「人魚が逃げた」を読んで。
自分は普段は人の負の感情が渦巻く本を読んでいるんだけど、どういう巡り合わせなのか今回読んだ本は「光」の本だった。
登場人物がみんな報われて幸せになれて、ハッピーエンドになる本。
もしかすると「人魚が逃げた」という本は、そういう類いの本ではなくて、なんかこうもっと深い意味合いがあるのかもしれないけど(それこそ私が想像も及ばないような)、私には「光の本」という印象が残った。
善良な人間が善良のまま、存在できる世界。
それこそ神様(作者)の裁量で、みんなが幸せになれる世界。
今まで私が読んできた本はどっちかといえば、神様(作者)の裁量でだれかが不幸になり、誰かが呪われ、誰かが人を殺す本ばかりだったので、なんというか、私の思考もそっちよりで、本の中で登場人物達がなにかを悩むたびに、「あー……、でも多分」みたいな感じで悪い方向に考えを巡らせるのだけれど、生憎、「人魚が逃げた」ではそうはならない。
優しい神様(作者)がいる世界は幸せだなと思う。
優しい神様がいるかどうかも分からない(というか多分いないだろうな)こっちの世界では、最終的にハッピーエンドになれるかどうかは謎のまま、とりあえず生きていくしかない。
というか、優しい本を読んだ後でもその優しい余韻に浸ることもそこそこに薄ぼんやりとこの日記を書いてる時点で、私も相当ひねくれた性格をしている。
私には人が幸せになる本はむいてないんだろうな、と思う。