2度目の冬
生駒山に移住して2度目の冬が来た。生まれたところは静岡。あ。なんだか今、sizuokaという地名がとても遠くに感じられた....不思議な氣持ち。生まれてからずーっと、おかしな拘りというか呪縛がこのsizuokaからわたしが出ることを拒んでいた。ほんの小旅行ですら、なかなか出来なくて...。でもあの時、奈良へ行こうって決めたんだよね、心から湧き上がる衝動に突き動かされるように。あれがきっとキロンリターンの衝動だったのだな、って今ならわかる。ねぇ見て、この冬苺。今の私にはこの自然の恵みがどんな宝石より輝いて見える。目覚めてすぐにストールを羽織り、玄関を出ればそこはもう森や空が間近。数年前までは想像もしなかった今がここに在る。これからもっと、イメージ以上の未来がきっと在るんだって思う。だから...わたしは生きようと思う。そっと、そして確実にイマを踏み締めて。ここの冬の冷たさが好きだ。頬や鼻先を撫でゆく風は故郷の慣れ親しんだそれとは全く違う温度だけれど、キュッと身の引き締まるあの感じがわたしにとっては新鮮で...。明日はまた、冬苺を摘みに行こう。