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進化するマーチング:伝統から現代エンターテインメントへ

(2024/11/18 編成について情報を更新)
10数年ぶりにマーチングの演奏を見る機会があった。先輩が大会に出場すると聞き、観戦に誘われたのだ。中学生の頃に見た力強い演奏と動きは、今でも鮮明に記憶に残っている。しかし、今回目にした現代のマーチングは、私の記憶とは大きく異なるものだった。


マーチングの起源

マーチングの歴史は16世紀のヨーロッパにまで遡る。当時、各国の軍隊は「ドラム・コール」と呼ばれる識別の合図を持ち、行進の際に使用していた。その後、軍楽隊として発展し、士気の鼓舞や軍隊の広報、国家的行事での演奏を主な目的とする吹奏楽団へと形を変えていった。現代のマーチングバンドは、そこから派生したものだ。

規模で分かれる編成

マーチングには、参加人数による明確な編成区分がある。一般社団法人マーチングバンド協会の大会規定によると、以下のように分類される:

【中学校の部】

  • 小編成:指揮者含む40名以下

  • 大編成:指揮者含む41名以上100名以内

【高等学校 / 一般の部】

  • 小編成:指揮者含む40名以下

  • 中編成:指揮者含む41名以上80名以下

  • 大編成:指揮者含む81名以上150名以下

今回、これに則る形の大会形式かどうか分からなかったが、先輩が出場したのは今大会の一般の部小編成だった。

小編成 [1]

驚きの現代マーチング

私が見たのは、ドラムコー(Drum Corps)の小編成で優勝経験を持つチームの演技だ。ここで語る前に前提として、私自身は楽器演奏の経験がない素人で、比較できるのは10年以上前に見た中学生のマーチングバンド(Marching Band)のみである。ただし、当時の中学校のブラスバンド部は、越境入部者がいるほどの強豪校だったこと。以上の点を留意してほしい。

物語性の重視

最も印象的だったのは、強いストーリー性だ。特に小編成では、主人公となる人物を明確に設定し、その物語に沿って演奏が展開される。姫や天使、呪われた者など、特徴的な衣装を身につけた演者が必ず存在する。少ない人数を補うように、物語性で演技の幅を広げているように見えた。

多様化するステップ

従来の直線的なステップだけでなく、進行方向を中心に足を外側に出すような斬新なステップも取り入れられていた。さらに、ダンスのような動きも随所に見られ、純粋な演奏以上に「演技」としての要素が強くなっている。

プロップの効果的活用

プロップ(舞台小道具)の使用も印象的だった。特に先輩が所属するTokyo Phoenixは、これを見事に活用していた。単なる視覚的な演出に留まらず、ストーリーの展開に深く関わる形で使用していた点が、他のチームとの大きな違いだった。他チームも工夫を凝らしていたが、Tokyo Phoenixほどの効果的な活用には至っていなかったと素人目線では見えた。

障子デザインのプロップ [1]

現代のマーチングは、伝統的な演奏技術に加え、演劇的要素を取り入れた総合芸術へと進化しているように思える。小編成から大編成まで、様々な演奏を見ることができ、マーチングの新たな魅力を発見できた貴重な機会となった。

この大会での優勝、Tokyo Phoenixの皆さん、本当におめでとうございます。そして貴重な機会をくれた先輩に感謝申し上げます。

[1] DCJ Tokyo Phoenixの演奏 (メンバー提供写真)

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