【考察】ダイヤモンド
この曲は「何のために生まれてきたのか」を旅を続ける人に問う物語だと思う。
何回転んだっていいさ
擦り剥いた傷をちゃんと見るんだ
真紅の血が輝いて
「君は生きてる」と教えてる
主人公はいきなり傷を負っている。
しかし傷付くか傷付かないかではなく、傷を見つめろと曲は問いている。
傷を見ることで、生きているという実感が湧く。この実感が、まさに生きている理由なのだろう。
固いアスファルトの上に
雫になって落ちて
今までどこをどうやって
歩いてきたのかを
教えてる
傷は血の跡となり、自分が歩いてきた道を指し示している。これは後悔にもなりえるだろう。しかし、傷の良し悪しではなく、あくまでも視点は自分が生きた印になっているということだ。
何回迷ったっていいさ
血の跡を辿り戻ればいいさ
目標なんか無くていいさ
気付けば後から付いてくる
可能性という名の道が
幾つも伸びてるせいで
散々迷いながら どこへでも行けるんだ
生きている意味なんて知らなくてもいいと曲は言っている。迷ったら傷の意味を確かめに戻ればいいし、迷っていながらも前にちゃんと進めるのだと迷うことも正しい道だとを肯定してくれている。
大事なモンは幾つもあった
なんか 随分減っちゃったけど
ひとつだけ ひとつだけ
その腕でギュッと抱えて離すな
血が叫び教えてる
「君は生きてる」という言葉だけは
抱えてた大事なものは傷と引き換えに落としてしまったのだろう。それは大切な人やプライドだったかもしれない。それでも傷は自分は生きていることを教えてくれるために存在していたのだ。
一体どれくらいの間
助けを呼ぶ声を無視してんだ
その背中に貼り付いた
泣き声の主を探すんだ
前ばかり見てるから
なかなか気付かないんだ
置いて行かないでくれって泣いて
すがる様なSOS
聴いた事ある懐かしい声
なんか随分 大切な声
主人公は後悔をせず前を歩いているのだろう。しかしSOSの声が聞こえた。それは過去の自分だった。捨ててきた大切なものの中に何よりも一番大切な自分を一緒におとしてしまったのだろう。
ひとつずつ ひとつずつ
何かを落っことしてここまで来た
ひとつずつ拾うタメ
道を引き返すのは間違いじゃない
今度は引き返すことを決めた主人公。他人やプライドなどと一緒に自分を捨ててしまったら、もう一度拾うためにもどるのは正解の道だと曲は説いている。
やっと会えた 君は誰だい?
あぁ そういえば 君は僕だ
大嫌いな弱い僕を
ずっと前にここで置きざりにしたんだ
自分を落としてしまった理由は、自分が嫌いだったからと判明する。
何回転んだっていいさ
何回迷ったっていいさ 大事なモンは 幾つも無いさ 後にも先にも
ひとつだけ ひとつだけ
その腕でギュッと抱えて離すな
世の中にひとつだけ
かけがえのない生きてる自分
弱い部分 強い部分
その実 両方がかけがえのない自分
誰よりも 何よりも それをまず
ギュッと強く抱きしめてくれ
この曲は何よりも自分が生きていることが大切なんだと教えてくれる。そして生きていることを確かめるためには好きな自分も嫌いな自分も必要なのである。
弱い自分はきっと傷になってきたのだろう。しかし傷すらも生きていることを確かめるためのものでしかないのである。
上手に唄えなくていいさ
いつか旅に出るその時は
迷わずこの唄をリュックに
詰めて行ってくれ
生きているということは大切で幸せなことという前提の曲だが、生まれてきたことに悲観的で不幸を感じている人もいると思う。
それでもやはり、生きていることは幸せなことだとすれば、悲観的に考えている人の心の傷も生きている証として輝くのではないだろうか。
生まれたことを悲観的にみれば傷は不幸でしかない。しかし生まれてきたことを幸せなこととして見れば、傷は生きていることを教えてくれる輝きになる。
一度、生まれてきたことや生きていることは幸せなことなのだと置き換えてみると傷や迷いも見え方が変わるのではないだろうか。