過払い金請求の期限は10年間!過払い金の消滅時効と請求期限について
過払い金請求とは既に支払いを済ませた借金から、返還請求をすることで一部のお金を取り戻すことができる制度です。
しかし、ある一定の期限を過ぎてしまうと消滅時効が完成してしまい、過払い金請求をすることは難しくなります。
いつまでにするべきかという期限や、消滅時効はどの時点から始まるのか、どのようにすれば消滅時効を止められるのかといった点について知っておくことで、いざ過払い金請求をしようと思いたった時にスムーズに手続きに移ることができるようになります。過払い金請求に関する悩みを解消していく上で重要な、期限や時効について知っておきましょう。
過払い金請求の消滅時効とは?
借金をした際には必ず利息がかかります。 以前は、法律で定められた利息よりも多い利率で利息を計算する貸金業者もいました。法定利息よりも払いすぎてしまった利息が過払い金なのです。 過払い金は請求すれば返還されます。 ただし消滅時効といって、最終返済から10年間という期限が決まっています。 それを過ぎると、過払い金請求をすることはできなくなります。 過去に融資を受けたことのある人は過払い金がある可能性がありますので確認が必要です。
過払い金の請求期限は最終取引日から10年間
過払い金は借金の返済時に払い過ぎた利息分のことですが、過払い金請求を行うことで返金してもらうことができます。 請求は返済中でも完済後でも行うことができますが、最終取引日から10年間という期限があります。 つまり、完済後に請求する場合は10年以内に行わないと時効になってしまい請求できなくなります。 なお、過払い金が発生するのは利息制限法より高い金利で借りていたことが原因ですが、法改正により2007年から適正金利になったため、過払い金が発生しなくなりました。その影響から2017年で時効になってしまうと誤解されがちです。
2017年で過払い金請求ができなくなるのは間違い
テレビやラジオなどで、過払い金請求は2017年を過ぎるとできなくなると言われていることがありますが、正確に言うと間違いです。 2006年に貸金業法が改正されて、その影響でアコムでは2007年6月、プロミスでは2007年12月、アイフルでは2007年8月に金利を引き下げています。それ以外の消費者金融でもほぼ同時期に金利が引き下げられていますので、2008年以降に新規でお金を借りた人は、グレーゾーン金利が発生していることは基本的にありません。 過払い金請求の消滅時効は最後の取引時点から10年間ですので、多くの人は2017年を過ぎると、過払い金請求ができなくなってしまいます。この意味で、「2017年を過ぎると過払い金請求ができなくなる」という宣伝は部分的には正しいということになります。 しかし、すべての人が2017年で消滅時効にかかってしまうというわけでもありません。グレーゾーン金利でお金を借りていて、借金をすべて完済したのが2009年5月の時点だったという人ならば、2019年の4月までは期限にかかりません。 支払いを終えたのがいつだったのかということが重要になります。 不安な人は一度専門家に相談をしてみるのが良いでしょう。
賃金業者の金利改定と過払い金請求期限の関係性
多くの賃金業者が金利改定をしたのが2007年
過払い金請求の期限は、貸金業者が金利改定をした時期と関係しています。 出資法や貸金業法が改正されたのは2010年ですが、実は2006年には改正法案が提出され成立しています。 みなし弁済の廃止や総量規制の導入なども含めて、完全施行されたのが2010年になります。 アコムなどの大手の消費者金融では、2007年に金利の引き下げが行われています。 中小規模の消費者金融などでも、遅くとも2008年には金利の引き下げが行われていますので、2009年以降に新規でお金を借りた人は、過払い金が発生しているということは基本的にありません。 過払い金請求の時効は最後に取引をした時点から10年ですので、2017年には時効にかかってしまう人がたくさんいるようです。 しかし、先ほども述べましたがすべての人が2007年もしくは2008年には時効にかかってしまうわけではありません。 例えば、2007年より以前にグレーゾーン金利でお金を借りていて、金利が引き下げられた後も引き続き利用しており、最後に取引をしたのが2010年であったケースなら、2020年までは時効にかかりません。
期限が迫っている人は多くいるのは事実
過払い金請求には『完済から10年』という消滅時効が設けられています。 完済から10年の期限が経過してしまうと過払い金請求を行うことができず、過払い金を取り戻すことは不可能になります。 多くの賃金業者が不当な年利から金利改定を行ったのが2007年です。 つまり、過払い金が発生している対象は2007年よりも前、または前後に借金をした人ということになります。 2007年よりも前に借金をして完済している人は時効が迫っている可能性があります。完済時期を確認して早急に対処するべきです。 2007年前後に借金をした人は、少し猶予があるかもしれませんが油断はできません。完済時期が不明な場合は賃金業者に問い合わせて取引履歴を取得することから始めましょう。
過払い金の消滅時効の起算日はいつから?
過去にカードローン会社や消費者金融からお金を借りた場合、過払い金が発生している可能性があります。 過払い金が発生する条件は、2007年より前に借り入れをして、しかもグレーゾーン金利の範囲内の利息が設定されていた場合です。 グレーゾーン金利とは、2007年より前に定められていた出資法と利息制限法の間の金利です。 利息制限法の規定以上に金利が設定された場合、過払い金請求の対象になります。 過払い金請求をすることができるとわかった時は、早めに請求をすることが大事になります。 なぜなら、過払い金請求には消滅時効があるからです。消滅時効は、10年で成立してしまい、通常は一度消滅時効が成立してしまうと過払い金を取り返すことはできません。
完済した取引の場合
過払い金請求の消滅時効は10年で成立することがわかっても、いつが起算点かによって時効の成立時期が変わってきます。 完済している場合には、完済をした時が消滅時効の起算点になります。 完済をした日が2007年12月1日ならば、2017年12月1日に時効が成立し、それ以降は請求をすることができません。 過払い金の請求権を失いたくなければ、時効が消滅する前に過払い金請求をする必要があります。
返済中の取引の場合
完済した取引の場合は完済日から10年でしたが、返済中の場合の起算日はいつになるのでしょうか。 消滅時効の起算日は最終的に取引のあった日となります。 そのた返済中の取引であれば、過払い金請求直前の取引日という事になります。 したがって、現在も取引が続いていて返済中の契約であれば、通常は10年も借り入れや返済をしないという事は考えられませんので、時効の心配はまずしなくてもよいと言えます。 ただ、業者も借金が残っているうちは頻繁に請求をしてきますが、既に過払いが発生しているとわかったら請求の連絡控える可能性もあります。 取引が続いているはずなのに、業者から連絡がないので支払いをせずに長期間放置していたというケースは、利息の引き直し計算をすると過払いになっている可能性が高いです。 このような取引がある場合でも、一度取引履歴を取り寄せて利息の引き直し計算をしてみるとよいでしょう。 ただし、継続中の取引という事で、専門家に依頼するとブラックリストに載るというリスクはあります。
取引の一連性・分断と時効の起算日について
キャッシングやカードローンを利用していて、借金をいつまでも完済せずに払い続けている場合には、当然その取引は一つの取引としてみなされます。 しかし、同じ業者から借金をしては完済し、また新たに借金をするという取引を繰り返していた場合には、一連性が認められない可能性があります。 この時、完済から次の借り入れまでにあまり期間が開いていなければ一連の取引としてみなされますが、期間が空いているときには分断の主張が認められ、別々の取引になる可能性が高いです。 目安としては、完済から次の借り入れまで1年程度の開きがあれば分断とみなされる傾向があります。 別々の取引として扱われたときには、その取引ごとに消滅時効の起算日が異なります。
例えば、平成15年6月に完済して平成17年に借り入れ、平成25年6月に完済している場合には、一つ目の取引は平成15年6月が消滅時効の起算日になりますので、既に時効が成立しています。 一方、二つめの取引は平成35年6月で時効が成立するという事になります。 このように、同じ業者からの借り入れ、同じ会員番号や契約番号を使った取引であっても、部分的に時効の主張が認められて過払い金請求で予定より少ない金額しか取り戻せないことがあります。 取引の一連性・分断に関しては難しいものですので、早めに専門家に相談することが良いでしょう。
過払い金請求の消滅時効を止める方法
催告を行う
過払い金請求の消滅時効は完済から10年とされています。 民法167条で不当利得返還請求権の消滅時効を10年としているのが法的根拠です。 ここで問題になるのは相談から裁判を起こすまでに時効が成立してしまうケースです。訴状が受理されれば訴訟の提起と判断され、時効はストップしますが、時間が残っていないケースでは、裁判外で催告を行います。 催告とは郵便や電話などの方法で過払い金を直接請求することです。 ただし証拠を残す必要がありますので、内容証明郵便を使用します。 費用や時間が殆どかからないことから、手続きの前にとりあえず時効を止めるために行われます。 催告を行えば、6カ月間は時効の進行をストップさせることができますが、時効が中断するのは1回だけですので、その期間内に裁判を起こさなければ6か月後に時効が成立してしまいます。
裁判所で過払い金請求の訴訟を提起する
催告の以外で過払い金の消滅時効を止める方法は、過払い金請求の訴訟を提起することです。 訴訟を起こすことで過払い金の消滅時効を止めることができるので、消滅時効が迫っている場合は裁判を始めることが有効になります。 その際に必要となる書類には、訴状の正本と副本、証拠説明書の正本と副本、取引履歴の正本と副本、引き直し計算書の正本と副本、そして貸金業者の会社の情報が書かれた登記簿謄本が必要となります。 過払い金請求の裁判を自分で起こすことも可能ですが、過払い金がいくらになるかを引き直し計算をしたり、裁判を起こすために必要な書類を準備したりしなければいけなく、どうしても時間がかかってしまいます。 それらの手続きの最中に消滅時効が成立してしまっても、過払い金は回収出来なくなります。 ですから、消滅時効が迫っている人は専門家に依頼して、いち早く訴訟を起こすようにしましょう。
賃金業との取引に不法行為があった場合
過払い金請求の消滅時効は10年ですが、あくまでも正当な手続きでお金を貸していた場合のことであり、不法行為があった場合にはこのルールは適用されません。 いわゆる逃げ得を許さないための措置として、損害を知った時から3年という形に期間が変わります。 取引履歴を遡って、過払い金の額を把握したタイミングをもって損害を知ったと言うことができますので、取引の終了から10年経過していても時効にならない場合があります。 不法行為に挙がるケースには、暴行や脅迫を伴う取り立てや、法的根拠が無いことを知りながら請求をすることなどがあります。 法的には「社会通念に照らして著しく相当性を欠く」とされており、該当するかは裁判所の判断によりますが、完済から10年以上経過していても過払い金請求ができる可能性があります。
まとめ
過払い金請求には消滅時効というものがあり、過払い金の請求期限は最終取引日から10年間とされています。 2017年をもって過払い金請求ができなくなるというのは間違いです。 しかし、賃金業者の金利改定と過払い金請求期限の関係性から、多くの賃金業者が金利改定をしたのが2007年であり、期限が迫っている人は多くいるのは事実です。 消滅時効が成立すると過払い金は取り戻せなくなってしまいます。 ですから、消滅時効の起算日や取引の一連性・分断等を理解して、早めの行動を起こしていくことが大切になります。 過払い金請求を考えている人は、まず取引履歴を取り寄せて消滅時効が迫っていないか確認してください。 もし、迫っている場合は専門家に相談して、消滅時効を止める手続きを行ってもらうようにしてください。
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