無造作に「仏」は宿るか?
街の風景のこと。
整然と並んだビルや行き交う車の様子が頭に浮かぶかも知れないし、先を急ぐ多くの人や明滅するネオンやライトかも知れない。
大抵は、建物の看板や電柱と電線が重なり合う様子は、街のノイズの様な存在で美しさを損なう負の要素として唾棄されることのひとつだ。
無造作に置かれたACの室外機や、外れかけた雨樋などは、邪魔で排除されるべき存在なのだろう。
綺麗にデザインされる対象でないから、放置されてしまい手付かずな姿が痛々しく感じる。
路上には、そんな放置されたもののが溢れている。
「神は細部に宿る」
モダニストの巨匠、ミース・ファンデル・ローエは、ディテールまでこだわりデザインせよと言った。
無造作の放り出されたものたちは、そんなこだわりとは無縁の鬼子として、ただそこに貼り付いていた。
ブルーハーツはドブネズミが美しいと歌ったけれども、路上のノイズにも「仏」が宿ることがあるかも知れない。
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