シナリオを学びにくるのはどんな人たち?

※本記事の無料公開は期間限定です。

『六十の手習い』だの『なにを始めるにも遅くはない』などという言葉をよく耳にします。
その言葉に背中を押されたのか、私が所属していたシナリオセンター大阪校でもお年を召した方々がたくさん生徒として在籍しているのを見かけました。
ではこのような脚本学校は老後の楽しみとして通う方々がメインなのでしょうか?
生徒の構成比率にはどのような傾向が見られるのでしょうか?
本記事では実際に私と机を並べた方々、20名弱をサンプルとして、様々なカテゴリーからなる統計を取ってみることにしました。
「でももう年だし……」「年代や性別で浮いてしまわないか心配」という心配が足を引っ張っぱり、脚本学校に通えないという方たちの参考になれば幸いです。
ちなみにサンプルの母集団は2017年10月~2019年末ごろのシナリオセンター大阪校で私と同じクラスとゼミに所属していた生徒なので、ある程度の偏りがあることをあらかじめ念頭に置いてください。

まずは【年齢と性別】から、

10代:1人
20代:6人
30代:5人
40代:1人
50代:3人
60代:2人

男性:9名
女性:8名

となっていました。傾向としては以下のことが読み取れます。

・性別の構成比率は同じ(男女半々)
・20代と30代が最も多く、10代、40代が極端に少ない。

この集計結果に触れて、私が所属していた『クラスの日時』に多少の影響を受けているのかもと感じました。
私は『土曜の午後』以外のクラスを選択しなかったのですが、それは仕事等の都合によるものでした。
私と同様の事情を抱える方、つまり働き盛りの世代である20代~50代の生徒が、土曜午後のクラスに集中していたという推測は否めません。

シナリオセンターはカルチャー教室的な一面が強い学校です。
平日のクラスではリタイア後の趣味として通っている生徒が多いという話も耳にします。
もしも全ての曜日のクラスを合わせて集計すると、60代の層がもう少し分厚くなるのではないかと私は思っています。

一方、どの曜日のクラスであっても10代の生徒は珍しいのではと思っています。私の遭遇したケースでは中学生の女の子でした。
シナリオライターを志す10代の学生は決して珍しい存在ではないと私は思っています。おそらく他の年代層を圧倒するほどのボリュームがあることでしょう。
ではなぜ脚本家に通う10代の学生はこれほどまでに少ないのでしょうか?
それはひとえに10代ならでは、学生ならではの原因があると思っているのですが、その分析は【職業・ライフスタイル別】の集計結果の項目に預けます。

さらに注目すべき点は、40代が極端に少ないことに関してです。これは何を意味するのでしょうか?
あくまでも私見ですが、40代には習い事に割ける時間や余裕がないのが原因ではないかと思っています。
40代には中間管理職、または子供が思春期・青年期にさしかかる方が多く、最も他者のために時間と労力を費やす時期であるのが一般的です。
ゆえに自分自身のためにスキルを磨いたりお金を費やすということが難しいのではないかと思っています。
また20代、30代であれば転職の余地がありますが、40代であればたとえシナリオコンクールで栄誉ある賞を受賞したとしても、シナリオライターに転身するにはリスクが伴うという思いも働き、であればシナリオを勉強しても仕方がないという負の動機が働くのではないでしょうか。

ちなみに男女の構成比率に関しては妥当な数値を示したのではないかと思っています。
シナリオを学びたいと思い、行動をする人に、性差による偏りは感じられませんでした。(もしかしたら若干女性が多いかもしれません)


次に【職業やライフスタイル別】に仕分けてみます。

【年齢と性別】よりもサンプル数が減っていますが、それは私がコミュ障であるがゆえにクラスメイトのプライベートな話をするまで関係を深められなかったことが原因ですので、何卒ご容赦ください。

年金受給者:2名
家事従事者(主婦など):3名
中学生:1名
大学生:2名


クリエイティブ職:1名
IT職:1名
事務職:1名
医療職:1名
国家公務員:1名
その他会社員:1名
フリーターまたは非正規職:2名

上の項目群にライフスタイル、下の項目群に職業というカテゴリーで振り分けました。

一番多い項目が『家事従事者(主婦など)』ですが、パートタイムで働かれている方も含むのを念頭に置いてください。
『家事従事者(主婦など)』が一番多い理由は、家庭以外に自己実現をできる機会を求めた結果ではないかと私は思っています。(家事や子育てはキチンとやっても褒めてもらえる機会が少ないですから)

集計してみて、高校生がいなかったことが少し意外だと感じました。
おそらくですが、高校生の場合は大学受験や部活に忙しく、それらの結果次第で進路が変わってくるので、そちらの方に注力しているのではないかと思います。なので大学生になってシナリオを学ぶ人が増えてくるのではないかと。
またこの結果は先に述べた10代の生徒が少ないことにも通ずるものがありそうです。

またフルタイムで働く方とそうでない方との割合が半々であることにも着目していただきたいです。
つまりこの結果は、社会人となり週に1日または2日しか休みがなくても、そのうちの一日を費やしてシナリオを学ぼうとする人は、決して少数派ではないことを示しています。

また職業も多様に分かれていることにもハッとさせられます。
この多様性が意味するのは、どんな職業、キャリアを歩んでいたとしても、シナリオを学びたいという人には誰にでも門戸が開かれていることです。

少し意外だったのは、クリエイティブな職業に就いている人が1名しかいなかったということでした。
こちらの方は動画制作会社に勤めていた人で、アニメーターに転職したくて、その一環としてシナリオを学んでいた人でした。(後日、見事にアニメーターへの転職を果たされました)
シナリオセンターには現役の漫画家や小説家、テレビ局局員の人がシナリオを学びにやってくることがあるらしいので割合的にもっと多いと思っていたのですが……意外とそうでもなかったみたいです。


まとめになりますが、シナリオを学ぶ人には下記の特徴があるといえます。

・生徒数に性別による有意な差はない。
・年代は20代、30代が最も多い。10代、40代が極端に少ない。
・フルタイム労働者だけでなく、年金生活者や主婦、
 学生にもそれなりの人数がいる。

上記の結果を踏まえて、私が皆さんに贈るエールは下記の通りです。

・中学生や高校生はチヤホヤしてもらえるよ!
 早いうちに学び始めたほうがお得だよ!

・平日は仕事で忙しくても、休日に学んでいる人は意外と多いよ。
 仲間ができるよ!

・家族の目があったり自由に使えるお金が少ないからといって、
 主婦や年金暮らしの方も遠慮することないよ!

・基本的に学歴や職歴、年齢で肩身の狭い思いをすることは起きないよ。
 いろんな人がいるよ。

くり返しになりますが、本記事のデータおよび知見は私個人の体験や意見に依拠しておりますので、実態とは異なる偏った結果である可能性は否めません。
それを踏まえてご参考いただけますと幸いです。


※最後までご覧いただきありがとうございました。

 末筆に本記事と関わりの深い記事をご紹介いたします。

・シナリオライターになるまであと3年と4カ月『2017年10月』【エッセイ】30歳中卒男が4年がかりでシナリオライターになるまで https://note.com/kabakamon_note/n/n66be13f19914

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