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ヒカルさんというyoutuberの話

金と黒というツートンカラーを頭に乗せた青年の口が動き出す。

「はい、どうもヒカルです。今回なんですけども…」

心地の良い声音を耳が捉えると同時に、僕の視線はスマホの画面から離れることを許されなくなる。

軽快なテンポで発される言葉には、様々な表情が隠されている。

中でも鋭利に尖った毒歯を覗かせる姿は、多くの人が待ち望んだ瞬間である。

丁寧な梱包など興味はなく、ただひたすらに心の内を関西弁に乗せる。

「おい、すごいな。」

隣に座る緑髪のSは困惑の表情を覗かせる。

常識という感覚の麻痺したカメラマンMはここぞとばかりに七色の笑い声を飛ばす。

これこそが毒の盛られたエンターテインメント。

容易に近づくことのできない存在であることが、さらに彼の魅力を際立たせる。


「緊急で動画を回してるんですけど、…」

youtuberらしい特異な挨拶は用意していない。

最低限の言葉で動画の始まりは固定されている。

早く企画に進みたい、オープニングトークを話したい、気持ちのノリを最優先に考えているからこそのスタートダッシュなのかもしれない。

そんな彼の動画は1時間を超えることも珍しくない。

特番企画になると6時間を超えるものもある。

「ちょっと暇を潰そうかな。」

そんな安易な考えではついていくことができず、カリスマに飢えた視聴者を量産しては従える。

数時間の動画の中で、彼が身を潜めることはほとんどない。

常に口が動き、反射に近い速度で言葉を生み出す。

用意されたものではなく、その場の空気感や感情(つまりはノリ)で物事を進めていく。

その性格から時に批判をぶつけられるが、自分に必要と考えればすぐに軌道を修正する思慮深さも兼ね備えている。

結果を出してきた彼の功績だけを見ると、天才と簡単に言いたい気持ちも理解できるが、その過程には揺るぎない信念と努力が隠されている。


ダークサイドの人間、いわゆる悪役であると印象を持たれることの多い彼だが、僕が思う魅力は優しさである。

上辺だけの優しさではなく、本当に助けたい人に全力を捧ぐ。

「アンチのために動画を出すのではなく、ファンのために出す。」

向き合うべきもののベクトルを揺らがせることはなく、彼の周りには勇気と自信が伝染する。

素直にかっこいい。


今回は僕が憧れるヒカルさんについて書きました。

目指すべき優しさの形が彼の行動にあるのではないかと考えています。

「余裕」

これは今まで動画を見てきて1番感じたことです。

自信から、金銭面から、仲間から。

余裕を持っていることが誰かを助けるために必要なことの一つではないかと思っています。


努力あるのみ。

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