医療機関も年々増え続けています。
なぜヘルスケアに進出?
にしても、もともとゲーム事業が主であったDeNAはなぜヘルスケア事業に興味を持ったのでしょうか?
確かにIT企業であるという点で、DXには活かせるノウハウはあるかもしれませんが、対象がヘルスケア領域である蓋然性は低いように見えます。
以下に私の個人的な考察を挙げてみます。
自社で培ったAI技術
DeNAライフサイエンス社の代表取締役である大井潤氏は、こちらの記事にて、DeNAが培ってきたAI、特に深層学習の技術が創薬において非常に有用であることについて言及しています。
AIを活用することにより、創薬において一番時間とコストのかかる化合物の最適化のプロセスにかかる期間を数年単位で縮めることができるそうです。期間が縮まればそれだけかかるコストも減るため、これからAIが創薬において担う役割はますます大きくなっていくと思われます。
医療費の増加
日本は非常に少子高齢化が進んでおり、それに伴って医療費もかなり増加していくことが見込まれています。これから10年間で医療費は約10兆円ほども増加するとも言われており、マーケット的には非常に明るいと言えるでしょう。
少子高齢化・医師不足
先ほども言及した通り、日本は少子高齢化で高齢者の人数がかなり増えていますが、それとは裏腹に医師不足が問題とされてきています。医師が都会に集中することにより、特に田舎の地域には十分な医療が行きわたらないこともあります。
このことから、遠隔医療の必要性が上がってきていることは容易に推測ができます。例えば、より少ない人数で医療を提供しなければならないということは、それだけ特定の病気や部位に対する専門医の手が不足するということになります。
よって、これから先、医療DXによる診療の効率化、または、Joinのような遠隔医療支援サービスにより、医師同士が地理的な制約を超えて連携できるような仕組み作りが非常に重要となってきます。
DeNAはこのような医療の情勢を踏まえてヘルスケア、およびAllmに着目したのではないかと推測できます。
DeNAの最新の決算をみてみると、まだ投資段階で黒字化はできていないものの、ヘルスケア領域、メディカル領域ともに売上は伸びてきており、期待はできます。
一方、DeNA全体で見てみると、10年前から売り上げはほぼ横ばい、利益はかなり下がり気味と苦しい状況に見えます。
このヘルスケア事業を伸ばして再度全体として成長をしていけるのか、期待したいところですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。これからも企業のビジネスについて、分かりやすく解説した記事を更新していきますので、フォロー、そして記事へのスキをよろしくお願いいたします!
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