そこにAIはあるんか?(SEO崩壊説と人工知能)
こんにちは、山下顕多朗(やましたけんたろう)です。
最近、Xでフォローさせていただいてる界隈ではNewsPicksの記事、「【SEO崩壊】AIで「マーケティングの鉄則」が激変している」が話題になってましたね。
現役でSEOの前線にいたのはもう8年近く前なのであまり語れる身分ではないので、現役のSEOマーケターの観点から考察を読みたい方はアイオイクス豊藏さんが非常に分かりやすく深堀りされてます。
僕としてはSEOに触れつつ、もう少し抽象度を上げて、デジタルマーケの全体像から見て自分の考えを綴ってみたいと思います。
SEOの定義のアップデート
「最近SEOってどうなんですか?」
この質問、ウェブマーケティングに携わる人であれば、質問者側か回答者側のいずれかを経験したことある人いるんじゃないでしょうか?
こういう粒度の粗い状態で疑問が湧くのも仕方ないかなと思うのは、僕も実務で経験するまでは、SEOってつまり検索順位上げることでしょ?くらいの理解しかありませんでした。
もう少し解像度を上げた定義をするならば、「検索エンジンからのアクセスを増やすことでウェブサイトへの集客を行うウェブマーケティング手法の1つ」というのが分かりやすいかも知れません。
つまり、SEOもあくまで「集客」施策の一つに過ぎないので、売上に繋がらないと意味がない訳で、ただただ闇雲に検索結果1位を獲得すれば良い訳ではありません。
検索エンジンとAIの歴史
更に今はAIが台頭してどうこうと言われてますが、そもそもGoogleの検索エンジンですら機械学習を搭載したAIなのであって、SEOは何年も前からAI攻略と向き合ってきていたと思うと、今のAI検索のトレンドもその延長に過ぎないと思ってます。
※ちなみに、検索エンジンの検索結果ってどうやって出力されるの?って話なんですが、詳しく知りたい方は「検索エンジンはなぜ見つけるのか」という本が分かりやすいのでおすすめです。
AIだけでなく、そもそも人はあまり検索エンジンを使わなくなったんじゃないか?という指摘もありますが、これは半分正しくて半分誤ってるというのが僕の考えです。
「SEO=Google検索」という前提のズレ
検索エンジンというと、Google、Yahoo!、Bingなどが思い浮かぶと思いますが、ユーザーシェア比率からすると、SEO=Google検索対策のようなイメージが持たれてる人も多いかも知れません。
とはいえ、インターネットが浸透する前、人にとっての「検索」行動がタウンページなどの電話帳だった時代、50音順で見つかりやすくするためにサービス名の頭文字にあ行をつけるのが流行ったりしましたが、これも広義で言えば立派なSEO対策とも言えます。(例:引越業界の「◯ート引越センター」「◯リさんマークの引越社」など)
それが検索エンジンの台頭によってSEOの概念が生まれて、今はSNSなどをはじめとしてチャネルが多様化する中でSEOはオワコンと言われながらも、SNSの中で虫眼鏡のアイコンから「検索」してるのを見ると、広義で見れば検索エンジンの種類が増えたという見方もできます。
Search Everywhere Optimization(検索どこでも最適化)の時代
この考え方は、デジタルマーケティングエージェンシーを運営するNeil Patel氏の受け売りですが、SNS1つ1つすらも検索エンジンだと考えれば、SEO対策の戦略は応用できるという話です。Search Engine Landの記事では、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)ならぬ、Search Everywhere Optimization(検索どこでも最適化)という表現が言い得て妙だなと思いました。
現に、TikTokは検索連動型広告メニューを展開しているのを見ると、ユーザーの一定数は検索窓でキーワード検索を行っていると言えるんじゃないでしょうか。
Amazonや楽天などモール内でのSEOという考え方もあるくらいなので、SEOが陳腐化したというよりは、戦場が多様化したという印象です。Search Everywhere Optimizationについては別の機会でもう少し掘り下げようと思います。
検索エンジンの抽象概念や本質は変わっていない
検索エンジン、SNS、モールEC、生成AIなど、広義でのSEOの戦場が増えたと捉えた場合、共通する本質とは何か?
これは冒頭のNewsPicks記事でもPerplexity社CBOのコメントが参考になるので引用します。
極一部、裏技的に検索結果を有利にしようとしてGoogleからペナルティを受けるような、「ブラックハットSEO」というのもはびこっていたため、SEOに対する偏見が持たれる部分もありましたが、クライアントに選ばれ続けてるSEO業者はちゃんと高品質なサイト制作を本質においていると思います。
専門用語に振り回されない
あとは、結局マーケティングの正解は文字通り「マーケット」の評価が売上に跳ね返ってくるので、小手先の施策に走らず、ユーザーに喜ばれる仕事をすること、それを評価できる体制でPDCAを回すことに尽きるなと思いました。
事業会社としては小手先の施策に振り回されずユーザー目線をとことん追求すること、支援会社としては施策の実装とPDCAに対するコミット力が求められるでしょう。
今後のデジタルマーケティング業界
こんな偉そうな見出しをつけるのもおこがましいですが、冒頭のNewsPicks記事にもあったように、ファンマーケティングが注目されるのは一理ありますよね。ただ、それが過去は重要じゃなかったかと言うとそういう訳でもなく、ここまでファンマーケティングが当たり前になりつつある背景にはインターネット広告業界の色んな流れがあると考えています。
特に注目すべきトピックで言うと大きく以下の3つに分けられます。
CPA高騰によるCV至上主義の終焉
ブランディング目的によるオーディエンス広告への回帰
コミュニティ/ファンマーケティングの成功例
この辺りは別の記事で詳しく書こうと思いますが、この中で特に詳しく聞きたいという内容であったり、他にもあるぞという意見があれば是非コメントで教えてください。
まとめ
SEO崩壊というのはAIの台頭に限らず、Googleのアルゴリズムアップデートの度に同様の議論が飛び交っていましたし、現に検索エンジン自体がAIと近しい働きをしている以上、SEOマーケターにとって追求する本質は変わらないと言って良いかと思います。
むしろ、検索エンジン以外での検索行動が増えている中、SEOの基礎や本質は、Search Everywhere Optimizationにおいても応用ができますし、未開の領域が増えた分チャンスとも言えるかなと思います。
あとは、デジタルマーケテイング全体で見た時には、購入直前の集客にばかりフォーカスするのではなく、もっと手前でのブランディングや購入後におけるファン化が重要になってきており、これはインターネット広告業界全体の流れもその方向に向かっています。
このインターネット広告業界の流れについては、個人的見解を今後書かせていただこうと思いますので是非また読んでいただけたら嬉しいです。
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