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過払い金請求のテレビCMが多い理由

過払い金請求を急かすようなCMを見聞きする機会が多いと感じている方は多いのではないでしょうか。テレビやインターネット、ラジオ、新聞や雑誌など多くのメディアに広告が出されていますが、過払い金請求に関するCMが増えているのには消滅時効が大きく関係しているようです。消滅時効とは何なのか、過払い金請求は今後どうなるのかを知ることで過払い金請求のCMが多い理由も理解できるはずです。貸金業者と1度でも取引経験がある方は当事者であるため、その理由を知っておきましょう。


過払い金には消滅時効がある

過払い金請求のテレビCMは、2016年8月現在においても非常に多く放送されています。むしろ、年を追うごとに多くなっているように感じている方も多いでしょう。また、テレビ以外にもラジオや新聞紙面、インターネット広告などでも目にする機会が多いのではないでしょうか。では、なぜ過払い金請求のCMが多くなっているのかということですが、これは消滅時効があることと大いに関係しているのです。過払い金請求権は最後に取引した日から10年間という定めがあり、この期限内に請求しなければ支払い過ぎた利息が数百万円あったとしても取り返すことはできません。過払い金請求権は民法703条で規定される不当利得返還請求というもので、貸金業者は利息制限法の20%を超える利息を不当に受け取っていたときがあるため、これを返還してもらうための権利です。また、民法では消滅時効を10年と定めており、それが過払い金請求の消滅時効を10年とする根拠になっています。過払い金請求がおこなわれるようになった当初は、過払い金の発生から10年として裁判で争われていたようですが、現在では最後の取引から10年で消滅時効を迎えるとするのが一般的ですつまり、2003年から貸金業者と取引している方は、継続的に貸金業者と取引をしている中で最後の取引が 2013年だった場合は2023年に消滅時効を迎えることになります。過払い金請求をおこなう側にとっては、とても都合のいい法解釈だといえるでしょう。

消滅時効で争うケースもある


消滅時効については裁判で争うケースも起きています。たとえば、借りては返すを繰り返している場合、契約期間の中でおこなわれている一連の取引とみなされるのは先に説明した通り10年間の消滅時効に含まれるが、いったんはすべて完済した後で再度同じ貸金業者から借り入れした場合の消滅時効については裁判官によって判断が別れることがあるようです。具体的な例としては、2000年に100万円借り入れ2010年に完済、その後2011年に100万円借り入れして2016年現在も取引を継続中という場合です。それぞれを別々の取引と判断された場合、2000年に借り入れしたものについては消滅時効を迎えていることになり過払い金請求はできません。一方、空白期間を含めて一連の取引の中に含まれると判断されると、2000年に発生している過払いについても請求できることになります。借り入れをしている側にとっては当然ながら後者のほうがメリットとしては大きいのですが、これについては法律に明記されているわけではないため、裁判官の判断が分かれる。ポイントになるのが空白期間であり、空白期間が短ければ一連の取引とされ、空白期間が長ければ別々の取引と判断されるケースもあるようです。これらのケースに当てはまる方は、過払い金請求をする際に弁護士や司法書士へ事前に相談しよう。


理論上2017年には過払い金請求はなくなる?

過払い金請求のCMが多くなっていることは、過払い金請求の消滅時効である10年が大きく関係していますが、もう1点大きく関係しているのが2006年の最高裁判決です。貸金業者は利息制限法で定められている上限金利の20%を超え、出資法で定める上限金利の29.2%以内で貸付をおこなっていた。しかし、利息制限法の上限金利を超えた利息について、最高裁では無効だとする判決を2006年に出したため貸金業者は金利を引き下げることになりました。この判決により貸金業法が改正され、2010年6月18日から出資法の上限利息を20%に下げられたが、ほとんどの貸金業者では2007年には金利を引き下げています。先に紹介した過払い金には10年という消滅時効があるという話がここにリンクし、2017年には過払い金の多くは消滅時効を迎えることになるのです。もちろん、最後の取引から10年後が過払い金請求の消滅時効とされていることから、2017年にすべての過払い金請求が終わるということではありません。しかし、貸金業者からの借入期間が長い方の中でいまだに過払い金請求をしていない方は少ないでしょう。そのため、現実的なところとしては2017年には過払い金請求の対象者はごく少数になると考えられることから、支払い過ぎた利息を早めに取り戻すためにも過払い金請求のCMが増えているのです。


過払い金請求の状況と推移

では、過払い金返還請求の状況はどうなっているのか確認しておきましょう。日本貸金業協会によると、2006年度以降の過払い金請求金額は2009年度の6589億円をピークに減少傾向を辿り2013年には3009億円と半額以下になり、2014年には2096億円とさらに減少しているのが実態のようです。これらのことからも 2017年には過払い金請求をおこなう債務者が極端に少なくなると予想され、過払い金請求のCMが増えている要因になっているのでしょう。


消滅時効を伸ばす方法もある


あくまでも応急的な措置ではありますが、内容証明郵便を使って時効を半年間引き延ばす方法があるので覚えておくといいでしょう。これは民法147条『時効の中断事由』に定められているもので、催告することで債権の消滅時効を中断させることができるのです。特に内容証明郵便を使って催告する必要はなく、電話で催告してもいいのだが内容証明郵便で残すことが望まれる。ただし、再度内容証明郵便を送り時効の中断を延期させることはできません。この方法はあくまでも短期的な時効の中断という意味では有効ですが、本格的に時効を中断させたい場合は訴訟の提起や民事調停など、裁判上の請求をおこなうことが必要です。訴訟の提起というのは裁判所に対して過払い金請求の民事訴訟を提起することであり、民事調停は解決のために貸金業者と利用者が話し合いの場を持つことですこれらの方法で債権が確定されればさらに10年間時効が延長されるが、金銭的コストや時間的コストがある点に注意しよう。


過去に借り入れした経験があるなら相談を!


今現在、貸金業者からの借り入れがまったくないという方も、過去に借り入れした経験があるなら支払い過ぎた利息を取り戻せる可能性があります。具体的な借り入れ年や完済年について忘れてしまったとしても、契約書の控えがあればそこからある程度の判断がつく。具体的な金額を知るためには貸金業者に対して取引履歴の開示請求をしなければならないが、まずは弁護士や司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。弁護士や司法書士に相談するならまずは事務所選びのポイントを見るべきです。

ちなみに、取引履歴の開示請求は自分でおこなうことも可能です。貸金業者は利用者からの取引履歴開示請求について応じなければ罰則の対象になるため、開示するまでの対応が遅いなどはあるかもしれないが請求には応じてくれるでしょう。ただし、実際に過払い金請求をおこなうには自分でおこなうよりは弁護士や司法書士に依頼したほうがスムーズに進むことが期待できます。和解交渉で貸金業者から納得できる金額を提示されなかった場合は訴訟することになりますが、この場合も自分でするよりは専門家に依頼したほうが安心できるのではないでしょうか。いずれにしても、支払い過ぎた利息を取り戻せるタイムリミットが迫っていることを認識し、早めの行動が消滅時効を迎えないために大切です。