友達と飲んだ話
午前9時。
昨夜7時起きを誓った男は、相変わらずの寝坊である。
開かない目にコンタクトをねじ込み、わしゃわしゃと髪をセットし、家の前のバス停に向かう。
なんとかバスに乗り込むと、スターバックスをモバイルオーダーする。
どんなに遅れそうでも、やりたいことをやりたいし、食べたいものを食べたい。
そんなふうだから、危機管理能力が恐ろしく欠如している。
今回も遅れそうになり、結局走った。
今日は久しぶりに友達と飲み会をするために福岡に行く。
月1程度で、遠出をするため、新幹線やバスには慣れた。
新幹線などの予約ができない人を見ると、自分がすごい人の様に感じる。
こんなにも簡単に自己肯定感が上がるなんて、単純な人間でよかったと日々感謝している。
福岡に着くと、まずは加湿器くん(カッシー)と昼ごはんを食べに行く。
福岡在住のカッシーがおすすめの牛カツ屋に連れて行ってくれるらしい。
「もうちょっとで着くよ。」
このセリフを彼は何度も言った。
約30分ほどしてやっと店を発見した。
田舎出身の人間が都会に適応するのは難しいらしい。
店はかなりの人気店らしく、すでに5組ほど並んでいた。
待つことに億劫な雰囲気を見せる僕と、当たり前かのように列の最後尾に止まるカッシー。
都会に染まりきれずとも、小慣れ感を見せる彼をどつきたくなった。
ちなみに牛カツは油っぽくて好みではありませんでした。
そんな顔は一切見せず、
「おいしいね!」
と笑顔で完食しました。
次ご飯に行ったときに、実は美味しくなかったことを報告しようと思います。
午後18時。
カッシーと別れ、本日泊めていただく谷山くんの家に到着した。
玄関前で待つ僕の背後に、イキった原付の音が聞こえた。
スピード違反や一時不停止で、何度か警察に目をつけられた原付は、速度計が壊れている。
彼は僕が初めて出会った天才であるが、その傍ら阿呆も兼任していた。
居酒屋で赤鼻トナカイくん(赤鼻)と合流し、3人での飲みがスタートした。
1ヶ月ほど前に、計6名での飲み会に参加したのだが、僕は隅でレモンサワーを飲むだけの人になっていた。
人数が多くなると会話に入れなくなる。
典型的な陰キャラ臭をぷんぷんに醸し出したその飲み会は、人生最悪の飲み会を更新した。
「5人以上の飲み会だと、お前静かになるからな。」
赤鼻にそう言われ、僕を理解してくれている人といられる空間が心地良かった。
人生最悪の飲み会にも、赤髪、谷山両名とも参加していたことは、レモンサワーの濃さと、彼らの笑顔に酔いしれ、忘れることにした。