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Deep river

こどもの時から本が大好きだったわたしだけど、多くの著名な作家の作品に対しての特別な興味はなかった。
読みたいときに読みたいものを読むだけ。
その時々の気分で…要するに欲するままに手あたり次第読み漁っていた。

ある日の寝る前のほんのひと時、布団の中でSNSをチェックしていた。
ページを繰っているとぽんっと、遠藤周作の言葉集が上がってきた。
意識したこともなかったその作家の言葉が、その時の私へのメッセージだと認識した。

「自分が弱虫であり その弱さは芯の芯まで自分に付きまとっているのだ 
という事実を認めるところから 他人を見、社会を見、文学を読み、人生を考えることができる。」

解っているからこそ認めたくないのが自分の弱さだ。
弱さこそが月星座なのだ、と今は思う。

そしてもうひとつ。

「手を握られた者は 自分の苦しみや痛みがこのつなぎ合わされた
手を通して、相手に伝わっていくのを感じる。
だれかが、自分の苦しみや痛みをわかち持とうとするのを感じる。」

確かに。
だれかの体温を感じるとき、自分が生きているということを再認識する。
そしてその体温を持っただれかも生きているわけで…。
それがたまたま食事の席で隣り合わせになったひとだとしても、やはり
生を実感する瞬間となる。

遠藤周作著「深い河」 買っちゃった。
読もう。

今年もどくだみの花が白く美しく咲いている。
十字架のような総苞片。
濃厚な緑色の葉はハート型だ。
花言葉は「自己犠牲」「白い追憶」
この花を一輪挿しに活け、目の端に入る場所で本を読もうと思う。


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