過払い金請求での強制執行
判決を無視して支払ってくれない業者がいる
過払い金請求を行う際にはまず貸金業者との和解に向けた話し合いで進めていきますが、もし双方の条件などで折り合いが付かない場合は訴訟という形になります。また、請求する額が200万から300万円と比較的大きい場合は訴訟のほうが回収できる額も大きくなるため、過払い金請求では訴訟となるケースも少なくありません。
裁判にかかる期間は半年から長くて1年程とある程度時間を要しますが過払い金請求の場合、基本的に原告が負けることは稀なため多くの場合は主張が通ることとなります。
このとき大手の貸金業者の場合は判決を無視するようなことはありませんが、規模のあまり大きくない業者などの場合判決で支払い命令が出たとしても無視や滞納または支払い自体を拒否されることもあります。
このように裁判の結果後に支払いを拒否される場合は強制執行でお金を回収ができる可能性があります。自己破産や任意整理といった債務整理を検討される前に自身に過払い金がないか一度調べてもいいでしょう。
債務者から債権者に?強制執行へ
判決が出ると借金を支払っていた身から今度は逆に借金を取り立てる側になります。過払い金請求における強制執行は裁判所へ執行申請を出すことによって相手に対して強制執行を行います。
執行する対象に関しては優先度の高いものとして預金、給料や売掛金などのお金を取り立てるケースが多いでしょう。執行対象には他にも不動産、動産があり強制執行できますがこの場合、お金に換金したりする手間やコストがかかり受け取るまでに相当手間がかかるためです。
申請については弁護士に依頼していた場合は引き続き弁護士が担当しますが、もし自身で行う場合は必要書類として「判決正本(債務名義)」「債務名義に対する執行文」「判決確定証明書」「判決正本の送達証明書」が必要になります。
上記の書類が用意できたら「債権差押命令申立書」も用意します。ここには相手方の預金口座と支店名といった口座情報などを記載し、強制執行はここに記載された情報から行われることになります。全ての書類が用意できたら取り立てる対象の所在地にある地方裁判所に提出します。
強制執行での注意点
弁護士費用は訴訟とは別になることもある
一般的に過払い金請求における弁護士費用は回収額の20%程が報酬の相場ですが、裁判を行った場合は25%が相場となります。しかしこの仕事内容については各弁護士によって変わってくる場合もあり、例えば強制執行まで含んだ料金の場合もあれば、裁判までの費用と強制執行は別とする場合もあります。
過払い金請求に関する報酬は割合報酬ですので自身の報酬のためにも弁護士は基本的に執行までを含めた料金で提示します。
また、過払い金請求の依頼が終わった後も借金が残る場合は引き続き任意整理などの債務整理の依頼を行う可能性も高いため、後になってトラブルとならないためにも強制執行になった場合やその後の債務整理などの料金については事前に相談しておく必要があります。
和解には応じた方がいい?
預金や売掛金の強制執行は相手方の預金口座を自身で調べる必要があるのですが、口座に関しては実際は分からないことも多いため執行手続きを申請しても失敗することはよくあります。
その結果、申請を何度も行うはめになり手続き費用が多くかかってしまいます。そのため、もし強制執行の段階やその前に和解の話が出た場合は応じるのも一つの手です。
勿論、和解内容にもよりますが分割払いにしてほしい、9割での支払いにしてほしいなどであれば上記のような執行失敗リスクもあるため一概に悪い話でもないといえます。
また、相手の企業規模が中小の場合は倒産リスクもあるため全く取り返せない場合もあります。もし和解の話が業者側からあった場合は弁護士から話がありますので一度相談してもいいでしょう。