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タイの「怪しい日本人」にならないために

タイに引っ越すと話すと、「お前やばい商売でもやるんじゃねえの」と言われることも無くはない。

たしかに、タイには怪しい日本人がたくさんいるし、実際にアウトな日本人もいる。チェンマイ在住者の場合は、日本人はたくさんいるものの狭いコミュニティなので、「あそこの所属の人ね」とすぐ分かるし、噂が回ってしまう。

ネット上でチェンマイについて発信している人は、9割が旅行者か短期滞在者。そして怪しいことをしている人(アウトな人も多い)のほとんどが「9割」に属する人々だ。

大麻を吸いにきてその自慢をネットに投稿している人もいる(日本で処罰される可能性あり)し、それに関する闇ビジネスに関わっている人もたくさんいる。日本のネット上では「タイ=そういうことをやっている人たち」というイメージが強い。

そうしたネットとは裏腹に、私はタイでの生活の中で、日々の生活を淡々と営んで企業、家族、ひいてはタイ社会、日本社会のために働いている人々とたくさん知り合ってきた。

基本的に彼ら(私たち)は「静かに」生活しているのである。私は仕事がライターで、ありのままを伝える、発信することが責務であるので、「静かに」生活する人の部類には収まることはできない。自分の周囲何メートルかについて書くようにしている。

「静かに」生活している人たちは発信なんてわざわざしない。もちろん善良な発信者も友人にたくさんおり、タイが好きな人たち、タイに興味を持ってもらうために彼らの活動は多大なる影響を与えているのを知っている。しかし大部分は、「静かに」生活をしている人たちである。そして発信をしている人であっても、日常を淡々と過ごし、タイについて知ってもらいたい!と強い意志をもって身を削りながら発信している。

タイに住みたい、タイで働きたい、と思って飛び出してきたのに、身内から冷たい目で見られてしまい、帰国をする人の話も聞いたことがある。夢を追いかけてきたのに周囲にそんなイメージを持たれたことで、夢破れてしまうのは勿体無い。

唐突だが、日本では「クルド人とか移民は危ない」というイメージが流布している。私自身タイに来る前は、クルド人が多いエリアに住んでいたが、ネットに流布しているようなことは経験したことない。ネット上が作り上げた「偶像」により多くの人々が「クルド人とか移民は危ない」と思い込んでしまい、遠くの全く関係ない輩が普通に生活している彼らに集中砲火しているのである。もちろん、中には度を超えたことをしているケースもあるのでそれはそれだ。
ちなみに移民の多いタイではそんな差別的なことは経験したことがない。ルッキズムは流布しているが、ある特定の人種を貶める発言は聞いたことも見たこともない。

「タイの怪しい日本人」についても、同じことが言える。一部の怪しい人々はいる。そういう人は自ら前に出てくるので「静かに」してもらいたいものだが、ほとんどのタイにいる日本人は「静かに」淡々と日々を送り、タイ社会、ひいては日本社会に貢献している。

そういう人たちに光が当たらなくてもいいので、そういう人々がほとんどであることを理解してほしいのだ。

「タイの怪しい日本人」に自分からならないために、淡々と私は記事執筆をして、趣味がてらこうした記事も書き、カフェのお兄さんと挨拶をして市場でご飯を食べ、少しだけポケモンをして、寝て、たまには友人とご飯を食べたり、カラオケをしたりする日々を送っている。

「タイの怪しい日本人」にならないためには、自分でできることは限られている。
その言説の大部分はあなたのイメージから出来ている。市井の人々は「静かに」生活している人々が大半であることを知ってほしい。


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かぼちゃ太郎@タイ・チェンマイ ライター/エッセイスト
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