ヴィーナスのサロン 1863年
先日は、アングルの泉を書いてみましたが、その最後にアングルのヴィーナスを載せました。
彼の弟子も似た構図でヴィーナスを描いています。
その絵を、時のサロン(公式美術展覧会)に出品しています。
この時のサロンはヴィーナスの出展が多く、ヴィーナスのサロンと揶揄されるほどでした。
1863年のサロン、実はこのヴィーナス以外にも色々な話題をさらったことで特に有名です。(いつか書ければかきたい)
今回は特に有名な1863年のサロンで話題をさらったヴィーナスの絵画三点を見ていきたいと思います。
どの三点が気になりますか?
『ヴィーナスの誕生』(カバネル、1863年)
1863年のサロンで絶賛されたのがこの絵になります。とても美しい。
私も実際見たことがあるのですが、結構大きい絵なんですよね。
フランス皇帝ナポレオン3世が個人的なコレクションのために買い上げたことが有名です。
この頃裸婦画を描く決まりとして、神話世界を題材にして、人ならざるもの(つまり神とか神とか)を描く場合は、ヌードで描いても良い、というものがあります。
画家たちは艶めかしい裸婦画を神として描いていくわけです。
腕を頭の上に曲げ、艶めかしいポーズを取って誘惑的な媚を投げかけています。
しかも眼を半ば閉じているため、鑑賞者と眼を合わせることはないわけです。
『真珠と波』(ポール・ボードリー、1862年)
カバネルと同様人気を博した絵として非常に有名です。(3点の中でもこれが一番好き。女性はこちらを選ぶと思います。全部見せない奥ゆかしさ!)
画家は波によって女性なるものを表現しようと考え、打ち寄せる波を宝石箱に見立て、また女性像を真珠に見立てることで、波の中から現れる真珠のごとく女性像を描いたと言われています。
その結果、官能性と幻想性を合わせ持ち、ヴィーナスの誕生を思わせる作品として完成しました。
この絵はなんと皇后ウージェニー・ド・モンティージョが購入しています。
要するに皇帝夫妻がそれぞれ絵画を購入しているのです!
余談ですが、ウジェニーもなかなかすごい人生歩んでいらっしゃるのでいつか書けたらいいな。。
『ヴィーナスの誕生』アモリー=デュヴァル
最後に紹介するのが、アングルの一番弟子と言われているアモリー=デュヴァルのヴィーナスの誕生です。
いや、これ師匠であるアングルのオマージュなの?というほどよく似てます。ポーズ逆にしただけとちがう?っていう…。
この絵も人気であったと記録に残っています。
(冒頭の風刺画見てみてください!)
次回書く予定ですが、彼の弟子はこういうヴィーナス描いてます。やはり師匠の作品に敬意を持ってるからなんでしょうね。。
そういえば、カバネルの弟子もカバネルのヴィーナス誕生のオマージュを描いています。
これだけのヴィーナスが集ったサロンは圧巻であったのだろうなと思います。
ヴィーナスのサロンと言われる所以もわかりますね。
しかしながら、この1863年のサロンでの成功を収めた彼らとサロンを落選した画家がこの後明暗を分けるとは、誰も想像しなかったのではないでしょうか…。