動画の「企画」と「構成」は何がちがう?
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では、動画の制作で稼ぎたいのなら上流側の仕事をするべきだ
上流側の仕事というのはズバリ「企画」と「シナリオ(構成)」である
というお話をしました
そういうと「企画」と「構成」ってどう違うの?
という疑問が湧いてくると思うんです
建物を建てる前には何が必要?
「企画」といい「構成」といい、これは実際の動画を制作する前の工程です
たとえば、建物を建てるとしましょうか
建物を建てるには、設計図が必要ですね
設計図がなければ、どんな建物を建てればよいか、現場の人が困ってしまう
そこで設計士さんが図面を描くわけです
現場では、その設計図に沿って建物が建てられます
ところで、設計士さんにいきなり「ここに建物を建てるので設計図を描いてください」と言ったらどうなりますか?
「何に使う建物ですか?」
「どんな人たちが使うんですか?」
「何階建てで、それぞれの階にはどんなテナントが入りますか?」
などなど、百万もの質問が返ってくるでしょう
それらは設計士さんが決めることではありません
施主さんが決めないといけない
つまり「仕様書」みたいなものが必要なわけですね
「設計図」と「仕様書」が必要なのは、建物の建設ばかりじゃありません
動画を作るにあたってもまったく同じなんです
動画の場合の「設計図」と「仕様書」は?
これを動画に当てはめますと「設計図」はシナリオに当たります
つまりシナリオライターは設計士と同じ仕事なんです
シナリオは、たとえばTV-CMなどでは絵コンテと呼ばれていますけど、同じ役割です
つまり「企画」と「構成」のうちの「構成」はこのシナリオ(絵コンテ)を作る作業です
じゃあ「企画」というのは何をする作業か?
ここは携わったことのない人には、なかなか想像がつかないかもしれません
ひとつには、その動画の「目的」をはっきりさせること
目的というのは、誰に、どんな効果を及ぼすか? ということです
このうち「どんな効果」はわかりやすい
販促のための動画ならば、この商品の売上を伸ばす
求人のための動画ならば、この会社への応募を増やす
次に「誰に」です
動画はコミュニケーションの手段なので、常に「誰に」を意識する必要があります
販促のための動画ならば、その商品を買う顧客はどんな人か?
求人のための動画ならば、会社が求める人材はどんな人か?
それが動画にとっての「誰に」に当たります
ここまでは、まぁクライアントが決めることですね
じゃあ「企画」の仕事というのはそれだけなのでしょうか?
動画の「企画」とは?
「誰に」「どんな効果を」この2つが決まったところから、企画者の仕事ははじまります
「どんなメッセージを」「どんな表現で」伝えたら、その効果が起こるんだろう? それを考えることが企画です
動画はコミュニケーションの手段なので、結局はメッセージを伝えることが動画の仕事です
ただ、メッセージを伝えるといっても、言葉にして語りかける、あるいは読ませるだけが手段ではない
さまざまな手法で、視聴者の頭の中にメッセージを送り込むことができるのが動画を使うメリットです
視覚と聴覚という、人間が主に頼っているふたつの知覚を操ることができるのが動画です
動画の持つ力を最大限に発揮させるには、ふたつの要素が必要だと思います
それは「アイデア」と「コンセプト」です
動画にとってアイデアとは何か?
動画はシンプルにメッセージを伝えればよい、と、あなたは思いますか?
もちろん、そういう動画もあります
ビジネス動画であれば、プレゼンテーションをそのまま録画したような動画
それも動画のひとつです
ただ、プレゼンテーションは、そういう場があってのプレゼンなのです
ひとつの会議室などを共有して、プレゼンテーターが立ってしゃべる
大画面にプロジェクターなどでスライドが投影される
だから、人々は聞くんですね
動画を見るというのは時間を消費する行為です
面倒くさいことです
それでも相手を画面に釘付けにして、メッセージを頭に刷り込ませる
動画はそうでなければいけないんです
そのためのアイデアが必要なんですね
ストーリー仕立てにしてみよう、とか、プレゼンテーターが動物だったらどうだろう、とか、企画者はいろいろと考えるのです
動画のコンセプトとは何か?
じゃあ、動画のコンセプトとは何でしょうか?
これはつまるところ、伝えるメッセージです
アイデアが秀逸であっても、伝えるメッセージがしょうもなかったら意味がありません
何かの効果を期待する以上、視聴者の心を動かす必要があります
あえて言えば、行動させる必要があります
販促のための動画ならば、視聴者に「商品を買う」という行動を起こさせるためのメッセージが必要です
ただ「この商品は良い商品ですよ」というメッセージを届けただけでは、視聴者は動かないと思います
求人のための動画ならば、視聴者に「その会社の求人に応募する」という行動を起こさせるためのメッセージが必要です
ただ「この会社は良い会社で、人材を必要としています」というメッセージを伝えたら、視聴者は応募する気を起こすでしょうか?
たぶん、そうじゃない
じゃあ、どういうメッセージを伝えたら、目的を達せられるか?
視聴者の心を動かして行動に結びつけるメッセージがコンセプトだということができます
だから企画は最強である
クライアントが動画制作にお金を出すのは、ちゃんと目的を達せられると思うからです
そのためにはアイデアとコンセプトが大切なんです
最初の工程である「企画」がその鍵を握っている
シナリオ以降の段階は、すべてその「企画」を実現するためのプロセスでしかありません
「企画」がダメだったら、すべてがダメなのです
ある意味「企画」がすべてを握っています
だけど、動画の企画をちゃんとできる人って、本当に一握りなんですよね
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