スタンフォードの自分を変える教室
私たちは、正しいことをしたいとみずから望む人間だと感じる必要があります。モラル•ライセンシングがもたらすのは、つまるところアイデンティティの危機です。ほんとうの自分は悪いことがしたい人間だと考えると、よいことをした自分に対して「ごほうび」をあげたくなります。そういう考え方では、自制心を発揮することは「罰則」のようになり、自分を甘やかすことが「ごほうび」になってしまうのです。
しかし、それではあまりにも情けなさすぎます。モラル•ライセンシングのワナにはまらないようにするには、「ありのままの自分が最高の自分になることを望んでいる」のだと、そして、「自分自身の価値観に従って生きていきたい」のだと、しっかり自覚する必要があります。
そのように思えば、衝動的で怠け者で負けやすい自分を“ほんとうの”自分だなどと思わなくなります。ごほうびにつられ、だまされるようにして無理やり目標を追いかけ、何の努力もしていないのに「ごほうび」をもらって喜ぶようなまねはしなくなります。