家飯の雑談。非言語コミュニケーションとしてのお料理。
配信初心者のDabel配信100本トライ 10本目!
個人を配信する、ということの練習がてら、自動車通勤時間(片道40分程度)等を使ってDabelの配信をはじめてみました。リスナーがいなくてもとにかく100本続ける!を目標にスタートしています。とはいえ100本ただ続けるでは意味がないので、少なくても一つ、前日と何かを変えてトライする、というのやりながらブラッシュアップしていきたいと思ってます。
Special Thanks
本記事を書き進める中で考えがまとまらなくなった際に、Dabelで知り合った家庭料理研究家の高窪美穂子先生( https://takakubo-cooking.com/ )に相談にのっていただきました。先生の詳細な紹介は本記事の最後にまとめました。高窪先生大変お忙しい中ご協力頂きありがとうございました。
■家で食べるご飯が好き。
これは各ライフスタイルにもちろん影響されるかと思いますが、私の場合は妻がご飯を作ってくれて、それを家族と食べる、という食のライフスタイルです。妻の料理が口に合う、というのもあるかもしれませんが、同じ「美味しい」でも、レストランや友人の家でご馳走になる美味しいものよりも、家で食べる食事の方に幸福感・充足感を感じます。これはなんでだろう、ふと疑問が湧いてきました。自分自身は決して料理研究家の皆様のような料理の知識や文化的背景など詳しいわけではない一般人ですが、高窪先生との対談から得た情報を含め自分なりに明らかにしてみたいと思います。
■外食と家飯の違い。居心地。
家から出て、普段とは違う環境で、普段食べないものを食べる。この行為は非常にリフレッシュできますし、僕自身生きる上での楽しみの一つでもあります。外食の醍醐味はまさにここにあります。
その一方で、普段と違う環境で無意識に緊張していたり、(きっと)美味しいものだからといつも以上に味わおうとしたり、見えない一種のストレスにさらされているとも考えられます。
家飯の場合、身なりは気にせず(パジャマであろうが)、気心知れた関係の家族や仲間とリラックスして味わうことができます。この安心感・居心地は料理を口にするという「体験」に大きく影響している、と考えられます。
例えるなら、旅行に行って、自宅に帰ってきた時に「あぁー、やっぱり自宅が一番だよな」の瞬間の安らぎ、でしょうか。
■シェフやレシピ通りの料理と、母親の料理。
「どんなお客様にもできるだけ同じように感動してほしい」、という思いがシェフの中にはあり、天候や気温などの影響を計算しながらも、最大公約数の感動と、均質な味の提供を目指して感覚を鋭敏にして日々料理しているかと思います。レシピも同じように、誰でも「レシピを作った人の味」を再現できるように作られています。
一方、家族構成は色々ある中で、我が家の場合妻が、目の前にいる子供たちや私の好みを把握しつつ「各家庭の味」を作ってくれています。
どちらにも共通するのは、どちらもそれぞれの方法で「料理の受け手」とコミュニケーションを取っている、と考えられます。ただし、自分にとってより濃いコミュニケーションとなっているのは妻の料理になりそうです。
■大前提:味覚の違い。
育ってきた環境、特にどんな料理を食べてきたのか、は味覚に影響を与えていると思いますし、それは各家庭で全く違うものかと思います。
言葉を恐れずに書くと、他人のご家庭にお邪魔してご馳走になった際に、自分には口に合わなくても、そのご家庭の人達は「美味しい美味しい」と食べている、といった話を耳にすることがあります。これはまさに味覚が異なることによって起きていると考えられます。
■味覚の違いから始まるコミュニケーション。
「夫婦間で味覚が合わなく、旦那さんが夕飯時に自宅に帰ってこない」という話もまた記事で見かけたりすることがあります。
口に合わない奥さんの料理には愛情がこもっていないでしょうか?帰ってこない旦那さんには愛情がないでしょうか?どちらもその可能性はありますし、そうでないことも考えられます。
旦那さんは奥さんを愛しているがゆえに「口に合わない」ことを伝えられないかもしれませんし、奥さんも料理に思いを込めて作っているが、旦那さんの味覚を把握できていないだけかもしれません。
この問題の解決の方法は、コミュニケーションです。料理で味覚の相違をお互い共有し、例えば旦那さんには味をかえる、子供のカレーの味付けを甘口と辛口でわける、奥さんの負担を増やすことなく旦那さんがアイデアをだしたり、「家庭の味」を作り出すきっかけになっていくかと思います。
■作り手のスタンスの違い。妻と自分と。
週末に私自身が料理をすることがたまにあります。息抜きやリフレッシュを兼ねて、家族に振る舞います。その時に料理を選定する基準は、まだ作ったことがなくて「作ってみたい」ものを選ぶことが多いです。例えば小洒落た「アクアパッツァ」をクックパッドでレシピを見ながら、もちろん家族に喜んでほしい気持ちも込めつつ作ります。
結果的に美味しいと言ってもらえるのですが、子供たちに感想を聞くと、「ママの料理の方が好き」となります。
一方妻の料理は、冷蔵庫の中にあるもので、名もないような料理を作ります。しかし、実際自分で食べてみても、やはり妻の料理に充足感をより大きく感じます。この違いはどこにあるのでしょう?
冷静に俯瞰にした時に、作り手のスタンスに決定的な違いがありました。
私自身が作る料理はあくまで「自分が食べたいもの」「褒めてほしくて作るもの」と自己完結なスタンスに対して、妻の料理は「子供たちが動やったら美味しく食べれるかな?」「前の味付けのときの反応がいまいちだったから今回はちょっと調整してみよう」といった、相手ありきの、そしてその中に相手に対するコミュニケーションするスタンスがありました。
料理の中にコミュニケーションするスタンスがあるかどうか、この違いが食事中の充足感に大きな影響を与えていると考えられます。
■行為は言語。ひと手間にこもるコミュニケーション。
もちろん各ご家庭のスタンスがあると思いますが、スーパーで買ってきたお惣菜を買ってきたトレーのままではなく、お皿に載せ替える。そのひと手間には「すべてが手料理ではないけど、あなたのことを大切に思っているよ」「そっけない気持ちではなく、どの料理と同じように食べてほしいな」などなどその意味合いは色々あるかと思いますが、何かしらコミュニケーションの要素が現れます。コミュニケーションのボールが投げられれば、それを無意識に受け取ったり、意識して受け取ることで料理やその場の関係を一層楽しむことができるかと思います。
■一人飯と自己対話。
ここまで家族などの複数人の関係の中を切り口にしていましたが、同様のことは一人で食べることにも当てはまると考えています。自宅で食べる食事も好きなお皿を選んだり、机の上にランチョンマットを引き、丁コンビニで買ってきた料理を盛り付け直し、丁寧に並べる。そうすることで意識的・無意識的関わらず自己対話を行い、「自分を大切にしている」実感を得ることができそうです。
■居場所の実感。とその逆。
家庭料理による非言語コミュニケーションにより、それが極論どんな状況であれ、自宅に帰れば食卓に料理があるというのは、「自分がここにいてもいいんだ」という実感に繋がります。
残念ながらその逆もまた然りなのです。帰っても食べるものがない、という状況は「自分はここに必要のない人間なんだ」という考えが浮かんでもやむを得ないと考えられます。
なので子供たちや家族に対し、いつでも食べ物を準備してあげられる状況にしておくことは、彼ら自身の安心感に繋がっていくのだと思います。
■料理には作り手と受け手との間にやり取りされる「非言語コミュニケーション」がある。
夕暮れ晩ご飯時にふと街に流れている各家庭の料理の匂い、これがとても大好きで、その理由が今回の自分なりのまとめで見えてきました。
街の匂いから各家庭の、もしくは自分自身の料理に伴うコミュニケーションを思い出したり、想像したりすることが、自身の充足感や安心感の想起に繋がっているんだなぁと思います。
今回は料理にともなう「非言語コミュニケーション」の部分にフォーカスをして現時点での自分なりの考えをまとめてみました。料理には「美味しい、美味しくない」という味だけの側面ではなく、無意識にやり取りされる「非言語」なコミュニケーションの側面も多分にありそうです。まだまだ知識が浅い状態で本記事をまとめているので、別途知識を深めていきたいと考えています。
■まだまだ奥深い料理の世界。
知れば知るほど料理の世界は奥深く、人と人とをつなぐコミュニケーションツールとしての料理、例えば初対面の人同士の会話を促すためのお好み焼きだったり(これに関する論文が結構面白かったです)、そもそも国ごとの違いや、家庭環境の違い、それらを味以外の切り口で掘り下げてみると、料理の驚くべき世界が垣間見えてくるかなと考えています。今後も折を見て料理の世界を好奇心にまかせて深堀りしてみたいなと考えています。
■今回の記事に関連する放送はこちら。
■家庭料理研究家:高窪美穂子先生 ありがとうございました!
本記事の執筆する上で考えをまとめられない箇所について、Dabel上で色々と相談にのっていただいた高窪先生に深く感謝申し上げます。
高窪先生はご自身の料理教室でただ美味しい料理を作る、ということだけではなく、日々の食事作りに悩んでいる人が難しく考えることなく正しく手抜きして、自分自身で一種の「名もない料理」を作り上げる力をレッスンしたり、またDabel上でも晩ご飯時に主婦の方々に料理をレッスンしたり、料理の音で楽しませたり多岐にわたりご活躍されています。その一部をご紹介いたします。
Mac Funamizu さんと高窪先生の対談も、家庭環境や違う切り口でのお料理の力など非常に興味深い内容です!
■料理のことをもっと好きになる高窪先生オススメの本はこちら。
■自分のDabelチャンネルはこちらです まだまだ実験中で手探り感が半端ないですが、のんびりやっていきます。
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