恋愛遍歴①

いつもいつも頭の中で繰り返し人に話しをしている妄想をしてしまう。
カウンセラーさんに聞いてもらうのがいいのかもしれないけど、もうだいぶ傷は癒えてきたのでこのブログにしたためることにした。

私の恋愛話はメンヘラの類に入るだろう。

今日、頭の中で繰り返していたのは私が大学を卒業してフリーターをしていた頃の話だった。
正社員として就職しようと思っていたが、卒業までに決まらず、友達の紹介で蕎麦屋でバイトを始めた。就職するまでの繋ぎくらいの気持ちで働いていた。

付き合った相手は20歳上の蕎麦屋の店長だった。いわゆるイケオジ風でパートのおばちゃんからも好かれていた。仕事人間でノリが良くてバイトの学生からも人気があった。
ある時、私が大学生の時に付き合っていたメンヘラの元彼から脅迫文のLINEが届いた。私のバイト先は知っていて、そこに行って暴れてやる、的なことが書いていた。私は憔悴しきっていて、店長に相談した。
結局元カレはバイト先に現れることはなかったが、それがきっかけで距離が縮まった。

店長は既婚者だった。家庭内別居をしていて家族と仲が悪いと言っていた。私の前にも結婚後に付き合った人が3人くらいいた。アル中でタバコも吸っていた。給料が安く、お小遣いもビールとタバコに消えるので、今まで付き合った彼女とのデート代は借金をして賄っていた。80万くらいの借金があると言っていた。

私はとてつもなく同情した。すごくかわいそうになって助けたい!と強く思った。私が就職したら一人暮らしを始めて居場所を作ってあげたいと思った。
フリーターは半年程続け、無事就職先を見つけることができた。

店長は家に居場所がないから休みの日は漫画喫茶やスーパー銭湯で1日を過ごすと言っていた。私はそれを聞いて、お金がかかるしそれなら私が一人暮らしをする家で一緒に過ごせたらいいと思った。
店長にも居場所を作ってあげられるしその分のお金で借金も少し返せるかもしれないと考えた。(今思うとココが大きな間違いで、店長はきっとその時の生活に不満はなかったし借金についても気にしていなかったのに当時の私は自分視点でしか考えられなかった。)

入社して数ヶ月したころ、念願の一人暮らしを始めた。ここから一気に関係が悪くなった。
店長は休みの日は朝起きた瞬間からビールを開ける。休みの日は6缶くらい飲む。仕事終わりでも3缶は飲む。アル中だからか会話があまりできない。短気で思考が浅い。
職場から私の家が近いこともあり、すぐに店長は家に帰らなくなった。私の狭いワンルームでの地獄の半同棲が始まった。
私は店長の借金が心配だったから、ほぼ私の家にいようと家賃も光熱費も請求書しなかった。食費はスーパー用の財布にお互い月一万円を入れていたがあぶれた分は私が出していた。店長は私服を2着しかもっていなかった。かわいそうで身の回りのものを記念日やイベントの日にプレゼントしていた。
私の就職先は下請けのブラック気味な業界だったので、私もお金の余裕がなかった。一人の時間もないのでどんどん余裕がなくなっていった。

喧嘩をすると店長は部屋を飛び出し、死ぬ死ぬLINEを送ってくるようになった。私はいつも迎えに行った。
いつか分かってくれると思っていた。こんなに心配してくれる私がいて、こんなに尽くしてくれる私がいて、自分のことを大事に思ってくれるんじゃないかと期待をしていた。(またここでも大きな間違いをしているのだが、私は相手を変えたかったのだ。アル中借金持ち家庭内別居のかわいそうな人間を苦しみから救いだしたい!と思っていた。そのために自己犠牲をしていた。)

しかし相手を救うより先に私の精神の限界がきてしまった。好きじゃなくなってしまったのだ。愛情がもう一滴も残っておらず、気持ちが完全になくなってしまった。
別れを切り出すことはなんとかできた。しかし合鍵を返してもらって家を追い出すことはできなかった。自殺してほしくないという情だけが残っていた。
しかし付き合っていなくても相変わらず喧嘩はするし店長が飛び出して死ぬ死ぬパフォーマンスもなくならなかった。むしろ私が気持ちが冷めてあまり追いかけなくなったことでパフォーマンスがどんどん過激になっていった。

付き合ってから2年くらい、私が一人暮らしを始めてから1年半くらいたったころ、年末の仕事納めを終えて、会社の忘年会に行った。
この頃は私が自分の家に帰るのが嫌になって外で用事を作るようになっていた。自分の家なのに帰れないってなんなんだって思っていた。家に帰るのが遅くなると店長は鬼電をかけてきて、着信の履歴に怯えていた。
その日ももちろんいれるまで外で過ごして明け方店長の鬼電を確認した。LINEの既読をつけたと同時に電話がかかってきた。怯えながらでると、「俺いま包丁もってるから」と言われた。
店長は私の家にいて、私はまだ外にいて、自分で自分を刺すと脅してきている。電話を切ったら己を刺すのではないかという考えと、このまま繋いでいたら断末魔が聴こえてくるんじゃないかという考えが二つ浮かんで、私は電話を切って警察を呼んだ。
二人の警察官がすぐに来てくれて、エレベーターで事情を説明しながら部屋に突入してくれた。
店長は刺していなかった。
別々で事情聴取を受けたが、店長は仕事に行くと言って合鍵を私の床に置いてあるカバンに投げ入れて去っていった。残った私と警察官2人で少し話をした。相手が既婚者であることは説明していたので、本当に覚悟を決めるなら籍を入れるとかしないとね、という慰めの言葉をくれた。そして年末年始のお休みは実家に帰ってゆっくりしてねと言ってくれた。

私と店長に結婚の選択肢もあったことに言われて気がついた。その時の私には心中しか思い浮かばなかった。

この経験から私はやっと気がついた。かわいそうな人を救いたいというエゴは私が私自身に向けるべき感情だった。自分を大切にしない店長と自分とを重ね合わせていたのだ。
自分が救われたい気持ちを、他人を救うことで解消しようとしていたのだ。
しかし店長が望んでいたのは、ただずっとそばにいてくれる人だったんだと思う。私は自分視点で見えたものを押し付けていた。

メンヘラは一方的な加害者に見えるが、メンヘラと付き合う相手もメンヘラであるしメンヘラを助長させる対応をしていることを認めなければならない。自分の思う優しさはまずは自分にかけるべきなんじゃないかと思う。
自分を後回しにして自己犠牲する優しさは相手の気持ちを無視したエゴでしかないよ。と昔の自分に言いたい。

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