上座下座から学んだこと
上座下座のルールについてみなさんはどう感じているだろう。
世代やこれまで経験した環境によっても、必要か不要かの捉え方はバラバラだと思う。
わたしが読んだ記事では「上座下座なんていうくだらないルールは覚えるのが面倒だし要らない!」といった内容のものだった。
本当に要らないのだろうか。
私もいちいち誰が偉いだのという順番に気を遣いながら決めて、どこが上座か考えなければならないこと自体は面倒だと思う。
大人なんだから自分たちでその場に応じて好きに座れば良いじゃんと思う。
だが一方で、ルールやマナーがある方が楽だなと感じることもある。
上座下座マナーがなかったらどうだろう。
気の知れた仲の良い者同士であれば、マナーに従わなくても好き勝手に座り、そもそもそんなこと気にすることもない。
しかし、そのような間柄でない人との飲み会を想像すると、例えば下記のような人が現れるのではないだろうか。
年齢の離れている人や話のつまらない人、気を遣わなければならない偉い人の隣を避けたがる人。
その人の席の横が空いていると気まずいので、気を使って横の席につくが、毎回それは面倒になって参加しなくなる人。
もしくは隣が空いてるのはまずいからお前座れと言ってくる人。
残った端っこの席を狙おうとわざと遅れてくる人。
話したことの無い人の横になってしまい何も話をしない人。
そして毎回そのような人が現れ、その都度調整するのが面倒になり、結局何かルールを決めてしまおうといった流れになると思う。
上座下座の由来は敵が入り口から入ってきた時に、地位の高い大将が敵に討たれてしまうことを防ぐため、入り口から一番遠いところに座ったことが由来しているといったような説も聞く。きっとそうなのだろう。
だがその前段階に、昔も下記のようなやりとがあったのかもしれない。
若い武士「あの殿様、酒癖悪いから近くの席に座りたく無いんだよ。だけど、先輩武士たちも嫌だからって、結局俺が座らせられるんだよ。どうにかならないかな?」
ズル賢い武士「この際偉い人順にしましょうとかってしちゃうか!」
若い武士「それ前に言ったよ。そしたら何言ってんだ。お前が座ればいいだろって言われたよ。」
ズル賢い武士「じゃあ、こんなのはどうだ。敵の奇襲があるかもしれません。自分が身体を張るので、偉いみなさんは入り口から離れたところに順番に座っていってください。って」
若い武士「あー、たしかにそれなら理由になりそうだね。偉いって言われたら、悪い気はしないし。」
ズル賢い武士「そして当日は入り口に近いから酒持ってきます!とか言って、絡まれそうになったら避難するんだ。」
若い武士「相変わらずズル賢いね」
きっとこんなやりとりからいつの間にか上座下座文化が定着していったと私は勝手に思っている。
上座下座ではないが、席決めルールは他にも自然発生発生しているはずだ。
たとえば合コンだって、何もルールがなければたぶん、可愛いもしくはかっこいい人の隣ばかりが埋まってしまう。
そしてそれを面白く思わない人が男女交互にしようとか、●●順にしようとルールを決めて不公平さをなるべく無くし、自分にチャンスが来るよう工夫を凝らしているのではないだろうか。
自由は一見好き勝手にできて楽そうに感じる。
しかし、何の決まりも無い中での自由は実は不平等で、面倒が多いこともある。
決まりがあるほうが実は楽なこともあるのだと飲み会を通じて学んだ。