【ヴィンテージ参入1周年】UBルールスコントロール・デッキ調整メモ【前編】
≪2023/12/11追記≫ サイドボードの採用不採用カードの解説として、下記4項目を追記いたしました。
・採用カード解説(サイドボード)
・現在では不採用になったカード解説
・不採用カード解説(サイドボード)
・不採用カード解説(おまけ)
後編はこちら
ご挨拶
皆様こんにちは。関西で活動している無名のしがないPWです。
今年(2023年)のエターナルウィークエンド ヴィンテージでは参加者がまさかの200人越え。(ちなみに戦績は4-3Dropで16位以内にも入れず)
ちなみに半年ほど前の名古屋のヴィンテージリアルイベントも大盛況で予約で即満員という事態のようでした。
何やらヴィンテージ人口増加の機運を感じつつ「このタイミングでヴィンテージに興味を持ってくれた人が増えていたら!」と思いましたが、だがしかし、ヴィンテージ環境はデッキ解説の記事があまりにも少ない。
タイトルにある通り、私は去年末参戦故にまだまだ新参の身なのですが、少ない記事やあまたのデッキリスト、実際のプレイした感覚を元に主に青いフェアデッキの調整を続けた結果、(正しいかどうかはともかく)言語化できそうな所まで辿り着いたので、ヴィンテージ新参の方のデッキ選択や調整・対策、ベテランの方の思考整理の手助けになればと筆を執る次第です。
ただ私は特段何か誇れる成績があるPWではありませんのであくまで参考までにどうぞ。
尚以下はnoteを書いた人物を一応記すという名目での隙あらば自語りのコーナーなので読み飛ばしてもらっても問題ありません。
ウルザスサーガが発売されて間もない頃、当時小学生の自分は一個上の従兄弟から教えてもらいMTGデビュー。
とはいえその時はただ紙束を持っているだけでその内遊ばなりましたが、大人になって色々余裕が出来たので8年程前のイニストラードを覆う影発売の頃に復帰。今の30代PWならよくあるパターンでしょうか。
復帰直後はスタンダードをプレイしていましたが、環境の変化が遅い方が良かったので、当時組みやすかったデスシャドウで半年もしないうちにモダンへ移行、その後モダンはジャンドミッドレンジに心を奪われたのでそのデスシャドウは更にレガシーへ移行。
以後、モダンではジャンド、レガシーでは色々あってシャドウからLandsにデッキを変えMTGをたしなんでおりました。
が、灯争大戦を皮切りに環境…と言うよりカードデザインの方針自体が様変わり。
環境変化が遅い方が良くて降りてきた下環境すら目まぐるしく変化を遂げるようになってしまい、モダンとレガシーひいてはMTG自体に辟易してしまっている所、ふと手元をみると投資()と言いきかせながら買った鑑賞用のパワー9が…。
コレはもう一段階降りるしかない。
というわけで昨年の11月にヴィンテージデビュー。
意外とのめり込んでしまいこの1年はほぼヴィンテージのみに注力し今に至ります。
ちなみにこの一年で握ったデッキは以下の通りです。
「BUG墓荒らし」(たまに4Cレンタク)
→「エスパーティンカー」
→「UBミラーストーム」
→「UBルールスコントロール」
他には、bazaarデッキと白単イニシアチブもサブデッキとして用意しており、主に一人回し対戦をしてサイドボードの研究に使っています。
尚MOはやっておりません。
ヴィンテージ環境
近年のヴィンテージ環境についてはこちらの記事が大変詳しいです。
ご許可いただけたのでリンクで掲載いたします。
詳しさが尋常ではないです。
こういう環境まとめ記事の存在は大変ありがたいですね。
一先ず上記リンクの「ヴィンテージの誘い」の記事さえ読めば、かなり最新の情報に追いつけると思います。
以下も関連する過去記事ですのでリンク掲載してご紹介しておきます。
「指輪物語」以降の新デッキ
リンクの記事で解説されている指輪物語以降で大きな環境変化をもたらしたのは、エルドレインの森収録の《鏡に願いを/Beseech the Mirror》でしょう。このカードの登場によりUBミラーストーム、自身を名に冠するデッキが誕生しました。
UBミラーストームはその名の通り《鏡に願いを/Beseech the Mirror》を主軸としたストームコンボデッキです。
このデッキの最大値は《暗黒の儀式/Dark Ritual》から《鏡に願いを/Beseech the Mirror》を連打。
(デッキ内の鏡を場の協約コスト枚数分だけ唱えられます)
そして協約の切れ目 or 4枚の鏡を唱えた後に《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》。
そして墓地にたまった主な協約コストである0マナのマナファクト達を再度キャストする事で更にストームカウントとマナを獲得し、再び墓地の≪暗黒の儀式/Dark Ritual》からの《鏡に願いを/Beseech the Mirror》。
(鏡からはデッキ内の《暗黒の儀式/Dark Ritual》を唱える事で、墓地の鏡を複数枚唱える事も可能です)
最後はデッキ内の《苦悶の触手/Tendrils of Agony》を鏡からキャストしてフィニッシュです。
1枚コンボとはいかないもののその速度と再現性は非常に高レベルで、概ね3枚詰まれている《狼狽の嵐/Flusterstorm》から《意志の力/Force of Will》1枚程度の妨害なら容易に乗り越えます。
また《ウルザの物語/Urza's Saga》搭載デッキなので構築物トークン戦略が自動的に備わっています。
そしてこのデッキも《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章と相性が非常に良く、特にコンボの道中である《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》後に必要となる黒マナ源のマナファクト(《Black Lotus》と《Mox Jet》)へ簡単にアクセスしてくれます。
しかも構築物トークンという別の勝利手段を用意しつつです。
そして何よりこのデッキはストームコンボと名を冠しながら勝利手段が非常に多いのも特徴。
前述の構築物トークンもそうですが、レガシーのANTの様に《苦悶の触手/Tendrils of Agony》一直線になるのは実は稀で、鏡でアクセスするカードには…
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》
《修繕/Tinker》を経由した《ボーラスの城塞/Bolas's Citadel》
《Time Vault》(もしくは《多用途の鍵/Manifold Key》)
《一つの指輪/The One Ring》(唱えるのでプロテクションも得ます)
《ネクロポーテンス/Necropotence》(基本的にはボ城や指輪で良いが)
と非常に多彩です。
特に《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》は、常に一定の使用者が存在する《Bazaar of Baghdad》デッキや相手の《一つの指輪/The One Ring》を強烈にけん制する為、メタゲームに合致したカードですね。
私自身もこのデッキは握って回しました。
今回はUBルールスを語るnoteなのでこのデッキの詳細は語りませんが、非常に強いデッキの一つと言えるでしょう。
またこのデッキは速度で「オース」に、シェオルの早期着地で「ジュエルショップ」にも強く出られる為、特にMOでは一時期かなりの勢力になっていたように思います。
またこの辺りで、MUD系の主だった「ジュエルショップ」という構築は、防御力の低さが露呈してしまい完全になりをひそめた形になるでしょうか。
※この辺りの環境変移は諸説ありそうです。私はMOをやっていないのでより詳しい方の解説が欲しいですね。
受けるデッキ視点でみた環境
前述の通り環境に新しいデッキが誕生しつつも、要約するとヴィンテージ環境の中心は《ウルザの物語/Urza's Saga》である事はずっと変わらず。
例えば受けるデッキの代表格、墓荒らし(BUGミッドレンジ)。
フェアデッキが大好きな私は、昨年末のデビューから半年以上墓荒らしを使っておりましたが、緑のカード《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》と《活性の力/Force of Vigor》はずっと環境に刺さっているものの、試合の流れは大体の場合、討ち漏らした(主に2枚目の)《ウルザの物語/Urza's Saga》の構築物トークン1体に蹂躙され敗北しがちなデッキでした。
二章の構築物トークンは、リソースの交換を続けていく合間に「無料で生み出されるタルモゴイフ級の生物」であり、フェアデッキがその無料分の生物で敗北するのは自明の理ですが、《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》という強烈なヘイトベアを立てても尚勝たないのは中々辛いものがあります。
メタゲーム的に緑のカードは強いものの、《ウルザの物語/Urza's Saga》のマナファクトを絡めて2ターン目に構築物を出したい二章、ほぞを設置する三章のどちらともと《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》がケンカしてしまう為、同じデッキでの共存は困難。
しかし緑のカードを優先しても《ウルザの物語/Urza's Saga》に勝たない。
総じて《ウルザの物語/Urza's Saga》を使わないフェアデッキでは勝ち上がるのは難しいという環境の中で…
色を絞り《不毛の大地/Wasteland》と《ウルザの物語/Urza's Saga》の両方を使うという構築。
「UBミラーストーム」の存在から青1マナを立てたままにする事の重要性の高まり。
「白単イニシアチブ」の存在からボードコントロールも以前として重要。
指輪等のドローをけん制する《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》や、「白単イニシアチブ」への対抗カードが豊富な黒いカードの価値も向上。
そんな思想と環境の影響の元、環境への最適解として生まれ台頭したのがUBルールスコントロールです。
※生まれについても諸説ありそうです。私はMOをやっていないので(ry
UBルールスコントロール
サンプルリストと概要
一見では何でどう勝つつもりなのかサッパリわからないと思います。私も正直初見ではサッパリわかりませんでした。
「強そうなデッキに見えない」という感想が正確でしょうか。
このデッキは、《意志の力/Force of Will》と青のソフトカウンター《呪文貫き/Spell Pierce》や《狼狽の嵐/Flusterstorm》を構え(もしくは構えたふりを)続け、インスタントタイミングで出る生物2種《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》及び《ウルザの物語/Urza's Saga》二章の構築物トークンで相手のライフを削るクロックパーミッション寄りのコントロールデッキです。
基本的にはコントロールらしく土地を並べるだけのドローゴーを続けます。
実際はブラフであろうが、基本的には最低でも青1マナが立っている状態を維持した方が良い気がします。
その後、相手の脅威を打ち消しつつ青が立っている状態を維持しながら相棒の《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を回収し(大体の場合は次のターンに)唱え、更に墓地の《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》を毎ターン唱えることで、相手のライブラリートップの情報(リソースが切れた相手なら実質手札を常に覗いている状態)と追加の1ドローを得てゲームに蓋をします。
他の勝ち手段としては、稀ですが《Time Vault》を引いた時だけ《多用途の鍵/Manifold Key》をサーガの三章からサーチして無限ターンに入れます。
またもう一つ、必殺技として《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》と《Timetwister》のコンボがあります。
相手の場にクリーチャーがいなければ、相手のエンドに《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》で本体1点 → 続く自ターンに《Timetwister》で火力7点が誘発、その後8/8トークン+1/1オーク本体の攻撃で計17点のダメージまで見えます。
ただし相手も《Timetwister》で7枚のカードを引くことになるので、その中に除去があれば少なくとも8/8トークンの攻撃は止まり総ダメージは大きく減少します。
また《Timetwister》の性質上、自分の手札に何がくるのかも事前にはわかりません。
"勝ち手段"としての《Timetwister》は、相手のライフを7点削れば勝利というときに唱えるケースが多いかと思います。
ちなみに《Timetwister》と《Time Vault》は、《悪魔の教示者/Demonic Tutor》を加味しても各2枚体制なのであまり決まりませんし、能動的に決めにもいけない事は留意すべきです。
結局のところ、ほぼ全ての試合で《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》をいち早く定着させゲームに蓋をする事を目指します。
このデッキの《ウルザの物語/Urza's Saga》
当たり前ですが、基本的には次のターンで二章の構築物トークンが作成可能なタイミングで設置します。
1ターン目のMox+サーガスタートも、次のターンに土地を追加すれば構築物トークンを作成できるので強い展開の一つですが、UBルールスの場合だと、1ターン目は素直に青マナを立ててエンドした方が良い事が多いと思います。
《呪文貫き/Spell Pierce》や《狼狽の嵐/Flusterstorm》は常に臭わせた方が良いでしょう。
また三章のサーチ先は、差し迫って盤面処理に追われていなければ、《Black Lotus》か《太陽の指輪/Sol Ring》が多いです。
理由は、目指すべき《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》の回収及び着地には合計6マナが必要になる為です。
特に《Black Lotus》はこれ一枚でルールス本体を唱えるコストになり、着地後すぐに墓地から《Black Lotus》を戻せばそのままマナも構えられる為、非常に強い動きです。
またこのデッキは、5マナまで伸ばせば《意志の力/Force of Will》や《ロリアンの発見/Lórien Revealed》を素で唱えられるようになるため、目指すべきマナの目標値となります。
出来る限りマナは伸ばしましょう。
誕生とメタゲームの変移
「UBミラーストーム」に特段有利とまではいかないものの、(その当時の)環境に存在するデッキなら大体受けきれる(と言うか受けきれる構築が出来たので生まれた)為、「UBルールス」もまたMOでは一時期非常に数を増やしていたと思います。
またその結果、増えた「UBルールス」に対して「オース」や「MUD」が有利に戦える為、メタゲームに動きが生まれました。
結果として、線が細くメタゲームの合間を縫った産物でしかないこのデッキはMOではすぐに使用者数を減らし、完成度が高まっており白チブには構造上から有利な「オース」と、ジュエルショップから青色が濃くなり「ティンカー」と「MUD」の融合のような「リングショップ」を筆頭とする2023年11月現在のメタゲームになったものと思います。
※これも諸説あ(ry
UBルールスとMUDの相性差
ちなみにサンプルリストのデッキは割とメジャーなテンプレ構築ではあるものの、現在のメタゲームに合っていないと考えています。
シンプルに現在のメタゲームの頂点、「オース」と「リングショップ」…基い「MUD」に不利だからです。
「オース」はまだ手札の噛み合い次第でなんとかなる時がありますが、「MUD」はどの型であろうと、一昔前のモダンで言う「ジャンド」vs「緑トロン」のような、使えるマナと唱えられるカードのパワーが違いすぎて《意志の力/Force of Will》で初動を止めた程度ではどうにもならないマッチアップです。
特にUBルールス側のキルターンが遅い上に、《不毛の大地/Wasteland》は《ウルザの物語/Urza's Saga》に当てる都合上《Mishra's Workshop》が場に残りやすく、ゲーム中盤もドローの受けが広いままなので相手のトップデッキへの対応が追い付きません。
また仮に《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》までたどり着いても、このカードがゲームの蓋になりづらいのも問題です。
《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》で《意志の力/Force of Will》ばかり引ければよいですが、流石にそれは現実的ではなく…。
そして、そもそも対MUDは《呪文貫き/Spell Pierce》と《狼狽の嵐/Flusterstorm》の両方が役に立ちづらい為、多少ドローを進めた所で手札が堅牢にならず相手のマストカウンターを討ち漏らすケースが多いです。
また《一つの指輪/The One Ring》に対する《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》もかなり微妙な性能で、当然ですがまずプロテクションを得たターンにはオークのダメージはプレイヤーへ飛ばせません。
重要なのは翌ターンの2回目の起動へオークを合わせることですが、この時点ではETB込みでも3点しか飛ばず、よほどライフが詰まっていない限りドローしたカードでなんとかされてしまいがちです。
総じて、対MUDは勝つまでのハードルが多くしかも高い為、イマイチ勝つビジョンが見えないというのが正直な感想で、実際に某所の大型大会では同じ方のリングショップだけに2回敗北した事でSE1回戦止まりとなりました。
調整後のルールスコントロール
なぜUBルールスを握るのか
私は受けるデッキを握る事で生を実感する人間です。相手のカードを捌くことで快感を得、逆に強いカードを押し付けて通しても快感が得られません。
そこで最も受けが広そうなフェアデッキであるUBルールスコントロールを握りました。ただそれだけです。
コントロールなので、採用カードを変えて環境に付いていくタイプであり、現在の環境でも(一昔前のテンプレから採用カードを調整すれば)特段弱くもないです。
それでもアーキタイプとしての知名度は高く、デッキとしては(戦術面含め)メタられてしまっている側のデッキだとは思います。
環境を考え「コレが最も勝てるデッキ」だと思って選択していないという点は強調しておきたいと思います。
2023年末時点のデッキリスト
2023年末の愛知で行われたエターナルウィークエンドに持ち込んだデッキリストです。
私は、受けるデッキの構築上の至上命題を「最初の3ターンを生き抜く」としているので
後半戦用のカード
余分に"青マナ"を消費するカード
初手キープの判断基準を阻害するカード
を抜いて、対応力と序盤に輝くカード重視で調整した内容になります。
また当初の思想では色を絞ったデッキなのですが、白が足されました。
細かな採用カードについては別途個別に解説しますが、まずは白を足す事の意味合いについて説明します。
白を足す理由その1
一番の理由は、ルールスで使いまわせるディッチャ《浄化の印章/Seal of Cleansing》の採用です。
このカードがデッキに加わる事で、対MUD戦で打ち消さなくても良いアーティファクトを選別するケースが生まれました。
また《ウルザの物語/Urza's Saga》をこのカードに任せ、《不毛の大地/Wasteland》を《Mishra's Workshop》へ当てる選択肢も生み出せます。
そして何より《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》で使いまわす事で、ルールスの蓋としての性能が飛躍的に向上する事も大きいです。
また一応ですが、メタゲーム最上位の「オース」に対しても、完璧ではないものの対策カードになります。
その他にも、細かい所ではbazaarデッキの《虚ろな者/Hollow One》も対象に取れます。
そもそも環境に溢れかえった《ウルザの物語/Urza's Saga》に当たるので、メインでの採用に疑問はないかと思います。
尚、緑にも《原基の印章/Seal of Primordium》という色違いのカードがありますが、《Underground Sea》の代わりに《Tundra》をフェッチしてもルールスのダブルシンボルの捻出を損なわない他、次の項のカードの存在により白いカードに軍配が上がります。
白を足す理由その2
サイドボードの《封じ込める僧侶/Containment Priest》です。
「リングショップ」ともう一つ、環境トップを走るデッキ「オース」は現在、《実物提示教育/Show and Tell》や《閃光/Flash》まで採用し、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》以外でも《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》の降臨を試みる型が主流です。
そして、どのパターンが来ても裏目なく対処が可能なのがこのカードというわけです。
またbazaarデッキの内、ドレッジにも大変有効です。
(ヴァイン型は唱えて着地する生物が多いのでさほど効果がありません)
シンプルなヘイトベアなのでこれ以上説明することはありませんが、サイドボードに3枚採用している事についてここで触れておきます。
例えば《剣を鍬に/Swords to Plowshares》は不採用です。
理由は単純で、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》と他の黒いの除去を同時に取るのはマナトラブルの元になるからです。
フェッチする土地を迷ったり裏目を作らないよう、本流の色である黒いカードに集約した方が良いという理屈ですね。
概ね似たような理由でディッチャ以外の白いカードはどれも不採用です。
ただ《封じ込める僧侶/Containment Priest》の場合、対「オース」においてはメインデッキの《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》と完全に入れ替える事でサイドボーディングが完了できます。
するとデッキに黒いカードがほとんどなくなり、《Tundra》を優先的にフェッチしてもマナトラブルが少ない為、3枚という枚数の採用になっています。
UWではなくタッチ白である理由
UWルールスコントロールは少数ながら存在しています。
構築上で、UWとUBの大きな違いは《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》と《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》です。
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》はアグロ型以外の「MUD」や「UBミラーストーム」に劇的に刺さり、数々のイージーウィンを作り出す優秀なヘイトベアです。
現環境でオークとラヴィニアのどちらを場に立てたいかと言われたら、間違いなくラヴィニアに軍配は上がります。
同じ2マナ生物を比べているのですが、ただここで注意点が一つ。
ヴィンテージ環境に置いて、同じ2マナでもダブルシンボルとシングルシンボルでは1ターン目に唱えられる確率は劇的に違います。
ヴィンテージと言えど1ターンに置ける土地は1枚なので、例えばラヴィニアは、都合よく《Mox Sapphire》か《Mox Pearl》(もしくは《Black Lotus》)が初手に来ていない限り、他のMoxでは1ターン目には唱える事ができません。
対してシングルシンボルの2マナは、土地さえあれば他はどのMoxでも問題がなく、また《Black Lotus》単体でも唱える事が可能です。
そしてこのUWと言うデッキ、逆立ちしても「白単イニシアチブ」に勝てません。
まず《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》の不在により、相手の《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》キープを肯定します。
このサリアキープの肯定と言うのが実にもどかしく、UBに対してサリアキープをするとオークで返された時が大変なので、(特に後攻では)そもそもサイドアウトしがち、もしくはメインに残していても信頼性が低い為相手のキープ基準のハードルを上げます。
また横並びする《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》は、時にチャンプアタックでイニシアチブを奪取する展開を生み出しますが、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》はほぼ何もしません。
また《剣を鍬に/Swords to Plowshares》4枚以外に採用可能な丁度いい感じの除去が存在せず、サイドボードで大きくガードをあげれないのも向かい風です。(どうしても取るなら《四肢切断/Dismember》くらいでしょうか)
「白単イニシアチブ」は環境には多く存在する強いデッキであり、ここへのガードを著しく下げてまでUWに特化し、MUDやオースとの相性を大きく改善させる必要性を感じません。
何より《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》は相手の《意志の力/Force of Will》を封じ込める特性上、自分の強力なカードを通すときにも輝くカードです。
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》を使いたいと強く思うなら、「エスパーティンカー」のような能動的な呪文も持ち合わせたデッキでプレイするべきでしょう。
採用カード解説(メインボード)
本当は75枚全ての解説をしたいのですが長くなりすぎる為、役割がはっきりしているようなカードの説明は省き、テンプレートから外れている部分を中心に解説します。
《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》
ライブラリートップを確認しつつスロートリップするほぞ。
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》で使いまわす事でカードアドバンテージを稼ぎます。
尚このカード自体は上の環境等でも多く採用されているカードなのでTips的な解説は今回割愛します。
今回解説したいのは「果たしてUBルールスに4枚必要なのか」についてです。
私のデッキリストでは常に2枚の採用としています。
これはタッチ白した事と関係しません。純正UBでも2枚です。
青くない。
初手キープ基準にならないどころか邪魔。(このカードが土地になるのかスペルになるのかわからない)
1ゲーム中に2枚以上は絶対にいらない。
《Black Lotus》等、ルールスで墓地から唱えられる強いカードは他にもある。
切羽詰まった状況でガラクタをトップデッキした場合、スロートリップ故にターンスキップと同義になる事がある。
等が主な理由になります。
特に切羽詰まった状況のトップデッキについては、ガラクタ4枚採用だと非常に起こりやすく、また敗北に直結します。
インスタントタイミングで動くデッキである事を加味しても、スロートリップでは引いた土地(特にサーガや不毛)をすぐ置けない等のデメリットが重くのしかかります。
またそもそも1ゲーム中で2枚以上引くことに何一つメリットがない反面、ガラクタが墓地にないとルールスが弱いなんてことは全くないです。
以上のことから「ガラクタ4枚採用」は弱い構築だと考えています。
シナジーがなければ、本来は採用の検討すらされないカードです。
「このカード単体では "弱い" かつ "役割もない"」という点は強く意識すべきでしょう。
《退去の印章/Seal of Removal》
ルールスで使いまわせる、クリーチャー1体をバウンスするエンチャント。
なお構築物トークンなら結果的に破壊。しかも青い。
テンプレート構築によくある、メインに1枚だけ取られている《致命的な一押し/Fatal Push》。
このカードが概ね上位互換です。
全体的に非常に使い勝手がよく、また戦闘をするデッキ相手にルールスが蓋要素として強く機能する点が見逃せません。
何より(ターンはかかりますが)ルールスとの組み合わせで構築物トークンを一掃可能なのが、ゲームメイクに新しい選択肢を生み出します。
また対「オース」でアトラクサが降臨したからといって安易に投了しないのもこのカードのお陰です。意外なほど粘り強く戦えます。
コンバットするゲームで強い反面、《修繕/Tinker》や《一つの指輪/The One Ring》等のスペルや置物をめぐるゲームでは無力なので、2枚以上の採用は不要でしょう。
《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
メインに1枚採用しています。
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》で使いまわせる、ドローが付いたカードです。
《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》はスロートリップであることと、単体で役割もない点がマイナス評価でした。
しかしこのカードは墓地掃除という役割を持っている為、《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章の選択肢が広がります。
また墓地掃除の役割が不要でも、ルールス定着以降は計2マナで毎ターンドローに変換可能です。
コレは個人的な感覚ですが、ルールスで使いまわすドローカードはメインに3枚がベストだと考えています。
ガラクタ3枚でも構わないのですが、私はスロートリップの評価が非常に低いのと、デッキのカードにはなるべく役割を持たせたいので、こちらへ1枚散らした形となります。
なおサイドボードの墓地対策を1枚減らせることも採用理由の一つです。
1点、ドローにマナがかかることは大きなデメリットで、「このカードがガラクタだったらなぁ」は、主に初手に来た際に正直起こります。
ですが、その分ちゃんと墓地対策としての噛み合いも見せてくれますし、初手以外では特段ガラクタならよかったという事態も起きていませんので、メイン採用で今の所私は満足しています。
ですが単なる経験則ですので、ガラクタから散らした結果デッキが本当に強くなっているのかは諸説ありそうです。
ちなみに、選択肢としては《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》も存在します。
ETBでの1枚追放には一定の魅力があるものの、「追放とドローを同時に出来ない」のと「対象を取らない事も(現環境では)あまり関係ない」事から《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》に軍配が上がりました。
《真髄の針/Pithing Needle》
こちらもメインから1枚採用。
テンプレート構築の場合、サイドボードにのみ2枚取られているというケースがほとんどです。
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》とのシナジーもありませんので、必要なときだけサイドインするという構築は一理あります。
が、ヴィンテージ環境において、縛る対象は非常に多いです。
特に《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章を経由し設置する動きは非常に強力で、盤面の脅威に対して最も効率的な解答になりえます。
というより、このカードがデッキに存在していないと《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章が大きく弱体化しているとすら言えます。
刺す対象は枚挙にいとまがないですが、特に「オース」や「墓荒らし」「4Cレンタク」等の繰り出すプレインズウォーカーは、このデッキが苦手とするカード群です。
そこに打ち消し以外の解答がデッキにあるのは非常に頼もしい限りです。
その他にも、《Bazaar of Baghdad》に対する針はイージーウィンを作り出し、ディッチャでは破壊不能でオークでも今一つけん制しきれない《一つの指輪/The One Ring》も沈黙させられます。
また、《ウルザの物語/Urza's Saga》を刺すのはこちらも採用しているカードなので不思議かもしれませんが、例えば《ウルザの物語/Urza's Saga》の設置が先行している場合、こちらが構築物トークンを出した後、相手の構築物トークンの生成だけ三章で止めるプレイングは結構な頻度で起きます。
サイドボードの節約も兼ねており、また一般的な構築の4枚目のガラクタよりは強い場面が多いと思います。
総じて腐りにくい為、メインからでも問題は少ないと考えての採用になります。
逆にサイドから追加の1枚を入れたいマッチアップが対bazaarデッキくらいしかなかったので、サイドボードには取っていません。
《聖戦士の奇襲兵/Cathar Commando》
2枚目の《浄化の印章/Seal of Cleansing》兼追加の瞬速クロックです。
《浄化の印章/Seal of Cleansing》と違いディッチャが不要な盤面では3点のクロックになります。
ただしディッチャとして使用するには追加で1マナが必要です。
…正直、微妙なカードです。
相手のMox等を割ってディッチャとなるかクロックとして残すのか、なんとも正解の出づらい選択肢を無駄に生みだし無駄に悩んでしまうケースも多く、また急いで置物を破壊したいときには追加の1マナが重い足枷となります。
今にして思えば、この追加の1マナは「最初の3ターンを生き抜く」の至上命題ともやや反していますね…。
大人しく2枚目の《浄化の印章/Seal of Cleansing》とするか、お守り程度に《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》にするか、或いは、後述するギリギリ不採用となったカード群、例えば《宝船の巡航/Treasure Cruise》なんかと入れ替えても良いかもしれません。
《目くらまし/Daze》
追加のソフトカウンターです。
《目くらまし/Daze》を採用する事で一般的なリストよりカウンターが1枚多くなっています。
追加の要求は1マナと少ないですが、青マナを立てなくてよい点、クリーチャーをカウンターできる点で《呪文貫き/Spell Pierce》や《狼狽の嵐/Flusterstorm》より優れます。
特にクリーチャーに対して《意志の力/Force of Will》以外でカウンターできるのは非常に便利で、特に白単イニシアチブにも役割を持てます。
またヴィンテージではこのカードの採用率が全体的に低い為、レガシーのような対デルバーのDazeケアという文化もなく、相手からすると意識外から飛んできがちなのも追い風です。
(こうやって記事を書く事でこの点は薄れる可能性がありますが、所詮1/60枚のカードなのでやはりDazeケアしても得は少ないでしょう)
1枚差しておけば、カウンター合戦の最後の1枚になったり何かと細かな所でいぶし銀の働きをするので、大変気に入っているカードです。
どうしても相手の先攻1ターン目に備えたい場合は、3枚目の《否定の力/Force of Negation》が入れ替え候補でしょうか。
《ロリアンの発見/Lórien Revealed》
テンプレート構築でも4枚、私の構築も4枚なので変化はありませんが、必ず4枚採用する枠でもない気がするので一応記します。
土地枠なのに青いカードであり、またこのデッキはマナを伸ばすので5マナで唱える機会も非常に多いです。1~2枚しか採用しないという選択肢は流石に存在しない気がします。
私の構築では《宝船の巡航/Treasure Cruise》を採用していないのもあって、土地枠でのドローのモードの価値を高く評価して4枚採用としていますし、そうでなくても概ね4枚で良いと私は考えますが、実質タップインによるテンポロスはバカにならないのでロリアン1枚を4枚目のフェッチランドと入れ替える選択肢はあると思います。
デッキ内のブルーカウントを考慮した上で、入れ替えは検討してよいでしょう。
《Tundra》
タッチ白するにあたり、1枚のみの採用です。
採用している白いカードは全て2マナなので、できれば2ターン目に白マナが一枚欲しいという事になります。
白マナ源になるのは下記の合計10枚です。
《Mox Pearl》 1枚
《Tundra》 1枚
フェッチランド 3枚
《ロリアンの発見/Lórien Revealed》 4枚
《Black Lotus》 1枚
「2ターン目に該当カードが安定して1枚は欲しい」の搭載目安が12枚である事を考えると気持ち足りていません。
過去、マナトラブル(主に白が出ない事によるテンポロス)がなかったわけではありませんが、毎ゲーム《Tundra》が欲しいわけでもありません。
また打消しを沢山搭載していることもあり、ターンを長引かせる事は得意なデッキなので、引いたディッチャは《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章で白マナ源(《Mox Pearl》と《Black Lotus》)をサーチして使うという選択肢も取れます。
更に、2枚目の《Tundra》を採用する場合は、概ね(既に1枚に減らされた)《島/Island》との交換となります。
《島/Island》は75枚中最弱のカード筆頭ですが…
《不毛の大地/Wasteland》を躱しつつマナを伸ばす
《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》下でテンポロスしない
イニシアチブ地下街の<秘密の入り口>効果を無駄にしない
など、基本土地0枚と1枚には大きな隔たりがあります。
以上の経緯で、《Tundra》は1枚のみの採用です。
不採用カード解説(メインボード)
《宝船の巡航/Treasure Cruise》
ゲーム後半戦で引きたく、初手のキープ基準にならないリソース補充カード。
この「キープ基準にならない」のが私の中で非常に評価を下げており、調整の至上命題も「最初の3ターンを生き抜く」なので、そこと合致しません。
また序盤に《時を越えた探索/Dig Through Time》や《Timetwister》辺りと重ね引くと敗北濃厚です。
以上のことから現在は不採用となりました。
今回のように、もしどちらか片方のみを採用する場合は、《時を越えた探索/Dig Through Time》を優先するべきだと思います。
《宝船の巡航/Treasure Cruise》は最大青1マナで唱えられますが、それを差し引いても、「7枚から2枚」の方が「上から3枚」よりも圧倒的に強くゲームに勝ちやすいです。
なによりサイドインしたカードへアクセスできる可能性が段違いです。
この終盤戦のカードである探査カード2種に求められるのは、単なるリソース補充というよりゲームの蓋としての機能が求められている事を考えると尚の事でしょう。
ちなみにこれはUBルールスだけの話ではなく、墓荒らし等のフェアデッキでも同じだと考えています。
ちなみに、いつでもメインデッキへの復帰はあり得るカードです。
探査で7マナ全てを捻出できずとも、少なくとも《ロリアンの発見/Lórien Revealed》よりは少ないマナで唱えられます。
リソース補充の為に頻繁に唱えるものの、《ロリアンの発見/Lórien Revealed》はその重さからそのターンを犠牲にしているので、後半にこのカードを引けていた場合とのゲーム展開は雲泥の差ですね。
コントロールデッキですし、強力なリソース補充カードが《時を越えた探索/Dig Through Time》の他もう1枚あっても自然なようには思います。
私の中でもずっと採用不採用のはざまを揺れ動いているカードなので明日には復帰しているかもしれません。
《渦まく知識/Brainstorm》
確固たる意志での不採用です。
ライブラリーをシャッフルできない《渦まく知識/Brainstorm》があまり強くないのは言わずもがなかと思います。
そしてこのデッキは、ライブラリーを簡単にはシャッフルできません。
正確にはシャッフル手段がフェッチ3枚・ロリアン4枚なので、シャッフルにマナがかかるケースが多いです。
またこれ自体を唱える青1マナの捻出も意外と大変です。
比較的隙のない方法である相手のエンドフェイズに唱える動きは、すぐさまシャッフルできない場合だとライブラリーに隠せるカードが1枚だけになるので弱い唱え方です。
ブレスト用の青の土地の横に、3枚しかないフェッチを並べられていれば良いですが、計2マナ消費してロリアンサイクリング込みで唱えなければうまくシャッフルできないケースも多く、《呪文貫き/Spell Pierce》や《狼狽の嵐/Flusterstorm》の事も考えると更に青マナが必要になります。
また序盤の《渦まく知識/Brainstorm》は《ウルザの物語/Urza's Saga》の構築物トークンの生成とも噛み合わないタイミングも多いです。
特にMoxのマナファクトは構築物トークン生成で消費したい都合上、ロリアン等のシャッフル手段も非常に用意しづらくなります。
序盤では「手札を整える」目的では何かと使用しづらい上に、制限カード故に中盤~後半も「ブレストの為にシャッフル手段を敢えて置いておく」等といったプレイングもほとんどありません。
というより《ウルザの物語/Urza's Saga》や《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》というマナの消費先がある以上、マナもかつかつなのでロリアンはテンポ重視でサイクリングしますし、フェッチも概ねすぐに起動します。
今のヴィンテージは特にですが、サイドボーディング込みで「手札を整える」必要がない構築と戦いをするべきでしょう。
「最初の3ターンを生き残る」為の手助けとしての役割でみた場合、マナ消費量の問題から信頼性が足りず、またそもそも制限カード故に再現性もありません。
素直にキープ基準で判断するべきです。
感覚的にはなりますが私の実体験的としても、このデッキの《渦まく知識/Brainstorm》は手札に来ても今一つ良い動きをした事がありません。
何かとすごくギクシャクします。
今の所、ブレストが恋しくなってもいないですし、デッキ内のブルーカウントも間に合ってますので、抜いて正解だと思っています。
ちなみに、どうしても手札の質を高めるカードが欲しい方は、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》の採用も並行して検討してみても良いかもしれません。
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
《通りの悪霊/Street Wraith》が青くなり相手の手札も確認できるというトンデモカード。
殺傷力の高いカードがあふれるヴィンテージで、相手の手札を確認するという事は勝利に直結します。当然制限カードです。
…が、それは殺傷力の高いカードがデッキに入っている場合の話。
例えば「ドゥームスディ」や「エスパーティンカー」「UBミラーストーム」等が唱えるこのカードは、どんな場面でも大体強力なのでデッキから抜けることはないでしょう。
一方、受けるデッキが使用した場合はどうでしょうか。
受けるデッキでも、相手の手札を確認する行為に意味がないわけではありません。
例えば、《呪文貫き/Spell Pierce》や《意志の力/Force of Will》の使いどころを完璧なものにし、ゲーム1では相手のアーキタイプの確認もできます。
ですが、先攻1ターン目でもない限り(相手がある程度手札を掃いてしまった後では)、残りの手札を確認した所で積極的に通すべき強力な呪文がこちらにあるわけでもなく…。
受けるデッキでは「手札をただ見ただけ」という展開も頻発します。
とはいえ、受けるデッキ視点で見るこのカードの評価としても、先攻1ターン目等で強く使えた場合はそれなりに効果を発揮する一方で、中盤以降にトップデッキした場合でも単なるキャントリップとして消費すれば良いので入れ得カード。
…という感じでしょう。
ですが中盤以降トップデッキした場合でも本当に問題のないカードでしょうか?
現在のヴィンテージ環境には、《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》《船殻破り/Hullbreacher》等がそれなりの数で存在しており、雑なキャントリップスペルすら咎められる事も多いです。
一つ事実として、最近は《思案/Ponder》の採用が減少傾向にあります。
また「bazaarデッキ」や「白チブ」相手だとライフペイもかなりの重荷な上、手札を見る行為もほぼ意味がありません。
また《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》は、先攻1ターン目で特に強いという特性を持ちながら、このカード自体はキープ基準になんら関与しません。
残りの6枚で手札がそれなりに整っており、尚且つその手札が選択肢を有する場合に輝きますが、相手の手札を見たところでこちらの手札に選択肢がなければ、先攻1ターン目ですらさして効果を発揮しないのです。
前述の通り、中盤以降はただのキャントリップとして消費できるかどうかすらやや怪しく、構築物トークンが蔓延る環境である事も考えれば大半のデッキ相手にライフペイすら重荷になりがち…。
「UBルールス」や「墓荒らし」等の受けるデッキにとってのこのカードは、強いタイミングがあまりにも限られている上、最近の環境はキャントリップとして消費する事すらリスクが高まりました。
そもそも制限カードですので採用した所で引かずに終わるゲームがほとんどです。
そして特段キープ基準にもなりません。
だったらキープ基準になり得るカードを押しのけてまで採用する必要性を感じないので、私は不採用としています。
多分、今後もUBルールスで採用しそうにもありません。
《もみ消し/Stifle》
採用したりすぐデッキから抜いたりを繰り返しているカードです。
《ウルザの物語/Urza's Saga》の章能力をカウンターして、例えばマナが出ない土地にしたり、構築物を作れなかったり、ほぞサーチが出来なかったり。
《不毛の大地/Wasteland》を躱したり、《ロリアンの発見/Lórien Revealed》サイクリングやフェッチランドをカウンターして相手の土地を縛ったり。
「イニシアチブを得るETB」を消して、ゲームを遅らせてみたり。
《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》のETBを消してみたり。
《苦悶の触手/Tendrils of Agony》のストームキーワードをカウンターして完勝したり。
当てどころについては枚挙にいとまがないカードで、腐ることは意外とありません。
…が、「それが今の状況で必要な解答」になったかどうかは別の話。
このカードを唱えるだけなら比較的簡単だと思いますが、有意義な1:1交換が出来たかという点でかなり安定性に欠けます。
選択肢の多い手札でコレも1枚あれば当然強いのですが、コレ1枚だけ構えていても安心材料には全くならず、なんとも評価の難しいカードです。
弱くはないが、強くもないような…いやでも実は意外と強いような…。
《呪文貫き/Spell Pierce》や《狼狽の嵐/Flusterstorm》も(特に後半になるにつれ)掃くのに苦労するケースもあり、また(たまに腐りそうな)この手の追加のカウンターは《目くらまし/Daze》を採用している為、《もみ消し/Stifle》は今の所不採用としています。
強く使えた時が妙に気持ちいいので評価が歪みがちであり、落とし穴の多いカードかと思います。
採用圏外とまでは言えませんが、特に大型大会での採用は慎重になった方が良いでしょう。
採用カード解説(サイドボード)
≪2023年12月11日追記≫
サイドボードの解説は別記事にする予定でしたが、この記事にまとまっている方が後々見やすいかと思いましたので追記いたします。
-------≪追記ここから≫-------
《封じ込める僧侶/Containment Priest》
『白を足す理由その2』で解説しましたので割愛いたします。
要するに対「オース」の《実物提示教育/Show and Tell》や《閃光/Flash》、そして《ドルイドの誓い/Oath of Druids》全てに対抗できるカードです。
【クリーチャー除去について】
主に対白単イニシアチブを見据えたサイドボードです。
非常に重要な枠です。
UBルールスの対白チブは、ソフトカウンターやFoNと入れ替える形で除去をサイドボーディングするのがキレイなので、除去が5枚より少ないのはありえないかと思います。
当然理想としては6枚欲しいのですが、枠をひねり出せなかった為やむなく5枚体制としています。
が、対白チブは単体除去が早期に2枚欲しい都合上、やはりあまりにもガードが下がっている気がします。
正直、明日には除去6枚体制になっているかもしれません。
現在の構成は下記の通りです。
《致命的な一押し/Fatal Push》 2枚
《霊魂奪取/Soul Rend》 2枚
《殺し/Snuff Out》 1枚
順番に解説します。
《致命的な一押し/Fatal Push》
シンプルな1マナの除去です。紛争達成で「白単イニシアチブ」主力クリーチャーのほぼ全てを討ち取れます。
その他にも…
《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》
《船殻破り/Hullbreacher》
《ウルザの物語/Urza's Saga》二章の構築物トークン
《継ぎ接ぎ自動機械/Patchwork Automaton》
《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
《磁石のゴーレム/Lodestone Golem》
etc…
環境に存在するクリーチャーの大半を消すことが可能な1マナ除去です。
2~3枚の採用が一般的であり、それで問題ないかと思います。
1マナという軽さは大正義ですね。
紛争の達成についての主な手段は…
フェッチを切る(モダンレガシーでは最も一般的でしょう)
《不毛の大地/Wasteland》
《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》
《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章解決後
ルールスとシナジーするカード群(《退去の印章/Seal of Removal》等)
辺りでしょうか。
デッキとして紛争の達成が難しいと言うほどでもありませんが、一番シンプルな達成手段であるフェッチは3枚しかありません。
特に対「白単イニシアチブ」では、《致命的な一押し/Fatal Push》がその瞬間手札にはなくとも、紛争達成手段のケアはある程度した方が良いでしょう。
また、タッチ白のデッキですが、同じ1マナ除去で概ね上位互換の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》は不採用です。
『白を足す理由その2』でも触れましたが、除去は全て黒いカードに集約し余計なマナトラブルを防ぐ為です。
白マナ源が10枚のデッキで採用すると絶対に後悔しますので、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》単体のカードパワーに誘惑されない強い精神力を持ちましょう。
ちなみに、黒1マナの除去には《切り崩し/Cut Down》もあります。
ヘイトベアさえ消せば良いデッキなら紛争不要のこちらに軍配が上がるでしょうが、「白単イニシアチブ」の主要なクリーチャーに当たらない為、UBルールスでは選択肢にはならないでしょう。
《霊魂奪取/Soul Rend》
白い生物のみを消し、なんとスロートリップする除去カード。
現在は2枚採用です。
6枠目として更なる追加の除去を採用するなら、変に散らさず3枚目のこのカードを詰むのが一番良いです。
白チブ相手にはシンプルかつ非常に強力です。手札が減らない除去なんてなんぼあっても良いですね。
他の白生物対策カードには、《死の印/Deathmark》《害悪な掌握/Noxious Grasp》や《美徳の喪失/Virtue's Ruin》等があります。
この中でも《美徳の喪失/Virtue's Ruin》は採用の可能性が最も高いかもしれません。
が、自分の《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を巻き込む点と、他の単体除去と重ね引いた時には「重ね引くなら単体除去2枚でも事足りたのでは?」というケースも多く、全体除去がオーバーパワーになり3マナという重さの分だけ損をします。
また相手の場の生物を貯めて唱えるのが強い関係上、《選定された平和の番人/Anointed Peacekeeper》や《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》等で唱えるターンを狂わされると、何もかも間に合わずに負けと言ったパターンもちょくちょく起こります。
相手の《不毛の大地/Wasteland》が絡んでくるとより顕著ですね。
《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》のお陰で、単体除去が絡めばイニシアチブも割と奪えます。
対白チブは単体除去を早めに2枚くらい引ければ、全除去がなくともすんなり勝てるので、サイドボードに除去の枚数が少ない場合は《美徳の喪失/Virtue's Ruin》の採用を検討し、除去に枠を6枚以上取る場合は採用を見送る。
これくらいが採用不採用を決める良い判断基準になるかもしれません。
尚、今回の私の構築では除去5枚ですが不採用です。
《選定された平和の番人/Anointed Peacekeeper》や《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》に狂わされ、(特に後攻で)唱えられず敗北するケースが思ったより多いのが私の中での評価を大きく下げており、(後編で解説しますが)対白チブに《封じ込める僧侶/Containment Priest》をサイドインするプランにしている為、尚の事このカードは噛み合いません。
《殺し/Snuff Out》
"沼"をコントロールしていればマナ不要で唱えられる単体除去。
4点のペイライフは非常に重たいものの、テンポ面で圧倒的な強さを誇ります。
例えば《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》下でタップインした《Underground Sea》からそのまま唱えられます。
また《悪魔の教示者/Demonic Tutor》を(ペイライフに目を瞑りつつ)実質2マナの除去に変えてくれます。
対白チブと言うのはとにかく手札を全部掃けきれるかどうかが重要なので、テンポ面に優れた《殺し/Snuff Out》は除去のラインナップに1枚は含みたいカードです。
ペイライフするカードですが、それでも対白チブを意識する上でこのカードの不採用は個人的にはあり得ず、ただペイライフは非常に重く2回は唱えられない為、2枚採用もほぼあり得ないかなと思います。
「サイドボードに1枚」が正に結論かと思います。
【墓地対策について】
2023年現在のメタゲームで、「bazaarデッキ」の立ち位置は "悪い" です。
ですがテーブルトップのヴィンテージ環境は、MOのメタゲームと資産的な意味合いで少し事情が違います。
パワー9を筆頭にヴィンテージのごく一部のカードは大変高価であり、例えば、環境で強いからと「オースデッキを握りたい」と思っても、必ずしもすぐ握れるようなものではありません。
そして《Bazaar of Baghdad》4枚のみですぐに妥協なきデッキが成立する、所謂「bazaarデッキ」はヴィンテージ環境の中で最安値のデッキになります。
また「bazaarデッキ」は他のフォーマットではありえない動きをする、かなり爽快で奇抜なデッキですので、それなりに愛好家の方も多いアーキタイプだと見受けられます。
…要するに、環境に常にいます。
メタゲームの理屈だけにとらわれず、「bazaarデッキ」相手にゲームになるだけの枚数のサイドボードは確保しておくべきでしょう。
【《虚空の力線/Leyline of the Void》について】
私が青いフェアデッキのデッキリストを眺めている限り、最低でも墓地対策6枚以上という印象です。
コレら6枚が初手のキープ基準となり、例えばですが…
土地20枚から、1枚以上引く
対策カード6枚から、1枚以上引く
初手7枚でこれら両方を満たす確率は約50%です。1回のマリガンも許容するならまぁまぁ妥当な数字に思えます。
そして、青いフェアデッキが取るこの6枚のカードは…
《The Tabernacle at Pendrell Vale》 2枚
《虚空の力線/Leyline of the Void》 4枚
このパターンが最もメジャーでしょうか。
(個人的に黒力線はあまり好きではないのですが)なにか難癖つけるほど悪い構成だとは思いませんし、シンプルで良いと思います。
…が、そもそもUBルールスだと、相棒条件の都合から《虚空の力線/Leyline of the Void》を採用できません。
サイド後に"相棒"を引っ込めれば一応採用する事も可能ですが、《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》は、絆魂持ちである他、単発の墓地対策も使いまわせる為、ゲームの蓋としての性能は非常に高いです。
《虚空の力線/Leyline of the Void》は、設置できても《活性の力/Force of Vigor》されると二の矢が極端に無い点と、2~3回マリガンしても手札に来なかった場合に(後引きでは概ね不要牌な為)デッキが弱くなっている点が個人的にキライな要素なので、墓地対策を考えるにあたり、まず《虚空の力線/Leyline of the Void》は不採用の方針としています。
《The Tabernacle at Pendrell Vale》
上項でも少し出てきましたが改めて。
現在は1枚の採用です。
この土地はアップキープで生物維持にマナを要求させますが、「bazaarデッキ」は基本的にマナを払う(払える)デッキではない為、結果的に生物の全除去として機能します。
(墓地対策を乗り越えられ)生物を展開されても後出しで機能する。
土地ゆえに打消し不能。
この2点が特に優秀で、また唯一無二です。
唯一、相手の先置き《不毛の大地/Wasteland》でケア(置いたターンのエンドに破壊)されてしまうケースが裏目ですが、「bazaarデッキ」がブンまわりする場合、大体タバナクルのみケア出来ないというパターンも多い為、対策としての安定感は高いです。
ただし、「ドレッジ」は《イチョリッド/Ichorid》や《這い寄る恐怖/Creeping Chill》ですり抜けられ、「ピッチヴァイン」は複数体の《復讐蔦/Vengevine》ですり抜ける他、《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》等で手札を整えつつドローを進め《不毛の大地/Wasteland》にたどり着かれたりと、設置しただけでは勝ちません。
タバナクルの本質は「信頼度が高い時間(ターン)稼ぎ」というイメージになるでしょうか。
現在は「bazaar」デッキの立ち位置が下火という事もあり、「bazaar」デッキ専用のサイドは(特にMOで)減少傾向にあるようです。
青いフェアデッキのサイドには大体2枚取られているイメージでしたが、最近は1枚のリストがほとんどになりました。
ですが…
「bazaarデッキ」対策として、墓地対策とベクトルが違う点。
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》の蓋性能が強力な為、時間稼ぎで良い点。
辺りの点を鑑みて、個人的には2枚欲しいカードだと思ってはいます。
が、タバナクルは「ドレッジ」と「ピッチヴァイン」の場合、「ピッチヴァイン」の方をより強くけん制するカードです。
ドレッジの場合は《イチョリッド/Ichorid》さえ動けば、《不毛の大地/Wasteland》しなくても安定してタバナクルを超えられる為ですね。
その「ピッチヴァイン」には《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》という対抗策がメインから搭載されている為、やむなく1枚採用で落ち着いたという経緯になります。
…が、現在は後述する《イクスリッドの看守/Yixlid Jailer》と入れ替える形で2枚の採用にしています。
「bazaarデッキ」とコンスタントに遭遇する環境であれば、やはり2枚が適正なように感じます。
《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
1枚の採用です。
0マナで相手の墓地を全て追放します。
非常にシンプルな墓地対策ですが、0マナは正義です。
かつかつのマナで《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を着地させても、すぐに墓地から設置しなおせます。
対bazaar(特にドレッジ)であれば、0マナで墓地を飛ばす動きは非常に強力なので手札1枚を消費する甲斐はあります。
…というか、当たり前ですが相手から墓地リソースを削らないことには基本的にゲームになりません。
またルールスから釣る際には最有力となるカードでもあります。
UBルールスのサイドなら、必ず1枚は採用するべきカードかと思います。
対bazaar専用枠がもう少し取れるなら、2枚目も積極的に検討してよいでしょう。
ちなみにこのカードは「対bazaar専用」です。
相手の《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》や、《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》《壌土からの生命/Life from the Loam》等の、フェア寄りのデッキに搭載されている墓地利用カードへの対策として使っても、こちらもカードを消費してしまう為あまり効果的ではないです。
当然わざわざサイドインしません。
この手のカードへのけん制は、メインの《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》が適任です。
《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1枚の採用です。
墓地対策の中でも「ピッチヴァイン」より「ドレッジ」に対してより効果が高いカードになります。
そもそも自分の《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》のテキストを縛ってしまう上に、対bazaar目線で言っても非常に微妙なカードで、対ドレッジであれば初手置きできれば時間稼ぎとしては有効と言えますが、ピッチヴァインにはかなり効果が薄い点が評価ダウンです。
しかし…
「オース」の《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
「ミラーストーム」の《ボーラスの城塞/Bolas's Citadel》&《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》
などを縛る事ができ、環境に存在する主要なデッキ相手にもサイドインする事が出来ます。
「UBミラーストーム」等へのサイドインはおまけみたいなものですが、対「オース」視点でみた場合、構築物トークンを作りながら三章でコレをサーチし、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》に蓋をしつつ構築物ビートするプランが成立します。
現環境で考えると1枚の採用は必須と言えるでしょう。(当然、2枚以上は絶対にいりません)
《鋼の妨害/Steel Sabotage》
エターナルウィークエンドでは1枚の採用です。
1マナでアーティファクトを確実にカウンターする他、緊急時にはバウンスしてお茶を濁す事も可能です。
実は、《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》と交換する形で、本記事執筆時点の今では2枚採用としています。
やはり手札にあれば安心感が段違いで、デッキ本来の動きの青1マナ構えているだけで良いのも大きな評価点です。
《狼狽の嵐/Flusterstorm》と入れ替える形がとてもキレイなので、サイドに2枚定着で良い気がしています。
が、すみません…。
今現在の私だと、《一つの指輪/The One Ring》を1マナで打ち消せるよ!強いね☆程度しか語れず…。
実はエターナルウィークエンドの一週間前にこのカードの魅力に気付いた為、まだあまりテストが出来ていません。
強い点はともかく、採用を増やしすぎると青1マナをこちらに沢山使って《呪文貫き/Spell Pierce》が腐ったとか、何かそういう落とし穴があるかもしれません。打ち消しの性ですが(モードがあるとはいえ)後半にトップデッキしても劣勢を巻き返す力に欠けるスペルのようにも見えます。
今一つちゃんと語れない状態なので、もう少し使用感が確かめられれば今後追記するかもしれません。
現在では不採用になったカード解説
2023EW時点のデッキリストでは採用していましたが、現在は不採用としているカードです。
《イクスリッドの看守/Yixlid Jailer》
2マナと重い代わりに、ピッチヴァイン・ドレッジのどちらに対しても、裏目なく墓地に蓋をすることが可能なカード。
ちなみに2マナの強烈な墓地対策カードには《安らかなる眠り/Rest in Peace》も存在します。
ですが…
クリーチャーであること
自身の《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》の邪魔をしないこと
黒がデッキのメインカラーであること
2点クロックになること
以上の点で《イクスリッドの看守/Yixlid Jailer》に軍配が上がります。
ちなみに、クリーチャーである点をメリットとしているのは《活性の力/Force of Vigor》に当たらない為です。
墓地対策の多くはこのカードで「対策の対策」をされるわけですが、ここで重要なのが、《活性の力/Force of Vigor》は対象を2つ取れる為、対策の置物は重ね置きしても全く意味をなしません。
1枚でまとめて消されてしまいます。
《不快な群れ/Sickening Shoal》や《激情/Fury》といった裏目を差し引いても、アーティファクト等の置物と散らす形になる《イクスリッドの看守/Yixlid Jailer》は、クリーチャーである点が優秀であると言えるかと思います。
…が、現在は2枚目の《The Tabernacle at Pendrell Vale》に枠を譲りました。
対オースの都合から2マナの対策カード《封じ込める僧侶/Containment Priest》が3枚採用されている中で、更に2マナをかさ増ししてもやはり手札が重たく、特に対ドレッジで手札がダボつきました。(当たり前体操)
《封じ込める僧侶/Containment Priest》が対ピッチヴァインには微妙な為、「対ピッチヴァインでも強力な蓋を」との点を見込んでの採用でしたが、その点を加味しても2枚目の《The Tabernacle at Pendrell Vale》の方が丸いですね。
…このカードの採用はだいぶヘタクソだったように今となっては思います。
《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》
相手のアーティファクトを全てバウンスする強力なリセットカード。
前項でも触れましたが、現在は《鋼の妨害/Steel Sabotage》へ枠を譲りました。
このカードが絡むとゲームが長引く所為で非常に気付きづらかったのですが、よくよく思い返すと、このカードを唱えたが最終的には敗北しているというゲームが非常に多く、今現在の私は、UBルールスのこのカードは勝たないという認識でいます。
相手のエンドフェイズにこのカードを唱えても、UBルールスは唱えた返しのターンで特段強烈なアクションが出来ない為に本当にただのお茶濁しにしかならず、結局の所ゆっくりと脅威を出し直された末に試合の流れは唱える前から何一つ好転しないまま敗北…というパターンになりがちです。
代わりに採用した《鋼の妨害/Steel Sabotage》の評価は(個人的に)まだ完璧ではないものの、このカード自体は不採用を結論として良いと思います。
不採用カード解説(サイドボード)
《四肢切断/Dismember》
1マナの生物除去カードです。
《致命的な一押し/Fatal Push》と違い、まず紛争達成がいらず、しかも《虚ろな者/Hollow One》や《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》等も消す事が出来るので、"生物除去"の点では概ねプッシュの上位互換でしょうか。
ですが、まずペイライフが痛すぎます…。
生物除去の主な役割となる対「白単イニシアチブ」視点となると、ペイライフを伴うカードは《殺し/Snuff Out》も採用しており、あちらはマナ不要です。
2枚の《致命的な一押し/Fatal Push》を押しのけたり、追加の3枚目をこのカードに散らす程、このカードでなければ消せない生物というのも特段思いつきませんので、このカードが採用されることは今の所ないかと思います。
《害悪な掌握/Noxious Grasp》
《霊魂奪取/Soul Rend》の項目でも少し触れましたが、採用候補にはなりえるものの不採用です。
《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred's Edict》や、最近は《苦々しい勝利/Bitter Triumph》等、黒い2マナの生物兼PWの除去はいくつか候補がありますが、現在のヴィンテージ環境ではこちらが一番汎用性が高いかと思います。
《レンと六番/Wrenn and Six》
《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
《時を超えた英雄、ミンスクとブー/Minsc & Boo, Timeless Heroes》
《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
上記全て消すことが可能です。
また白のクリーチャーは当然「白単イニシアチブ」として、その他でこのカードをサイドインしたいPWを使うデッキ「墓荒らし」等も…
《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》(最近採用が下火ですが…)
と積極的に消したい的は充分あります。
《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》等の黒いクリーチャーに当たらないものの、《致命的な一押し/Fatal Push》等の他の除去もありますので、PWも消せる除去の中では圧倒的に汎用性が高いかと思います。
「4Cレンタク(4Cフレンズ?)」や「墓荒らし」等のマッチアップが多く見込まれるなら採用しても良いかもしれません。
《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
「UBミラーストーム」の《鏡に願いを/Beseech the Mirror》に劇的に刺さるので最近採用枚数が増加傾向にありますが、不採用です。
「後手1ターン目を迎えられる可能性が上がる」といった趣のカードです。
2ターン目以降は基本的にあまり刺さりません。
確かに《暗黒の儀式/Dark Ritual》→《鏡に願いを/Beseech the Mirror》の動きには、願いのサーチ先を必ずカウンターできるのですが、「UBミラーストーム」一強という環境でもありませんし、これが無ければ他に対策がないマッチアップでもありません。
また現在のワークショップデッキは、むやみやたらにMoxを投げて大型呪文を唱えずとも、《ウルザの物語/Urza's Saga》の存在も相まって毎ターン2回でも充分機能します。
(Mox2枚とサーガを設置するだけで次からトークン戦略が可能)
MUD側は簡単に終始ケア可能な上に、仮に3回目のマナファクトを一つ消した所で特段有利にもなりません。
UBルールスは遅いデッキである為、相手も急ぐ必要がない点が、そもそも《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》と噛み合っていません。
長らくサイドに1~2枚採用していましたが、総じて非常に腐りやすいです。
良くても普通に4マナ唱え「うーん、まぁ一応腐らなかったか…」となるケースが多く、サイドインしてもデッキが強くなっていない印象です。
能動的な掃き方として、相手の2枚目のスペルに《Ancestral Recall》等を重ねて、そこに飛んできた相手の《意志の力/Force of Will》を2枚目のスペルもろとも…みたいな方法もあります。
が、これも "比較的には" 能動的と言える程度であり、結局のところ相手の2枚目のスペルを待つ必要はあります。
(受け身なカードばかりのUBルールスでは特に)そこまで毎回狙える掃き方でもありません。
「UBミラーストーム」「ジュエルショップ(ジュエルPO)」をよほど重くみない限りは不採用で良いと思います。
不採用カード解説(おまけ)
《上天の呪文爆弾/Aether Spellbomb》
アーティファクトの《退去の印章/Seal of Removal》。
サイドボードに取るかどうかではなく、メインの《退去の印章/Seal of Removal》をこちらにするかどうかというカードです。
すみません、メインボードの解説の項目で抜けておりました。
ルールスで使いまわせるバウンスの強さは《退去の印章/Seal of Removal》で語りましたので割愛します。
このカードと青印章で、比較の焦点となるのは…
青くない。
バウンスまでに1マナ多くかかる。
ドローが出来る。
《ウルザの物語/Urza's Saga》でサーチが出来る
この4点です。
バウンスまでに余分に1マナ多かったら間に合ってなかったケースは、特に素引きした場合にたまにあります。やはり軽さは正義です。
そして、青印章は青いカードである為、《意志の力/Force of Will》のエサにしたケースもまた、ちょくちょくあります。
更に、アーティファクトである青ボムは、《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》への回答にならない点がマイナスです。
そして、「ドローが可能」な点を評価するにあたり毎ゲーム意識しているのですが、《退去の印章/Seal of Removal》を設置した後に「ドローができたら良かったな」になった事もさほどありません。
大体にして、バウンスがいつでもできるように隙を見せずに設置し続けます。ドローのモードがある点も、正直大した加点要素にはならないと感じています。
ここまでは《退去の印章/Seal of Removal》が優勢なのですが、《ウルザの物語/Urza's Saga》の三章解決時に「このカードがあれば…」は当然あります。
ただ、三章の選択肢が広ければ広いほど良いのは当たり前であり、青ボムが無いからと言って三章自体が弱かったという事はありません。
ただし、コンバットが絡むゲームにおいて、ルールスでのバウンスループは多少の劣勢も捲れるレベルでゲームに蓋が可能ですが、青ボムは(青印章と違い)サーガ三章でサーチが出来る為、毎ゲーム安定して目指せるゲームプランに昇華します。
これだけは見逃せない要素であり、(大した加点要素にならないと言ったもの)ドローできる事も決して弱くはない為、どちらかが明確に優れているといった完全な答えはなさそうです。
気まぐれに青印章と青ボムは入れ替えつつ、これからも見定めようと思っています。
--------≪追記ここまで≫--------
結び
半日くらいで適当にまとめるつもりが長々と20,000文字を超過してしまいました…。長くなりすぎたので、「サイドボードの採用不採用カードの解説」や「キープ基準」「サイドチェンジやデッキ別戦略」等は、後編と称して別途まとめようと思います。≪2023/12/11訂正≫
サイドボードの採用不採用の解説はこの記事に追記する形と取りました。「サイドチェンジやデッキ別戦略」については後日、後編と称して別記事でまとめます。
MTGでは友人がほぼいないので、去年末から100%私個人の視点のみで環境を追いかけてきました。
同じアーキタイプでもデッキリストを骨の髄まで追いかけたり、MOの動画をチマチマ拝見したり…。
特に環境変化の時系列や定説にはあまり自信がありません。知識不足により変な記載があればご指摘歓迎です。
これからフェアデッキ…特に受けるデッキでヴィンテージに参戦したい人が何人いるかわかりませんが少しでも参考になれば幸いです。
来年もMTGはヴィンテージに注力すると思います。
是非どこかの大会でお会いしましょう。
後編へ続く…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?