オタクにとって「飽きる」ということ
格好良くあろうとすると、格好悪くなる。
地下アイドルオタクのかべのおくです。
オタクが現場を他界(その現場に来なくなること)する理由は色んなものがあります。
ライブがつまんなくなった
仕事が忙しくなった
プライベートが忙しくなった
オタクとの人間関係が崩れた
推しメンに魅力がなくなった
しかしこれらの小賢しい言い訳の根本には「飽きたから」という理由があると思います。
オタクにとって、飽きは大敵です。今日は楽しい現場も、明日には飽きているかもしれません。そうなったらどうしよう、オタクはそんな恐怖と今日も戦っています。今回はそもそも「飽きる」とは何なのか、その本質と対策について考えようと思います。
「飽きる」とは
飽きるとは何かと言えば、推しメンやグループに対して「こういう人(グループ)だろう」という固定観念ができてしまうことだと思います。オタクは予定調和が嫌いな生き物です。いくらかわいい推しメンであっても、いくらライブが楽しいグループであっても、毎回同じ話をされたり同じ曲ばかりを見せられればイメージは固定化されてしまうでしょう。
しかし、これは「アイドル」という枠の中で商売をする以上しょうがない側面もあるでしょう。やはり「こうしたら売れる」という型は一定数あるのでそれを守ったほうがアイドルは売れやすくなります。たとえば楽曲ならば王道で分かりやすい曲やライブで分かりやすい曲、振り付けは初見のオタクに分かりやすいキャッチーなものに寄りがちです。
また外面的な部分だけでなく、配信やSNSでの話題も、新規のオタクを取り込むためにはどうしても同じような内容の文章や話題が多くなってしまいます。これは活動歴の長いアイドルほどオタク間での齟齬が起きやすいので、どちらに寄せるべきかは難しいところでしょう。
グループやそのアイドルが飽きられるだけならまだよいかも知れません。この「アイドル」という枠組み自体に飽きてしまうとなれば、オタク自体をやめる、つまり「オタ卒」してしまうことになるでしょう。「オタクよりもアイドルの方が多い」と云われているアイドル業界において、オタクの全体数減少はもっとも避けたい事態です。
またオタクが他界したりオタ卒してしまうのは、残されたオタクからしてもつらいものです。僕自身、オタク始めたてくらいのころに仲良くなったオタク達が、気付いたらアイドル現場から足を洗っているのを見て、悲しい気持ちになることがあります。
飽きへの対策・対処法
じゃあ、オタクが飽きないための対策・飽きてもそれを挽回できるための対処法はどのようにしたらいいのでしょうか?そもそもこの問題は「見られる側(アイドル)」と、「見る側(オタク)」の2者の関係なわけですから、究極的に方針は2つしかありません。
1. 「見られる側」を変える
まずは「見られる側(アイドル)」を変えるというやり方です。おそらく多くのオタクはまずこっちをやりがちなのではないでしょうか?
一番わかりやすい対処法は、見る対象を変えてしまう、つまり「推し変」をすることです。一見あまり賢い手段ではないと思われるかもしれませんが、地下アイドルオタクに限ってはそんなことないと思います。なぜならグループやメンバーは一生かかっても見きれないほどいるからです。
ただ、この手段だけに頼ってしまうと、いくら推しを変えても自分は満たされないという虚しい状態が続くことになります。このなれの果てがDDです。
もう一つ考えられるのは、推しに変わってもらうことを要求する、つまり「説教オタク」になることです。これも一見害悪に思われるかもしれませんが、無駄にオタク歴が長くなってくると、未熟な運営やマネージャーに本当に的確な指摘を飛ばすオタクもいることはいると思います。しかしそもそも「オタクは受け手であって作り手ではない」と考える人もいるので、説教オタクは誹りを受けることが多いでしょう。
ちなみに、アイドルが定期的に新曲を出したり、衣装を新しくしたり、ツアー遠征などの企画は、「見られる側を変える」という方向での対策だと思います。オタクの琴線に触れるような、効果的な企画が打てる有能運営グループに当たったとしたら、そのオタクは幸運と言えるでしょう。
2. 「見る側」を変える
もう一つの対策・対処法は「見る側(オタク)」を変えるという方法です。これは外見的な変化としては現れにくいので難しいかもしれません。
ただ、ひとつ分かりやすいところで言えば「楽曲派」「フリコピガチ勢」「地蔵オタク」「後方ピンチケ」など、オタクとしての属性を変えてみることが挙げられるでしょう。普段は振りコピをしていて死ぬほど耳に入ってくる主現場の曲でも、じっくり聴いてみると意外な発見があるかもしれません。こんなふうに同じアイドル・グループであっても、違った楽しみ方ができれば飽きの対処になるでしょう。
また、グループによっては「今日はこんなところに注目してください!」といったその日のポイントを教えてくれることがあります。これは意図的にオタクの視線を普段のフレームからずらそうとしている「飽き対策」ではないでしょうか。
ただこの「見る側を変える」方針の難しいことは、見られる側からのアプローチが難しい点です。アイドルがいくら見た目を変えたり、運営がいつもと違う演出をしたりして、オタクの視点を変えようと努力してもオタクが変わってくれなくては無駄です。
だから実際のところはどちらが良いというわけでもなく、実際には両方を組み合わせた対策・対処が有効なのでしょう。
大事なのは「ただ見る」こと
上記のように、オタクの「飽き」への対策・対処は「見られる側」と「見る側」に分けられると述べました。しかしこれらの方法が有効に働くかどうかは、ある一点に絞られると思います。それは先入観をなくして「ただ見る」ことです。
いくら推しが見た目を変えたり、オタクがいつもと違った席で見たとしても「この子はこういう子だから...」という先入観が入ってしまっていては効果が薄いでしょう。「勝手に決めつけないで」という思いは、多くのアイドルやアイドルオタクから共感を集めているHoney Worksの曲でも歌われています。
飽きている、飽きていないなど関係なく、どうかあなたが真っ直ぐな目で推しを見つめられますように。
おわりに
まとめます
“アイドルオタクなんか”という言葉も嫌いだ。
以上です。