台本『心の溶かし方β』
すべてにケリをつけて終わらせよう
※これは、VOCALOID曲『炉心融解』の二次創作台本です
※ショッキングな内容を含みます。閲覧にはご注意ください
※『心の溶かし方α』の続編です
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政府から支給されたエーテル麻酔は、そこにいた全員を眠らせるのに十分すぎる量であった
「病気を治す薬だ」といって、淡々と、自分とは違う肌の色の兵士達にそれを投与していく
命を救う側である医師が、まさか命を奪う側になるとは……
眠りについた兵士たちを、山のようにして積み上げると、
俺たちのうちの誰かがそこへライターを投げ込んだ……
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もう俺は耐えきれない
ベランダに灯油を撒《ま》き、座りこむ
右腕にはエーテル麻酔を注射し、
たばこを咥えて、目をつむった
間もないうちに、意識は底へ落ち、眠りにつくだろう……
そうすると、口から離れたたばこが灯油に落ちて、すべてを終わらせてくれるだろうなァ
あの日見た山と同じように、俺もあかあかと燃えていけるのだ
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──夢をみた、素晴らしい夢だ
俺は、核融合炉に真っ逆さまに落ちていく
身体はパラパラと壊れ、その欠片は流れ星のように眩《まばゆ》い光を発しながら消滅していくのだ
あぁ、こんな安らかな気持ちは何年ぶりだろう──……