Japanese Deep Techレーベル"Play Of Color"のローンチパーティーと今後に向けてのお話
皆さま、こんにちは。今週木曜日の祝前日、2023/11/2は渋谷のWombにて、Ampsさん、MINTさんとスタートさせたレーベル"Play Of Color"のローンチパーティーが開催されます。
そもそも、なぜレーベルをスタートさせたいと思ったか、どういう思いでレーベルを運営していきたいかなど、アツい気持ちを伝えることができていないのでこの機会にお伝えしたいなと思っています。
普通に書いてしまうと面白くないですし、読みにくいかなと思うので今回はSANTA(Be flat.)がYuta Yamada(Play Of Color)にインタビューをするという形式でつらつらと書いていきたいと思います。長くなっていずれにせよ読みにくいじゃないか、ってなりそうですが、お時間ある方はどうぞお付き合いください…
レーベルをスタートさせるきっかけ
SANTA(以下、S)「Yutaさん、こんにちは。お会いするのはいつぶりですかね?3年ぶりくらいですかね?」
Yuta Yamada(以下、Y)「SANTAさん、お久しぶりです。そうですね、3年くらいですかね。確かSANKEYSでSANTAさん主催のBe flat.で私がオープニングセットを担当させて以来だと思います」
S「ああ、そうだ!その節はご出演いただきありがとうございました。さて、早速ですが、この度はレーベルのローンチと1st EPのリリースおめでとうございます。いつ頃から準備したのでしょう?」
Y「ありがとうございます。昨年夏、ヨーロッパに3ヶ月ほどコネクション作り&オーガナイズのお勉強&DJをしに行ったんです」
S「あれ、今年ではなく?」
Y「今年も2ヶ月ほど行きましたが、去年も行きました。去年はDJする機会が少なかったので、色んなパーティーに遊びに行ったのです」
S「本題から少しずれてしまいますが、どんなパーティーに行かれたのですか?あと、一番良かったパーティーも教えてください」
Y「Defected Croatiaから始まり、ベルリンのBerghain、ミュンヘンのToy Tonicsのパーティー、W BarcelonaのWet Deck、イビサのAmnesia・Pacha・DC10・EDEN、そしてADEではPIVのパーティー・Dvine Soundsのパーティー・Mother Recordingsのパーティー・バルセロナ拠点のJackiesというパーティー・Toolroomのパーティーなど、本当に色んなところに行きました(笑)なかなか一番はつけられないのですが、特に驚きだったのはDefected CroatiaのPIVのパーティーとDC10のSolid Groovesのパーティーでした」
※2022年にヨーロッパのクラブに行ったときの写真たち
S「どういうところで驚きだったのでしょう?」
Y「音数が少なめでめちゃめちゃ派手な音とかボーカルが入っているわけではないのですが、終始お客さんが踊っており、そして何よりDJさんの人柄も客層もよいという…。もちろん、アンセムも時折は挟んだり、アクセントとして違うジャンルの曲も流したりすることもあるのですが。偏見も入っているかもですが、日本ではわかりやすい曲が好きな人が多かったり、アンダーグラウンドではザ・ミニマル!という感じで両極端な印象なんですよね。PIVとかSolid Groovesで流れる音というのは、悪く言うと中途半端なので、日本ではアクセントで流す人を見かけるものの、Deep Tech系をメインでやる人はあまり見かけないんです。そういう中間の音を楽しめるパーティーが頻繁にあると、お客さんも色んな発見ができるし、新たな選択が増えることでクラブに行く人も増えるんじゃないかなと、思いました。ちなみに、Deep Techと言っても人によって想像するジャンル違うかもなので、ここでは便宜上、比較的音数の少なめなTech HouseをDeep Techと定義させていただきます」
S「なるほど、そのときの体験がレーベルを始めることのきっかけになったと」
Y「きっかけとしてはそうですね。ちょっと横道にそれてしまうかもしれないのですが、こういう日本ではまだ弱いジャンルは正直、海外のDJのお力をお借りすることも大事なのかなと思っております。もちろん、日本のDJさんは素晴らしいと思いますし、日本人だけでめちゃめちゃ盛り上げているパーティーもあります。ただ、明治時代の日本の近代化も海外のテクノロジーによって急激に進んだところもあります。要は海外の優れたものを参考にさせていただいて日本の素晴らしさと融合させていくことが重要なのかなと思っているのです。そして、融合させたものをなかなか海外には行けない人たちに感じてもらったり、将来海外で活躍するためのきっかけにできるとよいなと思っています。で、何が言いたかったかというと、そういう海外と日本の融合を目指すにあたって、日本にも基礎的なインフラのような部分がないと話にならないなと思ったわけです。海外で私の名前だけを売ったとしても基礎作りとしては不十分だなと思い、Deep Techを主軸として活動しているAmpsさんとMINTさんなら素晴らしい基礎部分ができるに違いないと思い、お声かけさせていただいた、というわけです。二人にお声かけしてからローンチパーティーまで1年以上時間が経ってしまったのですが…(笑)」
S「よくわかりました。ちなみに1年経ってしまったのには何か理由があるのですか?」
Y「いえ、理由はなく、完全に私が問題先送りしたことによります…(笑) 今年ケルンでKolterのレーベルHoove(注1)のパーティー行ったんですが、そこでのパーティーも素晴らしく、これは早くこういったパーティーを実現しないといけないなと思い、いろいろいろと急ピッチで準備を進めました。AmpsさんとMINTさんには無茶振りもたくさんしましたし、というか今もしていますが、私のペースにお付き合いいただき本当に感謝しかありません」
S「ありがとうございます。Yutaさん、結構無茶言いますからお二人は大変でしょうね…(笑) さて、そのようなかたちでスタートすることになったレーベルの話を聞かせてください。まずは"Play Of Color"という名前ですが、どういう思いがあるのでしょうか?」
Y「日本語では"遊色効果"と言って、辞書的な説明で言うと、"宝石などが示す光学効果の一種で、表面に近い結晶の層状構造により、干渉光が反射しているため、虹のような多色の色彩を示す現象"のことを指します。聴く人や見る人によって色んな楽しみ方ができるような楽曲やパーティーを届けていきたい、という思いから名付けました。あとは、レーベル展開するにあたって色に関わるネーミングにしておくとレーベル展開がしやすいだろうという思いもあります(笑)」
S「前者は後付けだったりしませんか(笑)? とまぁ勘繰るのはやめて、レーベル展開の話で言うと、今回2つのレーベル"Play Of Color Red"と"Play Of Color Blue"に分けてリリースされましたよね?何か狙いはあるのでしょうか?」
Y「まず、同じDeep Techといっても、先ほどお話したSolid Grooves系のまさにSolidでメリハリのあるTech House路線なDeep Techと、PIV系のスペーシーでふわふわした感じの音色が入るDeep House路線なDeep Techなど、色んなDeep Techがあります。これらを1つのレーベルから出すのは違和感があったので2つに分けてリリースすることになりました。"Red"からはSolid なTech House寄り、"Blue"はふわふわしたDeep House寄りの楽曲をリリースしていこうと思います」
S「今のお話を聞いた上で、"Red"、"Blue"それぞれのEPを聞くと、確かに特徴が出ていて、理解が深まりますね!それにしても、どちらのEPも素晴らしいですね」
Y「海外のプロデューサーからもサポートされるだけあってAmpsさん、MINTさんの楽曲のクオリティはとても高く、個人的には余裕で世界に通用するEPだと思っています。私もお二人の足を引っ張らないように努力を続けたいと思います」
(注1):Kolter、Pascal Wagner、Thalo Santanaの3名で運営
※今年(2023年)のヨーロッパでの写真たち
ローンチパーティーに向けて
S「それでは今度は今回のローンチパーティーについてお伺いしていきたいと思います。今回は今年の4月にも開催し、好評だったGOLDEN -豪流伝-の1フロアを使用しての開催と伺っております」
Y「GOLDEN -豪流伝-はオーストラリアダンスミュージックにフォーカスしたパーティーで、メルボルンを拠点に活動中のGenki Tanakaさん、そしてGenkiさんの盟友であるEita Godoさん、Yosuke Nakagawaさんの3名が中心となって開催しているパーティーで、今回は第二弾となります。前回は今や売れっ子のKiaを招待して開催されました。今回はReptantとAndy Garveyがダブルヘッドライナーを務めるという豪華なパーティーです。今回はそんなアツアツなパーティーの1フロア、Womb Loungeを僭越ながら使用させていただき、ローンチパーティーを開催します。ちなみに前回も実は同じWomb LoungeにてRobbie Dohertyをゲストに迎え、Deep TechやDeep Houseをメインジャンルとして開催させていただきました。ブースをフロア中央に配置するという、いわゆるボイラールームスタイルでのパーティーだったのですが、好評だったため今回もこのスタイルで行う予定です」
S「前回のパーティーはインスタグラムでも見ましたし、私の友達も言ってましたが、どのフロアもめちゃめちゃ盛り上がったようですね」
Y「本当にすごい盛り上がりでした。というか、なんで来てくれなかったんですか(笑)?」
S「どうしても外せない予定があり…。今回は行こうと思っています!もう少し前回の話を聞かせていただいてもよいですか?」
Y「絶対来てくださいね!? で、前回パーティーのお話をすると、3フロアともそれぞれ個性がありつつも、親和性があり、よい化学反応が起きていたなと。あとは、いい意味で日本ぽくなくて、海外で感じたあの雰囲気を味わえる貴重なパーティーだと感じました。今回も同じ雰囲気を味わえると思うので、ローンチパーティーに興味あるないに関わらず、たくさんの方に足を運んでいただきたいです」
S「それは楽しそうですね!今回Ampsさん、MINTさん、Yutaさん以外にもtuzuRaさん、BNN WKNDさんの2組もDJをされますが、なぜこの2組を選んだのでしょうか?」
Y「正直誰に出演いただくかは悩みました。レーベルのローンチパーティーということで、出演する側としては決して主役という位置付けにならないのでモチベーションが上がりにくいと思うのです。何と言うかある種の献身性というかそういうものを持っていただきつつ、我々を応援してくれて協力してくれそうな方をチョイスし、あとは12月2日にも別のパーティーを開催することから、そちらとのバランスも考えてブッキングさせていただきました」
S「確かにモチベーション的には難しいですよね。メリットが少ない中で引き受けてくれるというのはオーガナイザーとしては本当にありがたいと思います。今回出演する2組についてもう少し教えていただけますか」
Y「はい、もちろんです。tuzuRaさんはDJキャリアをスタートしたときから我々の言うところの"Blue"サイドのDeep Techを中心にプレイしていて、選曲のセンスもあるし、素晴らしいDJだと思います、お酒を飲み過ぎなければ… (笑) ちょっと横道にそれちゃいますが、私はDJのブッキングで大事にしていることの一つとして、パーティーを一緒に盛り上げてくれるかどうか、があります。DJとしてしっかりやっていただくのは当然ですが、パーティーのスタートからずっとフロアで踊ったり談笑したりしてくれるDJさんが好きです。私の大好きなKolterなんかは基本どのパーティーでも最初からいて踊ったり気さくにお客さんとお話したりしてるんですよね。なので出番前にすっと来て出番終わったらすぐ帰ってしまうDJさんは苦手なのです…。で、話を戻すと、tuzuRaさんの場合もKolter同様、パーティーのスタートからフロアで踊ってくれますし、お酒が入ればという前提がありますがお客さんともコミュニケーションを取るスタイルなのでとても好感を持っています。ただ、ときどき飲み過ぎてしまうので、その辺は今後気を付けてほしいなと思います(笑) あとは、なかなか曲を世に出さないですがEDGH HOUSEの"The Next"のグランプリですし、もっとばんばん曲をリリースしてほしいと思っています」
S「テンションが上がると飲みすぎる気持ちはとてもよくわかります…。私も反省したいと思います…。さて、もう1組のBNN WKNDさんについても教えていただけますか」
Y「DaitoくんとGuccyくんによるユニットで、彼らの曲やプレイスタイルは我々のレーベルの"Red"サイドととても相性がよいと思い、ブッキングしました。作っている楽曲はSolidでダイナミックなかっこよい系のTech House/Deep Techです。これからもっといろんな海外レーベルからもリリースされると確信しています。ちなみに、実はGuccyくんは活動をセーブしていたこともあり、あまりお会いできてないので、ここから先の感想はおもにDaitoくん向けになってしまうことをお許しください。彼と出会った当初はちょっとチャラめな曲作るしDJもそんな感じだなぁと思っていたのですが(笑)、Daitoくん自身も言っているように徐々にスタイルが変わっていき、言い方が適当かどうかわからないですが貫禄が出てきたというか、DJも楽曲もうまくメリハリをつけられるようになってきたと思っています。偉そうで申し訳ないですが(笑) 若いDJさんやプロデューサーさんとも交流したり、偏見を持たず色んな人たちと接してたくさんのことを吸収しようとしているのだなととても感心してますし、尊敬もしています。日本では彼らが本当にやりたいようなスタイルでDJをできる場所が少ないので、なんとか我々が盛り上げてそういう場を作っていかないといけないなと思っています」
S「ありがとうございます。Play Of Colorの3人だけではなく2組も必見・必聴ですね。絶対に行かねばです」
Y「はい、お待ちしています!最高に楽しいパーティーにしますので、普段クラブに行かないようなお友達にも是非誘ってみてほしいです。ちなみに、今回レーベルのステッカーを限定で無料配布&Tシャツを限定販売したいと思いますのでそちらもお楽しみにしていただければと思います」
■GOLDEN -豪流伝-の詳細はこちら
https://www.womb.co.jp/event/2023/11/02/golden-2/
■2023/10/27リリースのEPの詳細はこちら
今後の展望
S「ローンチパーティーも楽しみですが、今後のレーベル運営にかける思いなどがあれば教えてください」
Y「そうですね、最初の方に言ったこととも重複するかもしれないですが、Deep Techというジャンルが広まって、クラブにあまり行かないような人がDeep Techのパーティーなら行きたいと言ってくれるようにシーンを広めていきたいなと思います。日本では他のジャンルではすばらしいパーティーがたくさんあるので、そのパーティーから人を奪うのではなく、その隙間を埋めて日本のハウスシーン全体が盛り上がると嬉しいです。レーベルをスタートさせたことも1つですが、他にもできることを少しずつでも着実にやっていき、一人でも多くの仲間を増やしていければと思っています」
S「日本で流行らせるのが難しいと思われるジャンルを拡大させようとするというのはチャレンジングなことだと思いますが、何とか継続していってほしいと思います」
Y「おっしゃる通り、正直、日本では流行りにくいジャンルだと思いますし、前途多難だという覚悟はできています。種をまくだけで収穫できない時期はコストしか発生しませんし、何も育たないかもしれないです。ただ、誰かが種をまき続けないと何も育たないのも事実なので私は一人でも種をまき続ける覚悟でいます。もちろん、協力者はいることにこしたことはないですが…(笑) ちなみに、その種まきの一環として行っているThe Swirlという、海外のDeep TechのDJを招待する規模が大きめのパーティーがあるのですが、今後はレーベルの動きとも連動して開催していければよいなと考えています。レーベルとしてのパーティーも定期的に開催しつつ、The Swirlもなるべく定期的に開催できればと思っています」
S「The Swirl…今年の3月にKolterを招待して開催したパーティーですね!次回の開催予定は決まっているのですか?」
Y「はい、12/2(土)に宮下公園のorで開催します。今回はShall Not Fadeなどからも曲をリリースしているフランス人のプロデューサーVITESSをゲストに迎えての開催です。Deep TechというよりはDeep House寄りなのですが、いまヨーロッパで流行っているトランシーな要素が少し入っているおしゃれなHouseを楽しめると思います。日本では彼のような音を聞けるのは本当に貴重だと思いますし、しかもLIVEセットなのでこちらも是非足をお運びいただけると嬉しいです」
S「私もVITESSさんは存じています!こちらのパーティーも是非行かねばですね!」
Y「はい、こちらも絶対来てください(圧)」
S「…ということでお送りしてきましたYutaさんへのインタビューですがこの辺でお時間となります。Yutaさんのアツい思いが少しでも伝わったのではないでしょうか?また次回お会いしましょう!」
■The Swirl vol.2のパーティー詳細はこちら
https://www.ortokyo.com/event-detail/?id=11191&type=all&tyear=2023&tmonth=12
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