尾形百之助~310話の感想~
忘れもしない2022年1月23日。
時間を持て余していたので、以前無料公開で界隈をザワつかせていた「ゴールデンカムイ」のアニメを見よう!と、、本当に何気なく、、、再生したのですが、、。
そこからあれよあれよという間にアニメ3シーズンをイッキ見。
その1週間後にはマンガ全巻+ファンブックを購入していました。
そんなド新人の私ですが、思い入れの強いキャラが二人できました。
主人公の不死身の杉元佐一と、孤高の山猫スナイパー・尾形百之助です。
そして昨日、尾形百之助が亡くなりました。
出会って2ヶ月です。苦しすぎる。
出会った時点で最終章も佳境でしたが。
いつか死ぬとは思っていましたが。
今回はこの虚しさを整理するべく筆を執りました。
個人の解釈ですし、界隈ド素人の戯言です。
ちなみに、ここまで思い入れの強い推しが2次元にできたのも初めてですし、その推しが死ぬのも初めてです。
すぐに受け入れられるわけがない、、、😢
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おっ母のお葬式に父が来なかったとき、おそらく彼は後悔と罪悪感を初めて感じたのではないでしょうか。
自分だけを見て欲しいと、愛して欲しいと思った相手を殺してしまった。
けれど、それを受け止めるには彼は幼すぎました。
まともに受け取ったら潰れてしまう、、、この時から彼は「愛のない両親から生まれたから、罪悪感を感じないのだ」と、血筋のせいにして「罪悪感」に蓋をする人生を選びます。
時は経ち、勇作の存在を知ります。
勇作の天真爛漫さや無条件に与えてくる愛にきっと戸惑ったんだろうな。
ここで素直に勇作からの愛を受け取っていればよかったのに、、
やっぱり肉親から愛や関心を向けられていという子供としての本能が働いたのでしょうか。こんな父でも、自分のことを見て欲しかったのかな?
高潔の権化である勇作に嫉妬して、いろいろ罠仕掛けるも、勇作は高潔なままだし、その度に彼は自分との違いをまざまざと感じるわけです。
そして勇作を殺しますが、また父には見てもらえない。
またしても、唯一愛を向けてくれた相手を殺したという事実を、認めたくない。受け取ったら潰れてしまう。
血筋のせいにして「罪悪感」に蓋をする人生を選びます。
自分の手で愛してくれた人を殺してしまったという罪悪感を、受け止めるには彼の情緒は幼すぎたのかな。
おっ母を殺してしまったあの時の精神年齢のままだったのかな。
仕方ないよね。甘えられる人がいなかったんだもん。
彼は、蓋をしてきた罪悪感に向き合ったとき、耐えきれず自死してしまいました。
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私は、死が救済だとは思いません。
もっと生きながらえて、「祝福」を受け取った後の人生を歩んで欲しかった。
ただ、彼が「祝福を受け取る」ためには、今までの人生を「素直」に振り返る必要があり、その機会として
・走馬灯(生命の危機)
・高潔の権化であるアシリパと対峙すること
が必要だったのだと思います。
死ぬ間際にならないと、自分が「祝福」されていて、高潔な血筋をもつ人々と同じような人生を歩むことができたのだと気づけなかったんですね。
だから、生き永らえたとしても、第七師団長の地位に固執して、もっとたくさんの罪悪感を身にまとい、血で血を洗う人生を送ることになっていたのだと思います。
杉元が切り裂きジャックに放った「誰から生まれたのかではなく、何のために生きるかだ!」というセリフが彼にも当てはまると思います。
血筋のせいにして罪悪感に蓋をした彼は、「何かが欠けている人間」らしい人生を意図的に送っていたのだなあと。罪悪感や本心に蓋をした方が楽に生きれるから。自分を守っていたんですね。
この辺りはアドラー心理学にがっつり当てはまります。
尾形は哀しい人間です。育った環境のせいでもある。
でも、勇作殿に出会った時点で、祝福を受け取った人生を送る可能性があった。それを選ばなかったのは彼自身です。
でも、人間って誰でもこの傾向があるのです。向き合う方がしんどいことを見て見ぬふりして生きてます。
だから私たちは尾形のことが気になってしょうがないし、自分を重ねて祝福を受け取って欲しいと願ってしまうのかな。
彼の選んだ生き方は、結局彼自身を傷つけました。人生丸ごと間違っていた、、と深く絶望します。
その一方、「祝福」を受け取れたのですね。
彼の中の百ちゃんの人格が、素直に「よかったなぁ」と口に出してくれたおかげで、私も救われました。
彼の人生は決して幸福ではなかったけど、ずっと追い求めていた「祝福」を受け取ることができたのは唯一の希望です、、、、。
といってもすべて尾形の幻想なので、勇作殿が本当はどう思っていたのかも、両親が愛し合った瞬間があったのかも分かりません。
全部自分の中で完結させて、孤独の中で終わっていったんだなぁと思うとツラくてツラくて、、、。
彼の生き様から私が受け取ったメッセージとしては、
”早い段階で自分の犯してしまった罪に目を向けて、愛をくれる人間に素直になることで、祝福を受ける人生を送れるよ。”
といったところでしょうか、、、、
この一週間ずっと尾形のこと考えて、気持ちが晴れない時間が多かったです。けど、こうやって文章にすることでかなり前向きな気持ちになれました。
頼みの綱は杉元、、杉元が死んだら私、、、、どうなっちゃうのだろう、、、。
ていうかそもそも、、ゴールデンカムイが完結してしまったら、、??
生きる糧がまた離れていくのか、、と思うと気が気でないですが、今ある供給を精一杯受け取って前を向こうと思います。