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狐の嫁入り

・狐の嫁入りとは

⑴日が照っているのに、急に雨がぱらつく事、日照り雨

⑵夜、山野で狐火が連なって、嫁入り行列の提灯(ちょうちん)の様に見えるもの


・体験談

 この話は、私が小学生だった頃の話です。

 その当時、犬を飼っていてひとつ下の兄弟と毎日夕方、学校が終わって帰ってくると散歩に行っていましたが、週末だけは父親が休みなので、車で近くのハイキングコースがあるような山に行って、そこで犬を放して自由に走らせていました。

 日中だと人がいると危ないので大体夜21時位に行って、麓にある駐車場に車を止めて犬を放し、自分達も犬を追いかけたりしながら走り回って遊ぶのが毎週末の日課でした。

 その日は、8月の上旬くらいだったと思います。
いつも通り、山に行き駐車場に車を止め、犬を放して父親と兄弟と騒いでいました。
 30分位たった頃、その日は凄く天気の良い日だったのですが、急に霧雨が降ってきて辺りが一気に薄い霧に覆われるような感じになりました。

 夜の山で街灯なんかも当然なくうっすら霧も出ていて、急に不気味な雰囲気になったのを覚えています。父親が急いで犬を車に乗せて私達にも早く車に乗るように言ったので、兄弟と車に乗ろうと車に向かって走り出した時でした。

 私達から100メートル位離れた山の裾にゆらゆらと動く青白い光が見えました。
 凄く怖くて父親の所に急いで走って行きその光を見るように言いました、父親も凄くびっくりした様子で車のエンジンを切り、着いていたヘッドライトを消して車の影に隠れながら息を潜めてみていると、さっきの光の後ろにまた1つ青白い光がふわーっとつきました、その後も青白い光は増えていって、最終的に5〜6個くらいの青白い光がゆらゆら揺れるようにゆっくりゆっくり移動しているように見えました。

 暫く見ていると、急にすーっと青白い光が消えたので、父親が今だと言わんばかりに車に乗るよう私達に言って急いでそこから離れました。
 帰りの車で、父親にあれはなんだったのか聞くと、父親も初めて見たけどあれは狐の嫁入りじゃないかと言って、色々教えてくれたのを覚えています。

・『越後名寄』

昔の越後の地誌『越後名寄』には狐の嫁入りの様子が次の様にかかれています。

〈夜何時(いつ)何處(いづこ)共云う事なく折静かなる夜に、提灯或は炬の如くなる火凡(およそ)一里余も無間続きて遠方に見ゆる事有り。右何所にても稀に雖有、蒲原郡中には折節有之。これを児童輩狐の婚と云ひならはせり〉

※ここでは夜間、怪火が4キロ並んで見える事を『狐の婚』と呼ぶと書かれている。

私が見たのは5〜6個の火で4キロも続いていなかったけど、とにかく不気味で不思議な体験でした。

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