ピノコを宿した40手前のおっさんが婦人科に通う話 6
次の外来診察までにCT、MRI、PET検査を受けた。
確か週1くらい病院に行って何かしらの検査を行う。
一通り終わった12月下旬、外来診察の日が来た。
まずは血液検査。
それだけでも1時間は待つ
そして、この日も診察の予約時間は大幅に過ぎ、ひたすら待つ。
同行してくれた母親も待ち疲れしているようだった。
名前を呼ばれて診察室に入り、説明を受ける。
かなり記憶が曖昧なので正確ではないけども、医師の説明は大体こんな感じだった。
「残念ながら腫瘍は悪性のものです。しかも珍しいほうの胚細胞腫瘍です。どういうものかというと、ブラックジャックという漫画は知っていますか。ピノコがそうです。男性なら精子、女性なら卵子になるもとの細胞を胚細胞というのですが、それが最終的に体のいろいろな器官になっていきます。今回の場合は、その胚細胞が精巣から胸に飛んで行ってしまい、腫瘍になってしまった、というのが閣下さんの状況です。血液検査で腫瘍マーカーというものがあるのですが、胚細胞腫瘍の検査項目である数字が異常に高くなっています。」
ここでPET検査の画像を見せてもらう。
「画像を見ると腫瘍の部分がとても白くなっています。がんは大量に糖分を消費するので、糖分を使った検査薬が集まってきてこのように白くなります。胚細胞腫瘍の場合、通常は睾丸がんを併発します。逆に言うと睾丸がんのがん細胞が飛んで行って、別の場所に腫瘍を作ってしまうんです。なので、胚細胞腫瘍になってしまった場合は睾丸の摘出も行います。だけど、閣下さんの場合、画像の通り胸の腫瘍だけが白くなっています。これを見る限り、睾丸がんは見当たらない。珍しい胚細胞腫瘍の中でも珍しいケースです。」
がんと胚細胞腫瘍の違いがよくわからないが、とりあえず悪性腫瘍ってことは確定した。
医師は続けて言う。
「胚細胞腫瘍でもいくつか種類があって、どれなのか特定するために生検をします。何をするかというと、内視鏡みたいなので腫瘍に直接針を刺して細胞を少し取り、分析する検査です。来週入院してもらって、その検査結果を見て治療方針を考えていきます。」
いや胸に針刺すの?
絶対痛い。
やりたくないけど、しないと死ぬのか。
そう思って帰宅した。
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