ピノコを宿した40手前のおっさんが婦人科に通う話 4
多分次の週。
紹介された病院へ行く。
総合受付で前の病院からもらった電子カルテを渡し、予約していることを告げた。
初診だったので、いろいろ書類に必要事項を記載して診察カードを作る。
まずは血液検査。
採決室に自動受付機があり、カードを通すと受付表が出てきて、それを受付窓口に渡す。
採決後、外科に行き自動受付機にカードを通して、受付窓口に出す。
この病院は基本的にこのシステムみたいだ。
予約は確か10時で調整してもらったはずだ。
11時。
12時。
なにも音沙汰無い。
窓口でブチ切れている人がいた。
「予約の時間から2時間以上たっているのに何でまだなんだ」
自分より待っている人もいるのか。
腹が減ったけど、いつ呼ばれるかわからないのでひたすら待つ。
ようやく名前が呼ばれたのは13時30分ぐらいだったと思う。
自分と同年代くらいの医師が担当になった。
回りくどいこと言わずに、端的に現状を言ってくれたのを覚えている。
「レントゲンを見ると胸に5cmちょっとくらいの腫瘍があります。考えられるのは3つで、良性の腫瘍、悪性の腫瘍でいわゆるがん、あと滅多にないんですが胚細胞腫瘍という悪性のやつのどれかだと思われます。」
良性の可能性もあるのか。
一気に希望が湧いてきた。
でもそれなら前の病院はなんで治療が無理って言ったんだろうか。
「ただどの場合でも腫瘍を切除する必要があるので、いろいろな検査の後、最終的に手術します。」
良性でもですか?
「良性でも大きくなり続けると、気道を圧迫したりして呼吸に支障が出たりする場合があるので取ります。」
どうやって切り取るんですか?
「胸の骨を割って手を入れられるようにします。」
なんかもうがんより怖くなった。
さらに続けて言われる。
「全部の検査が終わったらまた外来に来てもらいます。念のためご家族も一緒にお願いします。」
念のためと言われるとやっぱりがんが怖くなる。
独身なので親兄弟に頼むしかないが、まあ親だろう。
時機を見計らって親に言おう。
そう思いながら帰宅した。
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