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【移植記事】投票日の新聞広告は
なんかnoteの別アカウント持ってたみたいです。記憶にない。
7年前に一つだけ記事を投稿していたので、こちらに移植します。まだ国会も選挙もまったくの初心者だったころに、公選法についてぐるぐる調べてけっきょく分からなかった回。
【移植元】
かぼちゃ(23maena)
2017年10月30日 18:52 投稿
(https://note.com/23maena/n/n6ba843a4df5b)
※アカウントごと削除済み
10月22日投票日だった衆議院議員選挙。投票日当日の新聞に自民党の広告が掲載されたたことに対する疑問の声、怒りの声がTwitterなどで上がりました。選挙期間中に「投票日当日は選挙運動をしてはいけないから気を付けよう」と聞いて、私も当日はツイートに慎重になったものです。なのに、自民党、何しとんねんと。載せていた新聞社もプライドないんかと。
それで自分なりに調べてみたので一応残しておきます。
※このノートにある引用部分中の太字はここを読めば要旨がつかめるだろうと私が判断した部分です。元記事には太字なし、または引き方が異なる場合があります。
結論から言うと、道義的にはどうかと思うが、法的に合うとかセーフかは分かりませんでした…。警察・司法の判断次第、だそうです。(誰か訴えてよお)
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〇いきさつ
じつは去年の参院選でも同様のことが起きていたようです。そのため数日前から危惧していた方もおられたのですが、案の定だったと。
投票に行ったついでに、コンビニで新聞六紙の朝刊を購入。産経、朝日、読売、毎日、日経、中日の六紙に共通するのは? 答え:衆院選の投票日当日の朝刊に、安倍首相の顔写真入りの自民党の広告を大きく掲載していたこと。おかしいだろう。自民党だけで他の政党はなし。おかしいだろう。不公平だろう。 pic.twitter.com/HOj2q8h9tS
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) October 22, 2017
山崎さん(https://twitter.com/mas__yamazaki )が引用されていたハフポストの記事では、参院選投票日に新聞各社に政党広告が記載されたことが取り上げられています。この時は公明党や幸福実現党も広告があったようです。
自民党などの広告、参院選投票日の朝刊に掲載「これって違法?」調べてみた
ーハフィントンポスト
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/09/jimin-ad-on-newspapers_n_10909098.html
※昨年の参院選の記事です
▼総務省選挙課の見解は
さて、では今回の広告は選挙運動なのか、それとも政治活動なのか、判断が難しい。ハフポスト日本版は総務省選挙課の担当者に電話インタビューを行った。担当者の見解は以下の通りだ
――広告は選挙運動に当たるのではとの指摘がありますが
この広告が選挙運動に当たるかどうかについては、判断の権限は総務省にはありません。取り締まりを行う警察当局、最終的には司法の場で判断されることになります。
――選挙運動と政治活動の境目を判断するのは困難にも思えます。ガイドラインのようなものはあるのでしょうか?
ありません。すべて個別判断になります
全体に、ほとんどよくハフポストの記事でまとまっていました。そちらをお読みいただければと思いますが、せっかくなので以下に自分で参考にした記事を整理させて頂きます。
まあ備忘録です。
(補足)
このノート書き終わった後に今回の衆院選の広告について書かれた記事が見つかりましたのでそちらもどうぞ。公選法スレスレについてもっとたくさんの(やばそうな)事例を取り上げています。
安倍自民党の姑息すぎる選挙戦! 投票当日に新聞選挙広告、「安倍と二階の指示で投票日に電話作戦」と田崎史郎が暴露
ーLITERA
http://lite-ra.com/2017/10/post-3535.html
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さて、広告の是非に関係する法律ももちろん公選法ですよね、ってことで選挙運動に関するくだりを読んでみました。なんじゃこのくそ難解な文章は…法律家のみなさんを改めて尊敬しました。
困ったことに、「こういう事はしてはいけませんよ」「これをするならこういう規定・上限の中でやりましょう」ということは書いてあるのですが、公選法には「選挙運動とは〇〇です」というような、選挙運動とは何かの定義が見当たらないんですよね。
そこで先に総務省の見解を載せておきます。
〇総務省のHPを読んでみた
現行の選挙運動の規制
ー総務省
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10_1.html
【選挙運動とは】
判例・実例によれば、選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。
うーん、まだもやもやする。ほかの政治活動との線引きは?
もう少し調べてみると、東京都選挙管理委員会事務局のページで比較してある部分がありました!
総京都選挙管理委員会事務局
ー選挙Q&A(選挙運動と政治活動)
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/qa/qa-katudou/
政治上の目的をもって行われるいっさいの活動が政治活動と言われています。
ですから、広い意味では選挙運動も政治活動の一部なのですが、公職選挙法では選挙運動と政治活動を理論的に明確に区別しており、それらを定義付けすると次のように解釈できます。
【選挙運動】
特定の選挙に、特定の候補者の当選をはかることを目的に投票行為を勧めること。
【政治活動】
政治上の目的をもって行われるいっさいの活動から、選挙運動にわたる行為を除いたもの。
なるほど。普段の政治活動と、選挙に際して候補者を当選させるための活動は区別されているんですね。
ちなみに、投票日に話題になった落選運動。”特定の候補者”と”当選させるため行為”という部分が効いて、落選運動は選挙運動ではないと考えられているようです。対立候補が一人だったら間接的に特定の候補者が有利になりますが、複数だったり比例だったりすると上記に当てはまらないわけですね。
〇やっと公職選挙法
http://www.houko.com/00/01/S25/100.HTM#s16
まずは選挙運動の期間。選挙運動については第13章に書かれているのですが、その第一条目に定められています。
(選挙運動の期間)
第一二九条 選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第八十六条(公職の候補者の立候補の届出等)第一項から第三項まで若しくは第八項の規定による候補者の届出、第八十六条の二(名簿による立候補の届出等)第一項の規定による衆議院名簿の届出、第八十六条の三(名簿による立候補の届出等)第一項の規定による参議院名簿の届出(同条第二項において準用する第八十六条の二第九項前段の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第八十六条の四(公職の候補者の立候補の届出等)第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。
要は選挙中によく聞いていた通り。選挙の期日、いわゆる投票日の前日までしか選挙運動をしてはいけないってことです。
「届け出のあった日から」というのが何気に気になりまして。第86条の2を見る限り、候補者は公示日に立候補を届け出るんですが…。
うん。公示前に選挙運動してたくない?
次から気を付けようと思います。
次に新聞広告に関する記載を読んでいきます。にええええって感じです。
一応載せますが…
(新聞広告)
第一四九条 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙については、候補者は、総務省令で定めるところにより、同一寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、五回を限り、選挙に関して広告をし、候補者届出政党は、総務省令で定めるところにより、当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補有の数(十六人を超える場合においては、十六人とする。)に応じて総務省令で定める寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、総務省令で定める回数を限り、選挙に関して広告をすることができる。
2 衆議院(比例代表選出)議員の選挙については、衆議院名簿届出政党等は、総務省令で定めるところにより、当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数(二十八人を超える場合においては、二十八人とする。以下この章において同じ。)に応じて総務省令で定める寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、総務省令で定める回数を限り、選挙に関して広告をすることができる。
(中略)
6 衆議院議員、参議院議員又は都道府県知事の選挙においては、無料で第一項から第四項までの規定による新聞広告をすることができる。ただし、衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては当該衆議院名簿届出政党等の当該選挙区における得票総数が当該選挙区における有効投票の総数の百分の二以上、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては当該参議院名簿届出政党等の得票総数(当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者(当該選挙の期日において公職の候補者たる者に限る。)の得票総数を含むものをいう。)が当該選挙における有効投票の総数の百分の一以上である場合に限る。
疑問1
総務省の定めるところにより?それって与党に有利じゃないの?
疑問2
候補者の数に応じて?大きい政党に有利だよね。特に今回みたいな選挙だと与党に圧倒的に有利だよね?
探しても当該の総務省令が出てこなかったので断念。どうなんよ…
不満
新聞広告のお金どっから出て来るのか疑問だったけど、規定回数は無料だったのか。だれが負担してるんだろう?税金?新聞社?
→税金でした…いわゆる600億の一部やん
今回の選挙でいくらかはズバリ分かりませんでしたが、さまざまな記事を読むと国政選挙一回当たりおおよそ20億円のようです。新聞広告における選挙活動だけで、です。
(参考)
選挙広告 17日間で100億円つぎ込まれ大メディアにとり特需
http://www.news-postseven.com/archives/20130720_201097.html
「1票のコストが500円」を肝に銘じる。
https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20160710-00045082/
衆院選でかかる税金と最も恩恵を受けているメディアと代理店は?
http://adworld.hatenablog.com/entry/2017/10/22/161242
少し脱線しましたが、まとめると
・やっぱり投票日当日は選挙運動ダメ
・公選法に規定がある以上、新聞広告は選挙運動になりうる(血税使ってこのやろう)
やっぱダメなんじゃない?って感じなんですが……
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ここでもう一度ハフポストの記事を振り返ります。
(新聞広告は選挙運動に当たるのではとの指摘に対し)『判断の権限は総務省にはありません。取り締まりを行う警察当局、最終的には司法の場で判断されることになります。』
(選挙運動と政治活動の境目を判断するガイドラインは)『ありません。すべて個別判断になります』
公選法では総務省が握っているように読めるのに、司法に投げてますね。
とすると警察か過去の判例か、ですが。判例は調べ方の検討も付かず…今回の衆院選に伴う公選法違反の捜査は約60件。しかしその内訳は分かりませんでした。無念。
一応選挙運動に当たらない理論を推測してみました。平素からしている広告は政治活動ですので、選挙に際した広告ではない、と。でも「この国を、守り抜く」って衆院選で掲げたキャッチコピーなんですよね。無理あると思います。
んで、誰か訴えてくれないかなあと。
仮に投票日の広告が選挙運動用に無料でできる枠ではなく自民党が自前で出したものだとしても、結局は基本的に政党助成金、つまり税金がもとになっているはずです。(パーティー券等ならそれはそれで…)
新聞広告に限らず、平時から見かける議員のポスターなどあいまいになっている部分はあります。税金の使い道ですから、一度総務省がガイドラインを出すなり司法の判断を仰ぐなりしてほしいものです。