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声劇台本『秋よ、恋ゝ。』

秋よ、恋ゝ(こいこい)。


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ごきげんよう、卒塔婆しおです🍁

今回は、秋らしい二人声劇台本を作ってみました。

練習など、ご自由にお使いください♪


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《登場人物》

お菊(19)
         ……天涯孤独の身で老舗旅館に居候してい
              る女の子。衣食住と引き換えに仲居を
              務める。
              ※仲居とは、旅館に来たお客さんに給
                 仕・接待をするしごと。

坊っちゃん(22)
         ……老舗旅館の跡取り息子。
               お菊に好意を寄せている。



《あらすじ》

  今夜は、お得意さんの集まる宴会の日。無礼講として席につくことを許されたお菊であったが、居心地のわるさを感じ、宴会から抜け出してしまう。お菊がいないことに気付いた坊っちゃんは、お菊を探しに広間を出る。


お菊👘
坊っちゃん🎑

※()内は、ト書きです

↓↓↓台本はじまります
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                               【START】

(お菊、ひっそりと宴会を抜け出す。縁側にもたれ掛かり、庭園の紅葉を見上げ、ため息をつく)

👘「女将さんのあの毒を射るような目付き……やっぱり私なんかが宴会に参加するなんて、場違いだったんだわ」

(坊っちゃん登場)

👘「坊っちゃん!」

🎑「少し夜風に当たろうと思ってな」

👘「そう……でしたか……」

🎑「ふっ、過ごしやすい季節になったものだ」

👘「えぇ。では、私はこれで……」

(いそいそと退散しようとするお菊)

🎑「“奥山の 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき”」

👘「坊っちゃん?」

🎑「秋になると、雄鹿はつがいの雌鹿を追い求めて、切なく鳴くそうな」

(坊っちゃん、お菊を後ろから抱きしめる)

🎑「お菊。ずっと俺のそばにいてくれ。お前のいない生活など考えたくもない」

👘「“秋山の 木の下隠り 行く水の 我れこそ増さめ 思ほすよりは”」

(お菊、坊っちゃんに向き合う)

👘「私の方こそ、お慕いしております」


                                 【END】
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〜用語解説〜


“奥山(おくやま)の 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聴くときぞ 秋は悲しき”

⇒人里離れた山の方で、紅葉を踏みながら雌鹿を恋しいと鳴く雄鹿の声を聞くと、秋は悲しいものだ
💡本台本では、お菊がいないと悲しい、恋しい、という坊っちゃんの想いが込められている


“秋山の 木の下隠り 行く水の 我れこそ増さめ 思ほすよりは”
(あきやまのこのしたかくりゆくみづのわれこそまさめおもほすよりは)

⇒秋山の落ち葉の下を流れていく水のように、
表には出さずとも、私の方こそ深くお慕いしております
💡本台本では、身分の違いから、普段は出せない感情も和歌の力を借りれば気持ちが伝えられると見込んだお菊の、坊っちゃんに対する愛しい気持ちを表している

 
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