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オタクとアイドルは分かりあえるか

推しのことが分かる方程式があったら。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


「理解する」って数値化しづらくて、とても難しい問題だと思います。ただ時間をかければいいってわけじゃありません。このnoteは、理解することを原理的に解釈して、推しメンに分かって貰えない、分かりきれなくてやきもきするオタクを少しでも減らすことを目的にしています。


言葉を尽くすほど

いきなり結論を言うと、そもそもオタクとアイドルは、原理的に完全な理解はできないと思います。なぜなら、言葉は伝えられても、経験を伝えることはできないからです。

同じ言葉でも、頭の中のイメージは一人ひとり違います。たとえば、オタクは誰もが「人造ファイヤファイボワイパー」という概念を持っています。しかし、オタクAがアイドルBに「人造ファイヤファイボワイパー」と言った時、AとBの脳内に浮かぶ「人造ファイヤファイボワイパー」のイメージは異なります。

ここでより厳密さを増すためにAは「タイガータイガータタタタタイガー」を付け加えて「人造ファイヤファイボワイパー、タイガータイガータタタタタイガー」とBに伝えたとします。しかし今度は、「タイガータイガータタタタタイガー」の概念が異なるので、やはり完璧な「人造ファイヤファイボワイパー」は伝えられないでしょう。


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このように我々は言葉を使う以上、絶対に同じ経験を相手の頭の中に作り出すことはできないのです。


理解する、してもらう必要性

じゃあ、推しのことを理解できないし、理解してもらうこともできないオタクは絶望するしかないのかというと、そんなことはないと思います。なぜならそもそも分かり合う必要があるのか?という問題があるからです。


思えばSNSがなかった頃、オタク→アイドルも、アイドル→オタクの情報のやり取りが圧倒的に少なかったと思います。ぼくがAKBオタク全盛期だった2012年は、まさにそんな感じでした。情報量が少ないのも勿論ですが、会話の機会が握手会しかなかったので、話題にも物凄い時間差が生じていました。

今振り返るとぼくは、推しメンのことを少しも分かっていなかったし、推しメンにもぼくの思いは全く伝わっていなかったでしょう。

それが2022年の今や、ほとんど全てのメンバーがSNSの個人アカウントを持ち、面白いことや可愛い画像を投稿すればオタクは0秒でリプライできます。また、SNOW ROOMやLINE Liveの配信を見に行けばほぼ毎日推しメンの顔を眺められるし、コメントも高確率で拾ってもらえます。また、そもそも情報発信の重要性が高まったこともあり、自分の思いをnoteやブログなどで表明するアイドルが増えてきたように感じます。

しかし、情報の新鮮度や情報量が上がってもオタクの満足度はそれほど変わっていないように感じます。むしろ、AKBINGO!を暗記するほど繰り返し見て、握手会の10秒に命を賭けていたあの頃も十分充実していたのでは?と思います。もちろんあの頃と今では、自分も推しメンも変わってしまったので一概には言えませんが。

結局、オタ活の充実度と情報の絶対量は変わらないと言えそうです。時折、推しメンの情報はとにかくすべてチェックしないと気が済まなくなることはあります。しかし本来それはオタクの勝手であり、知らなくても楽しいならそれでいいと言えます。5chなんてその典型です。


分かり合えないからこそ

結局、オタクの正体は「君はスパークル」で語られている通りです。

理解している・理解されているに関わらず、オタクは思い込みの中でしか生きていないのかもしれません。やり取りの量・質も勿論重要ですが、それによって推しメンが自分にとって大切な存在になる必要があるのだと思います。

ここで重要なのは、人には適切なやり取りの量・質があるということです。それを満たす限りは推しメンの気持ちを受け取ったり、気持ちを伝えた方が良いでしょう。そして、この感情のやり取りはあくまでも機能的でいいと考えます。つまり、「なぜそれで幸せなのか」が共感できていなくても「こうすれば推しは喜ぶし、それで自分も幸せ」という状態は満たせるはずです。

もちろん、そのための努力は必要かもしれませんが、それは人それぞれです。極論、推しに認知されず、ライブに行っても特典会に行かずに帰ってしまっても構わないわけです。それで本人が幸せならば。


また、そもそも「理解している」「していない」の0か100で語る必要もありません。分からないなりに言葉を重ねて、昨日よりも推しのことが少しわかった、自分の事を少しでも分かって貰えたことを喜ぶことだってできます。

そもそもオタクは「理解できない」状態がないと成立しえない趣味です。推しのことが分からないからこそ、オタクは少しでも理解できるようにSNSをチェックしたり特典会で話しに行っています。「理解し合えないから諦める」ではなくて「理解できないからこそ心を砕く」姿勢こそ、オタクに求められるのではないでしょうか。


おわりに

まとめます。

すぐに分かることなんて、実はそんなに面白くない。

以上です。

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