1人行動がハマった瞬間
もう15年ほど前のことになってしまうが、大学の卒業旅行の出来事をふと思い出した。
行き先は憧れのイギリス、フランス。
慣れていない海外旅行である。安心の添乗員付きツアーに友人と2人で参加した。
定番の場所をガイドさんの詳しい案内とともに巡っていく、そんな旅行であった。
イギリスからフランスへ移動し、パリでの滞在では午前中に自由行動という日があった。
友人は旅行をしながら薄々、私との価値観の違いに気づいていたのだろう。自分はバッグがほしいからブランド店を回りたい。良かったら別行動しないかと提案されたのである。
私はそれを違和感なく受け止め、早起きして1人出かけた。
スマホはない時代。ガイドブック片手になんとかメトロを乗り継いで向かった先はオルセー美術館。海外で初の1人行動。無事に到着した自分に、良くやった!と褒めたい。何なら1人美術館も初めてだったと思う。
建物の素敵な雰囲気、一つ一つの作品の印象深さ、それらを自分のペースで楽しんだ。新鮮な感覚であると同時に自分にとって自然な状況だと思った。
これをきっかけに1人行動の時間が増えていき、1人旅行もするようになった。
私の旅行は国内、海外問わず日程をイチから考え、飛行機やホテルをとり、目的地にどう行けばいいのかを調べ、必要があれば電車やバスの予約もしていく。
調べるうちに土地勘も自然とついてきて、現地で応用できる。こんなふうに行動した旅行は語れる経験となる。
こんな旅行を繰り返していたら、普段の行動もこんな感じになってきて、自分で調べて自分で判断して行動する、というのがベースになった。
今思えば、その原点がオルセー美術館に行ったあの数時間だった。
少し大げさだが、これが人生の行動指針が決まったターニングポイントだったなと思うのだ。