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必要以上に恐れ入らない! | ライター日記

こんにちは、ライターの吉岡です。
本日は、「恐れ入ります」という言葉について。

皆さんは「恐れ入ります」という言葉、よく使いますか?
私自身は今まであまり使ってきた覚えがないのですが、最近多用しています。スーパーのレジ打ちにて。

「ポイントカードはお持ちでしょうか?」
(お客様が提示される)ピッ
「恐れ入ります~」

「お値引き券などご利用ないでしょうか?」
(お客様)「ないです」
「恐れ入ります~」

(ティッシュを持ってきたお客様に)「お印させていただきますね」
ペタッ
(お渡ししながら)「恐れ入ります~」

どんだけ恐れ入ってんだよ!と内心つっこんでおります。
同じお客様に繰り返し言うことはないので、別におかしくはないのですが、妙に言葉がひっかかります。
そもそも「恐れ入る」とはどういう言葉なのでしょう。調べてみました。

おそれ‐い・る【恐れ入る/畏れ入る】 の解説
[動ラ五(四)]

1 相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。「ご厚情のほど—・ります」
2 相手に失礼したり、迷惑をかけたりしたことに対して、申し訳なく思う。「恐れ入りますが」の形で、ものを頼んだり尋ねたりするときなどのあいさつの言葉としても用いる。恐縮する。「ご心配をおかけして—・ります」
3 あまりのことに驚き入るばかりである。
㋐相手の才能・力量に太刀打ちできないと思う。脱帽する。「—・った腕前だ」
㋑物事のひどさにあきれる。「あれで秀才とは—・るよ」
4 非常にこわがる。
「この法師いよいよ—・りたり」〈著聞集・一七〉

出典:goo辞書

ふむふむ。使い方は、まあ、間違ってはいない。
でもなぜかこの言葉を多用すると違和感を覚えてしまいます。この違和感の原因を知りたい。
さらに調べてみると、こんな解説に出会いました。

恐れ入りますとは、すっかりおびえていますという意味だが、幽霊に出くわしたときの挨拶ではなく、目上の人への感謝の気持ちを表す言葉である。相手より自分の価値を低く設定するという日本の「謙遜(けんそん)」のシステムにおいて、目上の相手から好意を受けたときは、「価値の低い私なんかにそこまでしていただくなんて、ありがたさのあまりおびえています」という意をこめて、「恐れ入ります」と言う。だからといって、「後からどんな返済を要求されるのかわからない」とおびえているわけではなく、単に相手の尊さと威光に打たれてどう対処したらよいかわからないという感情を表現しているのである。おびえて身が縮み上がるほどだという意味の「恐縮」も、同様に「まことに恐縮です」などと用いる。

 また、目上の相手になにかものを頼むとき、「恐れ入りますが」と前置きして「こちらにお名前をご記入ください」などと続ける。名前を書かせるくらいのことでそんなにおびえなくてもと思われるが、そのくらい大げさに相手をヨイショしておけばコミュニケーションは良好に保てるという計算がウラでは働いているのである。(KAGAMI & Co.)

出典:笑える国語辞典

こちらのサイト、笑える国語辞典ですが、「笑える解説」を目的とした辞典だそうです。決して従来の辞典のように正しい言葉の使い方を書くことを目的にしていません。
みんな面白いこと考えるなあと感心しました。

さて、本題です。
私の違和感の正体、これだわ、と思ったわけです。
つまり「価値の低い私なんかにそこまでしていただくなんて、ありがたさのあまりおびえています」という、過度な謙譲の意味を持った言葉に、私は違和感を覚えたのです。
誤解を招きたくないのでいっておくと、自分がへりくだるのが嫌とか、そういうことじゃないですよ。これ、たぶん自分がお客で店員さんに言われるのもちょっと抵抗がある。
客と店員、最終的には人と人です。「お客様は神様です」なんて言葉も今や古い。最近では「お客様は神様ではありません」の方がSNSを中心に支持を得ている気がしますね。

言葉は口にするまでに頭で考え、実際口に出すとその言葉を自分の耳で聞き、再び頭に戻ってきます。つまり私は「恐れ入ります」と口にする間に「恐れ入ります」を2回以上は頭でぐるぐるさせていることになります。自分を下げる言葉を、毎日毎日唱え続けると、心によくない影響がありそうだな、と思いました。

スーパーの店員である私は、お客様が心地よくお買い物ができるよう、全力の笑顔と低姿勢でお客様をレジでお迎えします。
必要以上に恐れ入らないで、「ありがとうございます」とか、別の言葉で伝えたいと思います。

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